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金の切れ目が縁の切れ目21



多分、とカカシは推測した。
イルカは任務で汚れたままの姿でカカシの家に帰ってくるのを躊躇ったのだろう。
カカシの家を汚しては悪いと考えて任務が終わると自分の家に帰って、わざわざ、水を浴びて体の汚れを落としてからカカシの家に帰ってきていたに違いない。
時には、疲れて家で体を休めてから、カカシの家に帰ってきていたのかもしれない。
だから、里に帰ってきていてもカカシの家には来なかったのだ。



はあ、と任務中のカカシに口から溜め息が漏れた。
これでは一緒に暮らしているとはいえないじゃないか。
怒りにも似た感情が込み上げてくる。
三年間、一緒に暮らして解らなかった自分も情けないけど、そんなことをするイルカの方が水くさいじゃないか。
信頼関係を築いていたはずなのに。



憤る感情をカカシは、遠慮なく任務にぶつけた。
カカシの前から敵が薙ぎ倒されて、散り散りに吹っ飛んでいく。
これは怒りなのか、やっぱり。
イルカに対する怒り・・・。
怒りは、すぐに悲しみに変わる。



カカシの前から、また、敵が吹っ飛んだ。
三年間、大事にしていたつもりだったんだけどな。
激しい感情に流されながらもカカシは冷静に行動をして、着々と敵を倒していった。
敵を倒しながらイルカのことを考える。



イルカと一緒にいて楽しい、もっと、一緒にいたいのに。
笑顔に癒され話し声に和んで、自分だけ見ていると思うと、天に舞い上がるような幸せな気持ちになった。
そして、イルカに優しくしたくなるのだ。
イルカに、いつも笑っていてほしい。
だから、これは・・・。



敵を全部倒したカカシは、武器にしていたクナイを仕舞う。
無性にイルカに会いたかった。
会いたくて堪らない。
イルカに会って、そして・・・。



そして、どうするのかは自分でも解らないが、カカシの足は里に向かって走り始めていた。




報告書を提出して家に帰るとイルカの気配はあった。
そのことに、ほっとする。
玄関先でベストも額当ても武器、装備を外して、物音を立てないように家に入ると眠っているはずのイルカの姿が、いつもの場所になかった。
いつもの場所とはカカシのベッドの下だ。
三年間、一緒に暮らしてカカシに慣れたイルカはカカシのベッドの下を定位置にして寝ていた。
だが今日は、そのイルカの姿がない。
気配はあるのに・・・。
焦ったカカシが家の中を探すとイルカは、すぐに見つかった。



初めてカカシの家に来たときと同じ場所に眠っていた。
すやすやと寝息を立てて眠っている場所は台所の隅だ。
そんなイルカを見てカカシは寂しくなる。
胸が詰まった。
自分がいない時、一人でカカシの家にいるイルカが、どんな風にしているか考えたことがなかったが自分の前では慣れた風に振舞っていても結局は、最初から何も変わっていなかったのか、と。



何かに突き上げられる衝動に駆られてカカシは寝ているイルカを布団ごと、軽々と腕に抱え上げた。
「・・・ん?」
揺れる感覚に寝ていたイルカの目が、薄っすらと開けられる。
「カカシさん?」
暗闇の中、カカシを見とめると今度は、はっきりと目が開いた。
「カカシさん!」
カカシは逃げられないように腕の力を強める。
「な、なに・・・。」
驚くイルカをカカシが、いつも寝ているベッドに、ゆっくりと落とす。
しかし腕をイルカから離さぬまま、カカシもベッドに身を横たえる。



「イルカ。」
名を呼び、腕の中のイルカを抱き締める。
「イルカ、今日は一緒に寝てよ。」
抱き締めたイルカの体温や体の感触がカカシを安らぎに満ちた世界に誘う。
低く囁き、懇願するとイルカは動きを止めて、間近にあるカカシの顔を見詰めた。
今日まで一緒に暮らしていたものの、同じ布団、ベッドで寝るようなことは一度たりともなかったのだ。
息を潜めたイルカがカカシを見るとカカシは目を閉じている。
腕は頑なにイルカを抱き締めて、それは、まるで縋り付いているようであった。
「カカシさん・・・。」
寝てしまったと思ったカカシの名をイルカが呼ぶと、微かにカカシの唇が動いた。



「好きなんだ、イルカ。」



密やかな声がして、それはイルカの耳にも届いたのだった。




金の切れ目が縁の切れ目20
金の切れ目が縁の切れ目22






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