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fever next!3



「あれ?」
任務帰り、森の中を走っていたカカシは、ふと足を止めた。
暗部服の姿で狐の面を被っている。
「どうした」
一緒に走っていたのはカカシより年長の暗部で、カカシと二人で任務に出ていた。
「あー、いや、そのね」
カカシが、そわそわと辺りを見回す。
このパターンは・・・。
年長の暗部は嫌な予感がする。
そして、それはドンピシャリと的中した。
「あー、やっぱり」
カカシは深い茂みの中に聳え立っている大きな木の根元を覗いていた。
木の根元には大きな洞がある。
人が一人入れるような。
「こんなとこにいた」
年長の暗部がカカシの後ろから覗き込むと黒い頭が見えた。
何となく、知っている人間の気がする。
「何してんのよ、もう」
カカシの声が小さくなっていく。
何事かと思って、よく見たら洞の中の人間は膝を抱え、その膝の顔を埋めて、くーくーと寝ていたのだ。
顔は見えないが、あの中忍に違いないと年長の暗部は推測した。
あの中忍・・・。
カカシが勝手に一方的に恋人宣言した中忍だ。
そのとき、その場に居合わせて随分と気まずい思いをした。
その後、二回目の出会いは中忍がカカシの仕掛けた罠に掛かって怪我をしたことによる。
見舞いに行くようにアドバイスしたっけな・・・。
年長の暗部は、ぼんやりと思い出した。



「ねえ、ちょっと」
カカシは暗部の鉤爪を放り出すと、手を伸ばして中忍の肩に触れた。
中忍の名はイルカという。
「なんで、こんなところで寝てんのさ」
優しく揺する。
揺すりながら、カカシは面をくいっと上に上げた。
素顔を晒す。
「イルカ・・・」
声も優しい。
普段のカカシとは全く違う声を聞き、年長の暗部は戦闘とは違う意味で、ぞぞっとなる。
・・・これが愛の力ってやつか。
異常に怖いか、やる気がない無気力のカカシしか主に見たことがないので、びっくりしている。
「イルカ、起きて。無警戒で寝ていると襲われるよ〜、俺に」
その瞬間、イルカの肩がぴくっと動いて顔を上げた。
寝ぼけ眼で薄っすら開けた目で、目の前のカカシを見ている。
「あー・・・。狐の人・・・」
完全に寝ぼけている。
「狐が提灯持って、お萩を食べながら泳いでいるよ〜」
どうやら、夢の延長らしい。
「・・・いったい、どんな夢見てんのよ」
優しく揺すっていたのを、少し強くした。
「起きなさいって!」
「はーい」
イルカが欠伸をしながら、両手を上に伸ばした。
ぐーっと伸びをする。
「ふあああ、よく寝た〜」
「いつから寝ていたの?」
呆れたようにカカシが質問するとイルカが、小首を傾げた。
「えーっと、結構、前・・・かな?」
「いつから寝ていたのかも覚えてないの」
「何しろ、眠くてしょうがなかったもので」
あははは〜、徹夜だったんですと笑いながら言うイルカはカカシの鋭い視線を避けるように明後日の方向を見る。
「結界も張らずに野外で寝るなんて、それでも忍者?」
カカシの追求は厳しい。
「それに寝ているときに敵に襲われるなら未だしも、俺みたいなイルカをあからさまに狙っている輩に襲われた一たまりもないよ?」
暗に自分が変、だとカカシも言っているのだが、気がついてないらしい。
「人間の中には、いきなり会ったと同時に好きなって恋に落ちちゃうやつもいるんだからね」
説教が方向性を見失ってきた。
「俺以外に迫れたらイルカは、ちゃんと断れるんだろうね?恋人がいるからって言えるの?」
「・・・あの」
「俺という者がありながら、他のやつに靡くなんてこと絶対に駄目だからね!」
「・・・その」
「離れていても、心は一つ!赤い糸で結ばれているんだから!」
「・・・・・・この人、何を言っているんですか?」
つ、とカカシを指差したイルカは、カカシの背後にいた年長の暗部に尋ねてきた。
「赤い糸なんてあるはずないですよね?」
同意を求められた年長の暗部は身の危険を感じて一歩、退いた。
「見たことあります?」
ここで、了と答えるべきか、否と答えるべきか。
返答次第ではカカシから絶対に、とばっちりを受けるだろう。
年長の暗部は面の下で額に汗が浮ぶ。
嫌な感じの汗だ。
イルカは現実主義なのだろうか、恋人たちの伝説の赤い糸を否定している。
「何って、恋人の心得を説いているいるの!」
きいっとなったカカシがイルカを軽く睨む。
「赤い糸が存在しなきゃ、俺とイルカは出会わないでしょーが!」
「そういや、俺たち遭遇率高いですね」
前回も隠れていたのに俺のこと見つけたし、とイルカは、のんびりと言う。
「てか、この前のは罠を回収しなかった人が悪いと思うんですけどね」
のんびりした口調で、ちくりとカカシを刺す。



