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金の切れ目が縁の切れ目23



これって、いったい・・・。
暫く、何がどうなったのかと茫然自失のカカシであったが、はっと気がついた。
告白して断られるって、世間で言うところの所謂、あれだ。
振られたってこと、だよな。
人生初めて好きになった人に告白して振られた。



現実はカカシを打ちのめした。
気がついた現実に、どっと疲れを感じて、ばったりと机に突っ伏してしまう。
「はああああ。」
盛大に溜め息も出た。
「はー。はあー。」と溜め息は止まらない。



「俺、実はイルカに嫌われていたのかな?」
自問自答する。
「でも。」とカカシは思い返す。
「イルカのことを抱きしめても頭撫でても、本当には嫌がらなかったし・・・。」
時には嬉しそうにしていることもあった。
なのに、とカカシは唇を噛んだ。
「どうして、こうなっちゃったんだろう・・・。」
どうして、こんな結果に?
考えても解らなかった。



そういえば、イルカはカカシが告白して答えるを求めると辛そうにしていた。
聞かれたことに対して答えることを怖れているような感じもする。
断る理由も言わずに、ただ、駄目だと言って謝っていた。



どうしてだろう。
どうして断られたんだろう。
考え始めると止まらなかった。
イルカに、ちゃんと答えを聞きたい。
でないと納得できない、いや、納得しても諦められないだろうけど。
それに、とカカシは突っ伏していたテーブルから顔を上げて、立ち上がった。



イルカは友人と会うと言っていたけれど、実際、誰と会うのか気になって仕方がない。
恋する男の所以である。
もしかしてイルカは誰かと二人きりで会ったりして、そして・・・。
余計なことを邪推して、更に要らぬことを深読みしてしまい、執念深く諦めが悪い自分の性格を、よく知っていたカカシはイルカを追いかけて、外へと飛び出した。




イルカを追いかけたカカシは、すぐにイルカを見つけることができた。



カカシの家から近い場所にある公園にイルカは、ある人物を一緒にいた。
ある人物とイルカは対峙していたが、その人物にはカカシも見覚えがあった。
かつて、イルカが少年の母親の病気を治すために色々と援助していた、あの少年である。
少年の母親は難しい病気であったが、イルカがカカシから借りたお金で病気を治すのを陰ながら助けたことがあった。
もちろん陰ながらであるので、少年はイルカが行った、その事実を知ることはない。
口止めされていたこともあってカカシも、すっかり忘れていた。
何しろ、三年も前のことである。



イルカに声を掛けようとしたカカシであったがイルカと、その少年の間に漂う雰囲気が何やら只ならぬもので、一旦、声を掛けるのを止め見守ることにした。
只ならぬ雰囲気、それはどちらかというと敵意めいたものに似ていた。



三年前、病院で見た時から、だいぶ成長した少年は恐い目をしてイルカに言っていた。
「イルカ、噂になっているけど・・・。」
「・・・なにが。」
「イルカが上忍と住んでいるって。それで、生活の何もかも面倒みてもらってるって。」
少年の言葉にイルカは何も言わない。
カカシの位置からはイルカの表情は見えなかった。



「生活の総てを上忍の世話になっていて、イルカは上忍のお金で、のうのうと暮らしているって皆が噂している。」
少年の言葉は刺々しく、イルカを責めているようであった。
「上忍に後ろ盾になってもらっているから任務も優遇してもらえて楽してるって。」
聞いていたカカシは、むかむかとしてくるのが押えられなかった。
少年が言っているのは噂が生み出した勝手な憶測で、少年が言うようなことを自分がイルカに何かしてやったことなど一度もない。
事実無根で一度もないのに、なぜ、そんな噂が立つのか。
そしてイルカは、その噂を知っていたのかと思うと胸が痛んだ。



噂が立った謎は、次の少年の一言で判明した。
「イルカが世話になっている上忍って、あの『はたけ上忍』なんだろ。」
曲りなりにもカカシは木の葉の里では有名な忍だ。
有名な上忍と一緒に暮らすことでイルカは目立ってしまい噂になっていたらしい。
そして、それが根も葉もない噂に拍車をかけていたのだ。



「あの『はたけ上忍』に取り入るなんて、どんな手を使ったんだって、すごい噂が飛び交っているぞ。」
多分、少年は友人という立場からイルカに忠告しているのだろう。
「イルカのために言っているんだ。」
イルカのため、なんて都合のいい言葉なんだろう。
なんだか、それは空回りしているのではないか、とカカシは感じた。
要らぬお世話だとも痛烈に思う。
真実は違うのに。



元はといえば、自分が無理矢理にイルカにお金を貸して、それでイルカは少年の母親の病気を治し、カカシはお金を貸しているのを理由にイルカとの生活を続けたのだ。



それをイルカは言えばいいのに、と聞いているカカシは歯噛みした。
イルカは弁明めいたことは一切言わず、先ほどから一言も言葉を発していない。



尚も、少年はイルカに言い募った。
「変な噂が立って困るのはイルカだろ?今すぐ、はたけ上忍の家から出て行けよ、自分の家があるじゃないか。」
その少年の言葉にカカシは、かっと熱くなる。
出て行けってなんだ、それは!
少年は熱心に言う。
「昔のイルカは違っただろ。何でも自分でやっていたじゃないか、どうして変わっちゃったんだよ!」



そこまで聞いたカカシは最早、隠そうともせずに殺気を身に纏わせて姿を現した。
もう黙っていられなかったのだ。
カカシの突然の出現に、イルカを責めていた少年は、慄いて一歩退く。
顔は真っ青になっていた。



イルカが音もなく振り向いてカカシを仰いだ。
その瞳にカカシは映っていたものの、イルカはカカシを見てはいなかった。
「・・・イルカ。」
カカシが名を呼ぶとイルカは、その黒い瞳を一瞬だけ揺らめかせ、それから、ゆっくりと瞬かせたのだった。




金の切れ目が縁の切れ目22
金の切れ目が縁の切れ目24






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