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金の切れ目が縁の切れ目19



イルカと一緒に暮らすようになってカカシは家に帰るのが楽しくなった。
最近は任務が終わって家に帰るのが待ち遠しくて仕方がない。
「誰かのいる家に帰るのっていいねえ。」
カカシは帰ってくる度、自分の家で待つイルカに、そう言った。
「なんかこう、夜帰ってきて、自分の家に明かりが灯っているのを見ると、ほっとするんだよねえ。」
ひどく嬉しそうに言って、子どもみたいに笑う。



「そうですか。」
イルカは任務から帰って来たカカシを、いつも玄関で出迎えている。
カカシとイルカの階級上、任務の質が違うので必然的にイルカの方が家への帰宅時間が早かった。
そして、夕飯の準備をして、カカシのことを待っていてくれる。
あくまで準備だけで料理はしない。
カカシが調理しておいたものを温めたり、それを皿に盛ったりするだけだ。
「そういえばさあ。」
面白そうにカカシがイルカを見る。
「イルカって、全然、料理が上達しないねえ。」
「そ、それはっ・・・。」
気にしていることを指摘されてイルカの顔は赤くなった。
「俺も自分なりに頑張ってはいるんですけど、なんで、できないのか、我ながら不思議で・・・。」
言い訳めいたことを言うイルカの声は小さくなっていく。
「任務の時は、一応、炊事とか担当して出来ているのに、どうして家ではできないのかなあ。」
イルカは自分で言ってのにも関わらず、自分で言ったことに落ち込んでいる。
そして溜め息を吐いてしまう。



「まあまあ、いいじゃないの。」
上機嫌でカカシはイルカを抱きしめた。
一緒に暮らしてからカカシは帰宅するとイルカを抱きめるのが常になっている。
「イルカは家ではリラックスしすぎて、逆に料理ができないのかもね〜。任務だと失敗できないって思うからできちゃうんだよ、きっと。」
「そうかもしれませんが・・・。ちょ、ちょっと、カカシさん。」
抱きしめられることに対してイルカは多少、まだ抵抗があるのか慌ててカカシの腕の中から離れようとした。
「あ、あのう、頭を撫でるのを十回したら、だっ抱きしめるんじゃなかったんですか!」
「ああ、そう言われれば、そうだった〜ね。じゃあ、ツケにしておいて。」
「ツケって・・・。」
困惑した表情のイルカが、やけに可愛く見える。
カカシは感情の赴くままにイルカの頭を、わしゃわしゃと撫でた。




ある時、任務に出たカカシは同じ隊の仲間に休憩時間の際に言われた。
「最近、カカシは笑顔が多いな。」
「そう?」
「ああ。」
顎鬚を豊かに蓄えた仲間は、煙草の煙を空へと吐き出した。
「それに機嫌もいいな、薄気味悪いほどによう。」
「そうかなあ。」
自分でも気がついていなかったがイルカとの一緒に暮らしているのが、今のカカシに多分に影響しているのかもしれない。
イルカと一緒にいると自然に笑っている自分や心穏やかになっている自分を、しばしば感じていた。
「それに一番、すげえなと思うのが、カカシ、お前。」と仲間は煙草を思った手でカカシを指差した。



「今、すこぶる健康だろう?」
「けんこうー?」
「体も心も、以前とは見違えるように健康的に見えるぜ。それに生きているのが楽しそうだ。」
「そっかー。」
カカシは読んでいた本から目を離し、空を見上げた。
「だとしたら、イルカのお陰かな。」
晴れた空にイルカの、はにかんだ顔を思い浮かべる。
「イルカ?」
カカシの出した名前に髭の仲間は、目敏く反応した。
「誰だ、そりゃあ?」



「あー、うーんとねえ。」
話すかどうか悩んだ末に、カカシは打ち明けた。
「成り行きで一緒に暮らしている子だよ。その子がねえ、すごく面白い、そして時々可愛いんだ。」
「へええ。」
物珍しげな目で仲間はカカシを眺め、にやりとした。
「そりゃ、ついにカカシにも好い人が出来たってことでいいのか?懇ろな仲なのか。」
下世話な推測にカカシは眉を潜めた。
「おかしなこと言うんじゃないよ。あのねえ、俺とイルカは・・・・・・。」



その先を言おうとしてカカシは口を閉じた。
俺とイルカは何々だろう?
イルカのことは嫌いじゃないし、寧ろ、とても気に入っていて一緒にいると楽しい。
できたら、いつまでも一緒にいたいと思うんだけど。
・・・こういう感情って何て言うんだっけ?
答えを出すのは簡単だけど、それでいいのか。
自分でも説明のつかない感情で戸惑っているカカシを見て、髭の仲間は豪快に笑って最後に、こう言った。
「まあ、大事にしてやるんだな、その子を。」
カカシとイルカの仲を応援するかのように、それは聞こえたのだった。




金の切れ目が縁の切れ目18
金の切れ目が縁の切れ目20






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