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金の切れ目が縁の切れ目25



イルカは里の忍が使用する演習場の奥の森の中で、一人佇んでいた。
木の幹に背を預けて、ぼんやりと空を見ている。
瞬きもせずに空を見ていて、その表情からは何を考えているのか窺い知れない。
カカシは、そんなイルカを木の上から、じっと見詰めていた。



イルカは誰かの慰めを必要としてようにはみえない。
先ほどの少年との会話で、少年の言葉がイルカの心の琴線に触れたはずなのに、その様子が見られないのだ。
イルカの代わりにカカシが溜め息を吐きたくなってくる。
何を、そんなに我慢しているのか。
泣きたかったら泣けばいいのに。
そういえば、三年、一緒に暮らして笑顔を見ることはできたが泣き顔は見たことがなかった。
泣き言も聞いたことがない。



笑うのが苦手な時期あったが、それでも明るく振舞っていたように思う。
寧ろ、とカカシは今更になって気がついた。
イルカが自分に弱いところを見せなかった事の方が重要なのではないか、と。



明るく笑って、自分に懐いてくれてはいたんだけどね。
あー、俺ってとカカシは、ちょっと自嘲する。
まだまだなのかな、好きな人の総てを受け止めるには・・・。
でも受け止めてあげたい、何故ならば好きだからの一言に尽きる。
そして、カカシはイルカの前に姿を現した。



「・・・・・・カカシさん。」
イルカはカカシを、ちらと見て、すぐさま視線を逸らしてしまう。
気まずそうな顔をしている。
「イルカ。」
カカシはイルカの傍まで行くと、手を伸ばした。
伸ばした手で、ただイルカの頭を撫でる。
撫で続けた。



ゆっくりと撫でて、優しさが伝わるように一心に気持ちを込める。
イルカはカカシにされるがままに大人しくしていた。
どのくらい撫でただろう。
イルカは身動き一つしなかったが、盛んに目を瞬かせ始めた。



カカシは手の動きを止めずに言った。
「泣きたかったら泣けばいいじゃないの。」
子どもに言い聞かせるような口調だ。
「泣いてなんか!」
一瞬、強く言い返したイルカであったが、直ぐに勢いは落ちる。
「・・・泣いてなんかいません。」
「泣いたっていいのに。」
「俺は泣きません。」
「強情だなあ。」
はは、とカカシが呆れたように笑うとイルカが、かっとなったのか目を吊り上げた。



「・・・強情で悪かったですね。」
拗ねたように言い、罰が悪くなったのか唇を噛む。
「あはははは。」
こんな時なのに、カカシは笑ってしまった。
「そんなに笑うことないでしょ。」
イルカの小さな抗議にカカシは優しい笑みを浮かべる。



「そういう強情のところも好き。頑固なところも好き。料理が下手なところも人見知りなところも大好き。」
イルカの頭を撫でいた手でカカシは、イルカの肩に触れた。
そのまま掴んで引き寄せる。
「不器用で馬鹿なところも好きだなあ。」
「それって、ちっとも俺の良いところじゃないですか。」
すっぽりとカカシの腕の中に収まったイルカが、ぽつりと呟いた。
「イルカの良いところも悪いところも、全部、ひっくるめて好きだってことだよ。」
カカシの腕の中でイルカの体の力が抜ける。



緊張してのが解けたのか、どっとカカシに寄り掛かってきた。
そんなイルカが愛しくなってカカシは、有りっ丈の力でイルカを抱き締める。



「イルカ、好きだよ。」
カカシは囁いてイルカの顔に自分の頬を摺り寄せた。
お互いの唇の距離が縮まる。
距離が更に近くなるがイルカは逆らわない。
今度は自分が欲しいものが手に入りそうだとカカシは心のどこかで思ったのだった。




金の切れ目が縁の切れ目24
金の切れ目が縁の切れ目26






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