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fever safe! 4



カカシが、漸く声を出せたのはイルカの姿が完全に見えなくなってからだった。
「・・・イルカ」
手を伸ばしても届かない。
「やっぱり、そうなのね」
隣にいた、くの一の呆れた声が聞こえた。
「知り合いだったんじゃない。なんで、声を掛けなかったの?」
あんなに可愛い子なら紹介してほしかったわ〜と暢気に言っている。
「あのねえ!」
カカシは、くの一をきっと睨みつけた。
「イルカが可愛いのは百も承知だっての。そんなの俺が一番知っているし!他の人間にイルカを紹介なんてするわけないだろ」
えらい剣幕である。
「ふーん」
くの一は品定めでもするようにカカシを、じろじろと遠慮なく、上から下まで見てから言った。
「あの子に気があるのね」
勝ち誇ったように。
「とすると、さっきの話はあの可愛い子に対してのことね」
「う・・・」
「口が滑って、あの可愛い子の前で他の子を褒めたのね」
「ぐ・・・」
「そして、未だ仲直りしていないと」
そういう訳ね、と鋭い推理を展開させている。
全部、的中していた。
ばしん、とくの一に肩を叩かれた。
「全く、もう。しっかりしなさいよ」
説教されてしまう。
「ちゃんと話をして、誤解を解きなさい。好きな子を泣かしたりしたら、男が廃るわよ」
「・・・あのさ」
カカシは一応、くの一の言うことを大人しく静聴した。
言っていることは最もだったから。
しかし、疑問が残る。
「何よ」
「さっきのイルカだけど男だった、よね?」
「見れば解るわ」
「で、俺も男だよね」
「知っているけど」
「・・・いいの?」
「何が?」
「男同士とかって、その。何とも思わないの?」
「思わないわ」
それこそ、あっさりくの一は言い切った。
「何で、そこで躊躇うのよ。好きなんでしょ」
好きな子には優しくしなきゃ、と。
「うん、そうだね」
「じゃ、私はもう行くわ」
彼氏との待ち合わせの時間らしい。
「頑張ってね」とウインクをして。



くの一と別れ、一人になったカカシは散々、色んな店の前を行き来した挙句、選んだ品物を持ってイルカの家の前に立っていた。
時は夕暮れ。
イルカがいるはずの時間帯だ。
いなくても、もうすぐ帰ってくるはず。
「はあ〜」
カカシは重い溜め息を吐いた。
手に持っているのは果物。
緑色した網の目がついている、それはメロン。
「また、これか、と言われそうだな」
以前にイルカにメロンをあげて、大そう喜んでいたのを思い出して、これを選んだ。
「俺って、発想にバリエーションがないな」
自分で自分に、がっくりきている。
「でも、これしか思い浮かばなかったし」
今度はイルカと一緒に出かけて好きなものを聞いて、それを買ったりしよう。
楽しいこと考える。
楽しいことを考えると萎んでいた気持ちが膨らんできた。
「イルカに謝って誤解を解いて、仲直りして」
ぐっと手を握りこむ。
「そんでもって、買い物を一緒に行く!」
それって、デートかもしれない。
いや、デートだ。
イルカとデート。
俄然、生きる力が湧いてくる。
「とにかく、イルカに会わなくちゃ」
そう思って、大きく息を吸い込むとカカシはイルカの家の玄関を叩く。
応答はない。
「帰ってないのかな?」
部屋の中にイルカの気配はなかった。
「少し待つか」
綺麗に包装されたメロンを大事そうに抱えて、カカシは玄関を背にして座り込む。
「イルカ、早く帰ってこないかな」
イルカに会うのが待ち遠しかった。



待ち人来たらず。
カカシの下に来たのはイルカではなかった。
「ここにいたのか!」
来たのは、お面を被った暗部装束姿の一人。
「カカシ、探したぞ!」
座っているカカシのところへ舞い降りてくる。
「式を飛ばしても反応はないしで。緊急事態だ!」
急いでいるようである。
「こっちも緊急事態だから」
追い払うように手を振る。
「俺、すっごく忙しいから。任務ならパスね、パス」
「冗談を言っている場合ではない」
暗部の真剣な声。
「至急集合だ。すぐに出発する」
「え〜、い・・・」
「嫌だなんて言っている暇もない」
否応もなく急かされて、カカシは嫌々渋々と立ち上がる。
「行きたくないなあ」
ぽつりと呟き、抱えているメロンを見つめた。
それをイルカの玄関先に、そっと置くと。
カカシを探しにきた暗部と共に姿を消した。
その直後。
入れ替わるようにしてイルカが帰ってきた。
玄関先に置いてあるものを見て首を傾げる。
「何だ?」
とりあえず、持ってみる。
匂いも嗅いでみた。
「甘い匂いがする」
果物だと、しかもメロンだと見当がついた。



それから二日後。
カカシは森の中で、ばったりと倒れていた。
体力もチャクラも切れていたのだ。
仲間のいる場所までは遠く、知らせることも出来ないほどに。
「ほんっと〜に」
もう、手も足も動かせない。
愚痴る声にも力がない。
「人使い荒いよね、暗部って」
不眠不休で倒れるまで、こき使うなんて。
暗部辞めたい、暗部なんて嫌いだ。
「はあ」
目を瞑ると瞼の裏にイルカの顔が浮かんできた。
「イルカ・・・」
強烈な眠気が襲ってくる。
「メロン、見つけてくれたかなあ」
俺からだって解ってくれたかなあ。
思うはイルカのことばかり。
「会いたいなあ」
最後にイルカに会ったのが、遠く感じる。
今、どこで何をしているのか・・・。
「早く里に帰りたい」
その前に見つけてほしいけど。
うつらうつら。
疲れからくる眠りの中でイルカの声が聞こえたような気がした。




fever safe!3
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