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その一言が命取り3



「ねえねえ」
カカシが疲れも見せずに陽気に話している。
時間は、もう明け方近い。
薄っすらと東の空が明るくなってきていた。
「俺とイルカ先生ってさ、運命的な出会いをしたと思わない?」
もはやアスマに答える気力はない。
疲れてすぎて言葉が出ない。
戦闘時とは違う疲れを感じていた。
そんなアスマにお構いなくカカシは喋っていた。
テンション高く。



「俺たちって名前もカカシ、イルカで『カ』がつくでしょ」
カカシが開いた指に人差し指を折る。
「誕生日も9月15日と5月26日で『5』がつくし」
イルカとの共通項をカカシは挙げていた。
カカシの中指が折られる。
理由はほとんど、こじ付けに近かったが。
「あと、忍者の登録番号だって俺は009720でイルカ先生は011850で最初と最後に『0』がつく」
薬指が折られて共通項が三つになった。
「それに血液型はO型で一緒だし〜」
カカシが、それはそれは嬉しそうにしている。
小指が折られて四つ目の共通するものが挙げられた。
「身長も同じくらいだし、一緒にいて違和感ないし」
夜明け前なのにカカシの目が、きらきらと輝いている。
「もっと正確に数えると俺とイルカ先生の共通するものって両手の指じゃ数えられないほどあるんだけど」
もったいぶったようにカカシは言う。
「とりあえず今日は、はしょるよ。今度、じっくり聞かせてやるから」
「いや、いい」
アスマは力なく呟いた。
カカシが話していることは、もう既に何回も聞いていた。
暗記してしまうほど聞いていた。
イルカのことは木の葉の里でカカシの次に詳しくなったような気がする。
家に帰りてえ。
心の底からアスマは思った。
今日は任務があるってのに。
柄にもなく、ぐったりとしていた。



「あ、俺とイルカ先生の馴れ初めも聞きたい?」
アスマは顔の前で手を横に振った。
遠慮すると。
「そうか、残念。まあ、馴れ初めは俺とイルカ先生の秘密にしといた方がいいかな」
よからぬ事を思い出したのかカカシが、にやっと笑った。
どんな馴れ初めなのだろう。
ちょっとだけ気になったが賢明にもアスマは黙っていた。
好奇心が身を滅ぼすことは重々、承知していたから。
「じゃあ、俺がイルカ先生に告白した時のことだけ話してやろうか?」
それも御免蒙りたい。
人様の、それも野郎の告白なんて、とアスマは遠い目になる。
イルカは人が良いのは知ってはいたが告白云々になると話は別だ。
それにイルカだって、まさかカカシがアスマにそんな話しているとは夢にも思ってないだろう。
本来なら秘密にするべきことを。
話したのがイルカにばれたらカカシはどうすんだ?
イルカはきっと怒ると思うのだが。
アスマが危惧しているのにカカシは話し出す。



「そう、あれは桜の花が咲く頃・・・」
カカシが話し出した時、どこか遠くで鶏の一番声が聞こえた。
コケコッコーと。
外はすっかり明るくなっていた。
もう朝になっている。
「あのよー、カカシ」
アスマは、ふらふらと立ち上がった。
このチャンスを逃してはならない。
「俺は今日、任務があるから」
やっと終わるとアスマは、ほっとする。
長い夜が明けたのだ。
こんなに朝が嬉しかったのは今だかつてない。
「じゃあな」
カカシに別れを告げてアスマは歩き出す。
タバコでも、と思ってポケットに手を伸ばすと全て吸いきっていた。
まずはトレードマークのタバコを求めてアスマは早い時間に開いていた店に立ち寄った。



その日の夕方。
上忍の控え室でタバコを吸いながらアスマは、ぼーっとしていた。
昨夜は徹夜だったのだ。
少し眠い。
徹夜することは忍として、やぶさかではないのだが。
如何せん、昨日の徹夜は気力を根こそぎ持っていかれるような感じだった。
カカシの話に最後まで付き合った結果だ。
「はあ〜あ」
ゆっくりとタバコの煙を吐きながら今日の夜は絶対に家に帰るとアスマは決意していた。
家に帰って家の布団で寝るぞと早くも布団が恋しくなっている。
「早く帰りたいぜ」
終業時間まで、あと数分であった。
その時である。
上忍控え室の扉が、がらっと開いた。
「よう」
入ってきたのはカカシであった。



カカシは朝、別れた時と同じく元気であった。
そういや、とアスマは思い出した。
今日、カカシは休みだったんだなと。
「いや〜、よく寝たよ」
入ってきたカカシは上忍控え室のソファーに、どっかりと腰を下ろした。
「朝方、帰って寝て起きたら夕方だったから驚いた」
よく寝たのだろう。
カカシの笑顔は爽やかであった。
「で」
爽やかな笑顔に不気味さが加わった。
「でさ、実は俺、明日も休みだからさ」
ぎくっとなったアスマの背筋に冷や汗が流れた。
もしかして、と嫌な予感がする。
「まだまだ話していないことがあったでしょ」
話していないこととは例の告白話であろうか。
寝不足で、そんな話聞きたくない。
里にいるのに二れんちゃんで徹夜なんて嫌だった。
「だからさ〜」
その先のカカシの言葉は聞きたくなかった。
「今日も朝まで飲もうよ、じーっくり話を聞かせてあげるから」
俺とイルカ先生の話をね、とカカシは続けたが。
アスマは、ぶんぶんと首を横に振った。
「いーや、結構。もういい、たくさんだ」
「なんでさ」
カカシは、とっても不満そうだった。
「俺は家に帰りたいんだ。帰って今日は眠る!」
ここはアスマも譲れない。
双方、睨みあった。



その時である。
アスマを睨んでいたカカシの気が逸れた。
ぱっと上忍控え室の入り口の扉を見たかと思えば、いきなり扉を開いた。
そこには・・・。
「イルカ先生!」
イルカが立っていた。
疲労の色は見えたが元気そうである。
一日ぶりのイルカであった。
「帰ってくるのは明日じゃなかったんですか!」
喜色満面のカカシは、とっくにイルカの手を握っている。
ぎゅーっと握って嬉しそうにしている様は子どものようでもあった。
「ええ、まあ」
苦笑したイルカは照れたように言った。
「カカシさんに会いたくて早めに帰って来てしまいました」
そんなイルカを見て、助かったとアスマは安堵したのだった。




その一言が命取り2
その一言が命取り4



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