AIで普通の動画を3D動画に変換する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


金の切れ目が縁の切れ目30



「・・・カカシさん。」
イルカは掠れた声を出した。
「なんでここに・・・。」
当惑しているようだった。
「なんでって、それはさ。」
カカシは腕の力をいっそう強めて、イルカを自分の方に引き寄せる。
体が密着しイルカの体温を感じてたカカシは安心感が、どっと押し寄せてくるのを感じた。



「イルカがいつまでも俺に会いに来ないからでしょ。待っていたのに。」
恨みがましくカカシが言えばイルカはカカシの腕の中で俯いてしまう。
「俺に黙って家も出て行くし、どれだけ心配したと思っているの。」
勿論、心配もしたけどショックの方が大きかったのは黙ってようか迷ってしまった。
ちょっと情けないかもしれないとカカシは自分でも思っていたからだ。
涙したというのも隠しておきたい。



イルカの前ではカッコいい人でありたいのだ。
でも、言ってしまった。
「イルカが俺の家から出て行って、俺、すごくショックでショックで。」
え、と驚いたようにイルカが顔を上げる。
「ずっと一緒にいるのが普通だったから、家にイルカがいなくて寂しくて悲しくて、思わず涙が出た。」
想いが伝わるようにカカシはゆっくりと心込めて言った。



「イルカに俺の傍にいてほしい、これからも、ずっと。」



自分の想いを残さず伝えてイルカの返事を待つ。
アスマが言っていたことをイルカの口から直接聞きたい。
恋のキューピッドとやらから聞いたことだけじゃ、ちょっと不満だ。



「あ、の。」
イルカの口から言葉が出る。
カカシを見て何か言おうと口を開いた。
「カカシさん、俺・・・。」
声が震えていて瞬きの回数も増えている。
緊張しているのか。
そんなイルカを優しく見詰めて、急かすことなくカカシは、あの言葉を待った。
急がなくてもイルカは自分の腕の中にいる。
焦ることはない。
ただ待てばいいだけなのだ。
「俺は・・・。」
イルカは大きく息を吸い込むと決心したようにカカシの目を見詰めた。
カカシの視線とイルカの視線が絡み合う。
二人の間に漂う空気も甘いものになっている。
「カカシさんのことが・・・。」



その時だった。
キーンコーンカーンとアカデミーの鐘の音が聞こえてきたのだ。
鐘の音はカカシとイルカの甘い空気を、あっという間にかき消した。
イルカも途端に正気に返る。
「あっ!俺、仕事の途中だった!」
散乱している地面の書類に目をやるとカカシの方を申し訳なさそうに見る。
「カカシさん、えっと。」
カカシは目を閉じて、ふーっと息を吐くと自分の腕からイルカを開放した。
そして、地面に散らばった書類やら本やらを集め始める。



全部拾い集めるとイルカに渡した。
「ありがとうございます。」
頭を下げたイルカにカカシは人差し指を突きつける。
「この場はこれで引き下がるけど仕事が終わる頃、迎えにくるからね!」
「は、はい。」
「逃げたら承知しないから。っていうか逃がさないからね、イルカ。」
まるで果し合いの申し込みのような気迫だ。
イルカは、こくりと了承の意を込めて頷く。
「分かりました。」
「分かったらよろしい。」
大仰に言ってカカシは去ろうとしたのだがイルカが最後に言った言葉に足を止めた。



「俺、カカシさんが迎えに来るの・・・。」
振り返るとイルカが、ふわりと微笑んでいる。
「待ってますから。」
それでは、とイルカは軽く会釈をするとアカデミーの建物の中に姿を消した。
後には柄にもなく照れて顔を赤くしたカカシが残されたのだった。



金の切れ目が縁の切れ目29
金の切れ目が縁の切れ目31






text top
top