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fever next!2



夕方に連絡事項の伝達があり、暗部は集合した。
カカシも含まれている。
真夜中に出発の旨と任務内容が伝えられる。
それまで自由行動とのことだった。
そこで顔を合わせた年長の暗部にカカシは言われた。
「そういや、あの子はどうなったんだ?」
「あの子?」
「ほら、イルカって言っただろ、中忍の」
「ああ」
すぐさま、思い出した。
「怪我をしていただろ、治ったのか?」
「そうだねえ、多分。里に連れて帰ってきて、病院に置いてきてから会ってない」
「多分ってなあ、忙しいのは分かるが」
年長の暗部は呆れような声を出した。
「あの子はお前の所為で怪我したようなもんだろ。見舞いくらい行け」
「見舞い?」
カカシは首を傾げる。
「見舞いって、どんなの?」
チャクラ切れで、ぶっ倒れたことはあっても怪我なんて殆どしないカカシは見舞いなんて行ったこともないし、来られたこともない。
だから聞いた。
「見舞いってのはあれだ、一般的には果物籠をもって行くことだ」
「果物籠?果物持っていって、どうすんの?」
「どうするって」
困ったやつだな、と年長の暗部は一応、年長らしく見舞いのいろはを教えてやる。
「果物籠には普段食べないような高級な果物を入れて持っていく。網目のメロンがお勧めだな」
「メロン食べれば治るの?」
「そういうのじゃなくて、心遣いってやつだ。そして会ったら『お加減いかがですか?』と気遣う」
「言ったら、どうなるの?」
「言ったら、相手から返事があるだろう。そしたら、話を繋げる」
「何を話せばいいのさ、時事問題?外交問題?外貨預金とか?」
「なんか、こう適当にだ。気楽に話せる話題でいい」
「ふーん、で?」
「そんな感じだ」
分かったような顔して、ふんふんとカカシは聞いている。
「要はだ」
年長の暗部は最も重要なことを言った。
「怪我が治ったかどうか、見て来いってことだ」
「分かった」
シンプルな説明にカカシは、やっと得心が言ったとばかりに頷いた。
「イルカの見舞いに行ってくる」



夜、零時を過ぎようという頃。
カカシはある家の窓ガラスを叩いていた。
こんこんこん。
暗部装束を身に纏い、顔には狐の面、背後には月明かりとくれば格好良さげだが、手には色とりどりの果物が入った大きな籠を持っていた。
年長の暗部のアドバイス通りに用意したのだ。
もっと早い時間にイルカに会いに来ようと思っていたのだが、果物の選別と見舞いの言葉を考えていて時間を食ってしまった。
暗部と果物、いまいち合わない。
こんこんこん、とカカシは窓ガラスを静かに叩く。
静かな夜に音は、よく響いた。
こんこんこん、とまた叩くが窓は一向に開く気配がない。
根気よく叩いていると、ジャーッとカーテンが開けられた。
それから窓が開く。
「・・・誰だよ、うるさいなあ」
目が閉じかかっているイルカが、ごにょごにょと言っている。
「眠いんだけど・・・」
ぼそぼそと喋っていて、聞き取りにくい。
「イルカ」
カカシは、すたっと室内に降り立った。
「お加減いかがですか?」
言って、果物籠を差し出した。
セオリー通りだ。
「ん・・・」
半眼の目でイルカは目の前の果物とカカシを交互に見る。
「・・・夢、かなあ」
瞼が今にもくっ付きそうだ。
「違うって、夢じゃないよー」
面を取ってカカシはイルカに素顔を見せた。
「ほら、俺だよ、俺。恋人の俺」
「あー・・・」
カカシを指差したイルカは、やっぱり眠そうで。
言葉は聞こえているが、意味は分かってないような感じだ。



「ちょっと、イルカってば。寝ぼけているの?」
果物籠を置いてカカシはイルカに顔を近づけた。
「眠気覚ましに熱いキスでもする?」
その言葉を聞くやいなや、イルカがぱっと目を開けた。
「あ!なんで、ここにいるの?」
ようやく、カカシを認識する。
「ここ、俺の家だよね?何で知っているの?」
「そんなの愛の力でしょ」
カカシは事も無げに言う。
「イルカのことなら、なんでも分かるよ」
「・・・あんま、嬉しくないなあ」
イルカは渋い顔をする。
「ところで、お加減て何?」
最初のカカシの発言に戻った。
「ああ、イルカの足の怪我が治ったかなと思ってさ」
「心配してくれたんですね、足はもう完治しました」
「・・・うん、まあ」
心配しなかったわけではないけれど、どちらかというと忙しくて、つい忘れかかっていたなんてカカシは言えない。
仮にも恋人を名乗っているのに。
「その、忙しくてさ・・・」
「そうですよね」
カカシの暗部姿を見てイルカは特に疑問を持たなかったようだ。
「暗部ですもんね、忙しくて当たり前ですよね」
何しろ里を陰から守っているですから、と逆に労ってくれる。
「いつ、寝ているんですか?」
「いつって、暇になったら」
暗部は夜となく昼となく働いている。
「そうですか、いつもありがとうございます」
ぺこりとイルカの頭を下げられて、なんだか背中がむずむずする。
そんな大そうなことはしていないのに、と心中思う。



「あ、そうそう」
置いた果物籠をイルカに再び差し出した。
「えーと、これ見舞いってやつなんだけど」
「わー、すごい!」
イルカは歓声を上げた。
「メロンが二つも入っている!」
メロンに喜んでいる。
「それにスイカやイチゴもある!見たことあるけど食べたことない果物がたくさん!」
すっかり目が覚めたのか、カカシの持ってきた果物を見て一人で盛り上がっていた。
「すっげー!なにこれ、美味しそう!」
大喜びのイルカを見て、カカシは頬が緩む。
「そんなに喜んでもらえるとは予想外だな〜」
にやにやが止まらない。
「でも」と喜んでいたイルカが真面目な顔してカカシに視線を向けた。
「これ、本当にいただいていいんですか?とっても高そう・・・」
「んー、いいよ。イルカに見舞いに持ってきたんだから」
「ありがとうございます!」
果物が入った大きな籠をイルカは大事そうに抱きしめた。
「お面に落書きとかしたのに、こんなに果物くれるなんて、本当はいい人なんですね」
ちょっと引っ掛かる言い方だ。
「変な人のイメージが強かったので」
「・・・変な人ね」
喜んでもらえたのは良かったが、少々複雑な気分だ。
「ま、いっか。もう行かなきゃならないからねえ」
カカシは面を元に戻した。
「もしかして、これから任務ですか?」
「そ。任務前に寄っただけだから」
「そうですか・・・」
イルカの肩が心なしか落ちる。
「眠らずに任務に行くんですね・・・」
「まあね、任務だから」
ふと窓枠に足をかけたところで、カカシはイルカを振り返った。
月の光がカカシを照らす。
「帰ってきたら・・・。ここに来たら眠らせてくれる?」
何を思ったのか、そんなことを聞いてきた。
「え?あ、はい」
思わず、イルカは頷く。
「じゃ、約束ね」
言葉だけを残してカカシは消えた。
月明かりだけがイルカの部屋に差し込む。
「やっぱり変な人だなあ」
今までのことを思い返してイルカは呟く。
「夜の夜中に見舞いに来たりして」
それから、ふっと息を吐く。
「まあ、来たら寝るくらいはいいかな」
カカシの無事を祈り、イルカは月を見上げた。



fever next!
fever next!3




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