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金の切れ目が縁の切れ目24



怒り心頭のカカシは冷静になれず、燃えるような目をしてイルカに暴言を放った少年を睨みつけた。
その目は恐ろしいほど冷たく鋭い。
睨みつけられた少年は再び、一歩退き、よろめいた。
カカシの放つ殺気に、まともに当てられている。



戦場でも冷静さを失ったことなどないカカシであったがイルカのこととなると、そうではいられないらしい。
自分でも知らなかったが。
「あのねえ。」
低く地を這うような声がカカシの口から零れる。
「イルカのことで、お前に口出しされる謂れはないよ。」
怒りにまかせてカカシは感情を、ぶちまけた。
「俺とイルカの関係に口を出す必要もない。噂?噂がなんだっての。?イルカに噂の真実を確かめもしないで、一方的に噂の方を信じるのは友達って言えるのか。イルカのため?何が!」
はっ、とカカシは吐き捨て、少年を殊更、強く睨みつける。
「イルカのためだなんて、都合のいい言葉だな。だいたい、イルカは・・・。」
「・・・・・はたけ上忍。」
その時、イルカの声がした。 だがカカシは止まらない。



「イルカは変わってなんかないよ。変わったのは、お前の方だろう。」
「・・・はたけ上忍。」
カカシの名を呼ぶイルカの声が小さく聞こえた。
「イルカが俺と住んでいる、一番の理由が何だと・・・。」
「カカシさん!」
イルカが大きな声を出して、無理矢理にカカシの言葉を遮った。



カカシにだけ分かるように口を動かす。
それは『約束』と読み取れた。
約束、と読み取れた言葉でカカシは、その約束を思い出した。
三年前にした約束だ。



カカシがイルカにお金を貸して、そしてイルカがそのお金で少年の母親の治療を助けたことは秘密にする。
その時、カカシは分かったと約束をした。
イルカは約束に念を押して、例え自分が死んでも秘密にしてほしいと言っていた。
約束を思い出してカカシは、それ以上、何も言えなくなってしまう。
イルカとの約束だ。
約束は守りたいし、イルカが望んだことは叶えてやりたい。



未だ、腸煮えくり返るような思いがカカシの中に渦巻いていたがカカシは、それを強い意志の力で押さえつけた。
そしてイルカを呼ぶ。
「イルカ、おいで。」 くるり、と身を翻した。
「帰るよ、家に。」
イルカを、この場には残していけなかった。
カカシが去ったら、また、ひどいことを言われるかもしれない。
一刻も早く、安全な場所へとイルカを連れて行きたかった。



イルカの気配がカカシの後に従うのが分かって安心したのだが、イルカは去り際に蒼ざめた顔をした少年に言い残した。
「ごめん・・・。俺が気に障っていたのならごめん。」
どうしてイルカが謝るのか。
そう思ってカカシは、もっと、あの少年にきつく言ってやればよかった、と大人気なく思った。



カカシの後を歩いているイルカだが、暫く歩いて、ふと足を止めた。
「イルカ?」
振り返るとイルカが頼りなげな瞳をしてカカシを見ている。
「どうしたの?」
問い掛けにイルカは、ちょっと笑った。
笑ってはいるけれど、悲しそうに笑っている。



「俺。」とイルカは掠れた声を出した。
「用事を思い出したので。」
カカシから少しずつ、後ずさりイルカは離れていく。
「カカシさん、先に帰っていてください。」
そう言うとイルカの姿は、あっという間に、その場から消えてしまった。
眉を顰めて舌打ちしたカカシは、当然の如くイルカを追いかけるために、自分も姿を瞬時に消したのだった。




金の切れ目が縁の切れ目23
金の切れ目が縁の切れ目25






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