AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


金の切れ目が縁の切れ目14



病院帰りに食べたのはイルカの希望でラーメンだった。
すごく大好きらしく、お気に入りの店というところで二人で食べた。
「美味しかったね。」
カカシは食べ終わって店を出てから、素直に感想を述べるとイルカは「でしょう?」と得意げにしている。
「あそこのラーメン、美味いんですよね。俺ラーメン大好きだから、三食ラーメンでも全く平気です。寧ろ、三食ラーメン推奨派です。」
「イルカは極端だね・・・。」
カカシは肩をそびやかす。
「えー、そうですか。」
イルカはカカシの真似をして肩をそびやかした。
「好きなものだけ食べていられたら、それだけで、よくないですか?」
「よくないよ。」
眉を潜めたカカシはイルカの肩を嗜めるように軽く叩く。
「好きなものだけ食べていたら栄養が偏るし、体によくないって。」
「でも。」と珍しくイルカは言い募った。
「好きなものだけ食べるって幸せじゃないですか。」
「ラーメンで幸せって、それってさあ・・・。」
「じゃあ、カカシさんの言う幸せってなんですか?」
隣を歩くイルカはカカシを見上げて、逆に尋ねてきた。



「え・・・。えーと、そうだねえ。」
イルカに思わぬ反撃されてカカシは少し怯む。
「・・・あー、うん。幸せねえ。」
家への道を歩きながらカカシは腕を組んで考える。
そういえば、今までの人生幸せについて考えたことなんてなかったな〜とか思ってしまう。
毎日が忙しくて、気がつけば今に至るような人生だったからだ。
「そうだねえ。」
その場限りの言い逃れでもでもしようと思ったがイルカのどこか期待するような瞳を見て止めた。



とりあえず、カカシなりに真剣に答えてみた。
「幸せって、誰かといること、じゃないのかなあ。」
「誰かと?」
「やっぱり生きていくのに独りだと寂しいし、気の合う人と一緒にいられたら、独りの時より倍、楽しい人生がおくれる・・・ような気がする・・・。」
答えてみたものの、どうにも頼りない答えになってしまった。



「その気の合う人って、どんな人ですか?」
イルカは無邪気に訊いてきた。
特に意図はなく、話の流れに添っただけらしい。
「うーん、あー。気の合う人ねええ。」
それは結婚の約束をした恋人とか、将来を見据えて結婚を前提にした人とかになるのだろうか。
でも、どちらも違うような気がする。



なのでカカシは思っていることを正直に答えた。
「今はイルカかな。」
「誰です?」
「イルカ。」
「・・・どちらの方ですか?」
「こちらの方だよ。」
カカシは目の前のイルカを、はっきりと指差した。



「俺ですか?」
指差されたイルカは、余程驚いたのだろう、素っ頓狂な声を出した。
「俺?」
再度、確認してくるイルカにカカシは頷く。
「うん、そう。」
「なっ、なんで・・・。」
イルカは狼狽している。
まさか、自分だとは予想もしなかったのだろう。
しかもラーメンの話しから、ここまで話が展開するとは絶対に思ってなかったに違いない。



「だって、俺、カカシさんと知り合ってから、たった四日間しか経っていないじゃないですか。しかも今、現在、カカシさんが俺を放っておけないという理由だけでカカシさんの家にお世話になっていて、ご飯食べさせてもらって普段より元気溌剌になちゃっているし、それに・・。」
イルカの声のトーンが下がる。
「カカシさん、俺といても何のメリットもないし・・・。」
それと共に目が伏し目がちになっていき、最後には完全に視線は地面に落ちた。



「そうでもないよ。」
穏やか声にイルカは顔を上げる。
「イルカをいると楽しいよ。独りでいるより変化があって楽しい。」
カカシは穏やかな声と同じに、穏やかに微笑んでいた。
「まあ、なんというか、あれだね。」
イルカは促されてカカシの横に並んで歩く。
「お金で買えないものも世の中にはあるってことだよね。」
隣で歩く人を心配したり抱きしめたりすることが嫌じゃない。
可愛く思ってしまうこともある。
お金で買えないものとは、そういうものだとカカシは言いたかったのだが、何分、そんなことになるとカカシは口下手になりイルカは、そういう方面には極めて察しが悪かった。
どこか似ている二人なのかもしれないのであった。




金の切れ目が縁の切れ目13
金の切れ目が縁の切れ目15






text top
top