「それは反省しているんだけど・・・」
カカシの語尾が尻すぼみになる。
「備品は返却、使ったら返す、これは基本なんですから」
「分かっているってば〜」
「それに!」
今度はイルカがカカシをやり込めている。
「この前、なんで来なかったんですか?」
「え、この前って・・・」
「お見舞いに来てくれた後ですよ!果物、たくさん持ってきてくれたから一緒に食べようと思って待っていたのに!」
「え、待っていてくれたの?」
「そりゃあ、待つでしょ!うちで寝たいって言っていたし!なのに、来ないから果物、熟しちゃって俺、一人で食べましたよ」
「美味しかった?」
「そりゃもう!」
イルカが、うっとりとした顔になった。
「メロンなんてホッペが落ちそうなくらいで。冷蔵庫で冷やして食べたら、すっごい美味しかったです!」
「そう。なら、よかった」
はっとしたイルカがカカシを見る。
「あ、遅くなりましたけどご馳走さまでした!」
「いえいえ」
「今度は一緒に食べれたらいいですね!」
「うん、そうだね」
カカシとイルカは顔を見合わせて、何やらいい雰囲気になっている。
雰囲気的は、甘いと表現した方がいいだろう。
そっと気配を消していた年長の暗部は居た堪れなくなった。
なんで、こんなところに居合わせたのか。
自問自答してしまう。



「ねえ、里に帰ったらイルカの家に寝に行ってもいい?」
「え」
「眠りたいって言ったでしょ」
「まあ、それくらいなら・・・」
カカシは、にこりとする。
「帰ったらイルカの家で眠れるとなったら、任務も頑張れるしさ」
「・・・そうですか」
「うん、適当に任務してたけど、イルカの家に帰るっていう目標ができたら任務の達成率も生存率も高くなると思うんだよねえ」
そう言われてはイルカは断れない。
「いいですよ」と了承した。
「必ず、帰ってきてくださいね」
約束、と小指を突き出す。
「何これ?」
「何って指きりですよ。約束するときのお呪いみたいなものです」
「ふーん」
「こう、小指と小指を絡めて」
カカシの小指とイルカの小指が繋がれた。
イルカが指きりの歌を唄う。
「指きり拳万〜、嘘ついたら針千本飲〜ます」
「ふーん、面白いねえ」
指きりが終わったイルカが小指を離そうとするとカカシが、ぎゅっと小指に力を入れた。
小指だけの力なのに強い。
「何しているんですか、離してください。ちょっと痛いんですけど」
「やだ」
断ったカカシはイルカに顔を近づけた。
「ねえ、俺も約束してほしいことあるんだけど」
「約束?」
「そ」
「・・・何でしょう?お金ならないですけど」
不安げにイルカがカカシを見上げる。
「お金なら俺があるから心配無用。ああ、変なことじゃないよ」
あのねえ、と更に顔が近づいて、額がぶつかった。
「俺のこと、ちゃんと呼んで」
「は?」
「会ってから今まで俺のこと呼んでくれてないよ」
「あー・・・」
「俺の名前、知っているでしょ?名前を呼んでくれないのって寂しいんだけど」
「すみません」
「じゃあ、呼んでみて」
「・・・なんて?」
にや〜っとカカシが笑ったような気がした。
「ダーリン」
「却下」
イルカの反応は早い。
「ハニー」
「嫌です」
「我が侭だなあ」
溜め息をついたカカシは肩を竦めた。
「そんなの恥かしいです。普通でいいじゃないですか、カカシさんで」
「それ、決定」
「あ・・・」
「これからカカシさんって呼んでね」
カカシがウインクする。
「さ、呼んでみてよ。初カカシさん!」
真っ赤になったイルカはカカシの耳元で囁いた。
囁き声は「カカシさん」で。
それを聞いたカカシは嬉しそうな顔になる。
二人は無邪気だ。
若者らしく青春を謳歌している。
きらきらと輝いている。
気配を消して二人を見守っていたというより、二人の邪魔にならないようにしていた年長の暗部の青春は疾うの昔に過ぎ去っている。
年長の暗部は過ぎ去り日青春の日々を思い出したのか、深い息を吐き出した。



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