AIで普通の動画を3D動画に変換する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


金の切れ目が縁の切れ目31



アカデミーが終わると思われる時間に迎えに行くとイルカは大人しくアカデミーの待っていた。
「カカシさん。」
カカシの姿を見つけると名を呼びながらイルカは駆け寄ってくる。
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
昼間も会ったが、こうして、ちゃんとイルカと話すのは本当に久しぶりだ。
「うん、元気だよ。イルカは?」
「元気でした。」
「そっか。」
二人は肩を並べて歩き始めた。



「最初にお礼を言わせてください。」
イルカは一旦、立ち止まるとカカシに深々と頭を下げる。
「色々お世話になりました。感謝してもしきれないほどです。」
「まあ、それは・・・。」
気にしなくていい、と言いかけたカカシは代わりに目の前にあるイルカの頭を撫でた。
髪の手触りも久しぶりで触れることに嬉しくなる。
イルカが下げている頭を、いつまでも撫でていると居心地悪くなったのかイルカが、もぞもぞを動いた。
察したカカシが手を離すとイルカが頭を上げる。
ふふっとカカシが笑うと、イルカも笑った。
イルカの笑顔を間近で見るのも久しぶりで、だんだんとカカシは気分が高揚していくのを感じる。



「イルカ、行こう。」
イルカの手首を掴んで引っ張った。
一刻も早くイルカを二人きりになりたい。
誰にも邪魔されないところで話したい。
話したいことは山ほどある。
だが最優先でイルカの口から聞きたい言葉が一つあるのだ。
だから・・・。
「行くって、どこにです?」
訳が分からないと引っ張られながらイルカが訊くとカカシは率直に答える。
「俺の家。」
イルカはカカシの家に連れて行かれた。



カカシの家に連れて行かれたイルカはカカシの家を懐かしそうに見渡した。
「つい最近までお世話になって住んでいたのに、少し離れただけで違う家に見えますねえ。」
「あのねえ、イルカ。」
ベッドに腰掛けたカカシはイルカに隣に座るように促した。
「ちょっと、こっちに来なさいよ。俺の隣に。」
「はい。」
イルカは素直にカカシの隣に座った。
カカシは自分の家なので額当てもベストも覆面も取り去り寛いでいる。



やっと家に連れてきてイルカのことを自分だけが見ていることに満足した。
「はー、落ち着くねえ。」
隣に座るイルカの手を、さり気なく握りながらカカシは幸せの溜め息をついた。
手を握られたイルカが、さり気なく手を解こうとするが、そんなことはさせない。
「えっとアスマさんから聞きましたか?」
イルカが小さい声で切り出してきた。
多分、借りたお金のことを指しているのではないだろうか。
アスマがカカシにイルカが好きだといったくだりを言ったとは、まさか予想していないだろう。
「イルカが銀行からお金の借りたことなら聞いたよ。それから木の葉の里の医療制度が変わってイルカが借りたお金も直ぐに返せることも。」
「そうですか。」
ほっとしたようにイルカが肩の力を抜いた。
「俺がメモに書き置きしておいた銀行の残高も確認してくれましか。」
「うん、確認したよ。問題ない。」
「よかった。」
イルカは床に視線を落とす。



「アスマさんから木の葉の里の医療制度が変わることを聞いて、俺。」
カカシが握っていたイルカの手が、ぎゅっとカカシの手を握り返してきた。
「俺ですね、変わることが悪いことばっかりじゃないんだなって思ったんです。いつか、俺言いましたよね、お金で人は変わるけど、でも。」
床を見詰めたまま自嘲したような表情を浮かべる。
「カカシさんみたいに良い人もいるって分かりましたし、お金に限らず変わること、変わっていくことがたくさんあって、それが良いことでもあるだなあって。」
「だから。」とイルカは、ちょっと笑ってカカシを見た。
「今回のことで俺、少し大人になったかも。」
「そうだねえ。でもね・・・。」
カカシはイルカを慰めるように言った言葉は慈しむような響きも含んでいた。



「イルカはイルカでいいんだよ。」



カカシの、その言葉を聞いてイルカの瞳は大きく揺れる。
「イルカは、いつだって頑張っていたじゃない。俺は、そんなイルカが好きだよ。」
「カカシさん。」
「好きなんだ、イルカ。」
「・・・本当に。」
「本当に。」
「・・・本当に本当に。」
「本当に本当に本当に好き。」



次の瞬間、イルカはカカシの首に手を回して抱きついてきた。
ぎゅうぎゅうと腕に力を込めてカカシに抱きついている。
幼い子供が長いこと迷子になって、やっと会えた親に縋り付くように。
ぽんぽんとカカシはイルカの背を叩き抱き返した。



イルカは、ずっと一人ぼっちで寂しかったがカカシに会えて、やっと、その寂しさがなくなったのかもしれない。
「好き。」という言葉は今は、まだ聞けないのかもしれないけど、そう遠くないうちに、きっと聞けるに違いない。
なによりイルカから抱きついてきたのが答えだろう。
今はただただ、自分の腕でイルカを抱きしめることだけでいいのかもしれない。




胸が満たされるのを感じてカカシは、ゆっくりとイルカの言葉を待つことにした。
まあ一応、アスマから聞いていることだしね、と余裕を見せる。
その夜、結局、イルカはカカシの家に泊まることになったのだが、イルカはカカシに抱きついて離れることはなかった。




その後。
イルカはカカシの家を出てから自分の実家ではなく、寮を借りて住み始めたことを告げた。
勿論、カカシは、その家にしょっちゅう訪れるようになる。
実家はどうするのか、と尋ねるとイルカはカカシに言った。
「いつか、あの家の閉じている部屋の扉を一緒に開けてください。そして、できたらカカシさんと・・・。」
その先は顔を赤らめて言わなかったが、きっとカカシと一緒に住みたいと願っていてくれている、とカカシは思う。
「うん、いいよ。」
カカシが快く了承するとイルカは嬉しそうに頷いた。




それから、ある日ある時、カカシはイルカにキスをされて「好きです。」と告白された。
待ち焦がれた言葉を言ってもらえて、カカシが幸せになったのは言うまでもない。
カカシもイルカにキスをして何十回も何百回も言った言葉をイルカに言った。
「大好き。」
そうしてカカシとイルカは幸せになったのだった。



終わり



金の切れ目が縁の切れ目30





text top
top