金の切れ目が縁の切れ目18
イルカはお金に関しては、きっちり白黒つける性分のようで二人の間にはお金を貸すことに対しての借用書が作られた。
作成者はイルカだ。
「ええと、甲は乙に対して金・・・、幾らでしたっけ?」
カカシがイルカに形だけ貸すというお金の金額を言うと、そこに金何百万両とイルカは記載した。
その他の文面も、すらすらと淀みなくイルカは書いていく。
多分、様式みたいなものがあり、それに則って書いているのだろうが手際のよさにカカシは感心する。
「へえ〜、本格的な借用書だね。」
他人事のように言って見ていた。
イルカは書きながら答える。
「以前に任務で、大量の借用書や賃貸契約書等を作成したことがあって、それを真似て書いているだけですよ。」
そんな任務もあるのか、と幅広い種類の任務があることを今更知ってカカシは苦笑いした。
「俺なんて、ほとんど戦場ばかりだから、そんな任務があるなんて知らなかったよ。」
「任務なんて適材適所です。俺は戦場に向かなかったから、このような任務をしただけで・・・。戦場ばかりの任務を受けていたカカシさんが知らなくても当たり前です。」
ちょっと怒ったようにイルカは言って、ふとカカシを見上げた。
その目は困ったような、それでいて慈しむような感情が含まれている。
イルカは黙ったまま、そっとカカシに手を伸ばしてきた。
その手がカカシの髪に触れる。
そのまま、頭を撫でられた。
カカシより小さなイルカの手が、恐る恐るカカシの頭を撫でていく。
ふわりふわりとした感触にカカシは笑った。
「くすぐったいよ。」
「いつもやられているから仕返しです。」
真面目な顔でイルカは言うとカカシの頭から手を離して再び、借用書の作成に没頭してしまった。
一時間後、イルカは「できた!」と言って借用書をカカシに見せた。
「カカシさん、できました!」
細かな条項まで、詳細に記載してある。
そしてカカシに借用書を見せながら、読み聞かせをした。
長々と小難しい条項を読み上げられ、どちらかというとカカシはつまらなくて、欠伸が出そうになる。
これでは、まるで学校の授業のようだ。
「分かりましたか、カカシさん。」
先生のようなイルカに尋ねられてカカシは「はいはい。」と適当に頷いた。
「本当に分かっていますか?」
不審な目でイルカに見られて欠伸を噛み殺しながらカカシは頷く。
「あー、うんうん。大丈夫、わかったわかった。」
「じゃ、こことここにサインと拇印をください。」
借用書は二通あり、カカシはイルカに言われた通りにする。
カカシの名前の下にイルカも名前を書いた。
そして、それぞれ、一通ずつカカシとイルカが持つことになる。
「俺がお金を全額返済し終えた時、借用書は破棄してくださいね。」
「あー、うん。」
カカシは、また適当に返事をして借用書を大事なもの専用の引き出しに放り込んだ。
イルカも、きちんと、どこかに仕舞ったようだ。
「ところで、俺、どういう方法でカカシさんにお金を返せばいいですか?」
「え、どういうこと?」
「纏まった現金をカカシさんに渡せばいいのか、それとも別の方法とか・・・。」
「あー、そういうことね。」
考えながら、頭を掻いてカカシは言った。
「現金を渡されるのは面倒だから、俺の銀行の口座に振り込んでもらえればいいかな。」
「じゃあ、口座番号教えてください。」
カカシの銀行の口座番号を聞いたイルカはメモを取る。
「お金は、これから、ここに振り込みますから。」
たくさん任務をして、なるべく早く返せるように頑張ります、と拳を握り締めていたが、そのイルカにカカシは、やんわりと、釘を刺した。
「あんまり無理しなくていいからね。」
それから、程なくしてカカシが病院に内密で掛け合い、病院側の方で理由をつけてお金は不要の旨をイルカの知り合いの少年に伝え、病気の母親の薬が他国から取り寄せられ暫くした後、少年の母親は病気が治り無事に退院した。
その時、イルカは知り合いの少年と共に我がことのように喜んで、殊の他、嬉しそうな顔をしていたのだった。
金の切れ目が縁の切れ目17
金の切れ目が縁の切れ目19
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