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Cookie&Biscuit 6



とりあえず、当座の物を持ってカカシとイルカは帰途に着いた。
帰る先は、もちろんイルカの家だ。
「カカシさん、荷物、重くないですか?」
イルカはカカシの衣類等を持ち、カカシは部屋にあった大量の本のうちの、かなりの数の本を持ってきていた。
重いはずなのだが、片手で悠々と持っている。
「ぜんぜん、平気ですよ〜」
その本をカカシは好んで読んでいたのか、にこにこしている。
「早く読みたいなあ〜」
うきうきもしている。
「どんな内容の本なんですか?」
カカシが本を見せてくれなかったので、イルカは内容を知らない。
少し興味が沸いた。
「うーん、えっとですねえ」
首を傾げたカカシは何事か考えていたが、首を振った。
「内緒です。お父さんには教えられません」
「そうですか」
残念だったが、カカシにもプライバシーというものがある。
例え、それが仮にも親子の間柄でも。
イルカは、そう思っていたから、それ以上は訊かなかった。
残念そうなイルカの頭をカカシは、そっと撫でる。
「お父さんが、もっと大人になったら教えますね」
何やら、おかしなことを言っていた。
イルカは、もう大人なのに。
カカシの方が年上だけれども、一応は成人はしている。
そう抗議するとカカシは大人な仕草で「まあまあ、お父さん」とイルカを宥めてくる。
まるで、カカシの方がイルカの父親みたいに。
イルカのことを『お父さん』と呼んでいるのに。



「いいですよーだ」
ぷいとイルカは顔をカカシから背けた。
後で絶対に見てやるんだから、と思いながら。
拗ねたイルカの手をカカシは握る。
「機嫌直してください、お父さん」
ちらりと見ると、カカシは困ったように眉を下げていた。
しょんぼりとしている。
「意地悪している訳じゃないんです」
その表情は途方に暮れた子供のようだった。
イルカにも覚えがある。
子供の頃、父や母に叱られて謝りたいけど謝れない気持ち。
謝るタイミングは意外と難しいのだ。
「ごめんね、カカシさん」
イルカは握られた手を握り返した。
カカシの顔を見て、安心させるように微笑んだ。
「怒っていませんから。どっかに寄って甘いもので食べて帰りましょうか」
「はい、お父さん!」
ぎゅっと手を握ってきたカカシは、とっても嬉しそうだった。



そうして、カカシとイルカは手を繋いで里中を歩いていたのだが突然、後ろから声を掛けられた。
「ん〜?カカシじゃねえか」
振り向くと、そこには髭を蓄えた大柄な男性がいた。
忍服を着ているので忍だろう。
口には火の点いてない煙草を銜えていた。
「カカシだよなあ」
カカシって・・・。
カカシと呼ぶからにはイルカの今、正に横にいるカカシのことを指しているのだろう。
多分、記憶があったときのカカシの知り合いに違いない。
どうしよう・・・。
こんなとき、どうすればいいのか火影に指示を受けていない。
カカシの記憶喪失を隠すべきなのか、公にすべきなのか。
イルカが迷っているとカカシが口火を切った。
「あんた、誰?」
ぞんざいな言い方だった。
「あんたなんて知らないけど」
冷たい。
「カカシさん!」
イルカは慌ててカカシの袖を引っ張った。
背伸びしてカカシの耳元で囁く。
「そんなこと言っちゃいけません。カカシさんの知り合いの方ですよ、きっと」
それに、よくよく見るとイルカはカカシの名を呼んだ大柄な髭の男性の見覚えがあった。
火影の近くで、偶に姿を見る。
話したことは、まだない。
「はああ?」
カカシは、じろっと髭の男性を睨みつける。
「こんなやつ、俺の知り合いにいませんよ」
大胆不敵な発言だ。
「こーんな柄の悪い人間が俺の知り合いなはずがありません。俺の品格が疑われるじゃありませんか」
「カカシさん・・・」
イルカは、もうどうしていいか分からない。
知り合いの人に、こんなこと言って記憶が戻ったら困るのはカカシさんなのに。
イルカこそ、途方に暮れてしまう。
普通、こんなこと言われたら絶対に不愉快になるよな・・・。
カカシのことなのに我がことのようにイルカの胸は、どきどきしていた。
どうしよう、どうしたらと頭の中で考えが、ぐるぐると回る。
「うう〜ん?」
だけども言われた髭の男性本人は「柄が悪い」というカカシの言葉にも気を悪くすることなく、やや目を細めてカカシを眺めてきた。
「なんだか面白いことになってんのな、カカシ」
チャクラを視ているらしい。
「いつもとチャクラの形状が違うじゃねえか。色も形も」
それから、ふいっと踵を返した。
「何をしているか知らんが厄介なことに変わりはねえ」
歩きながら去って行く。
「俺は面倒ごとには関わらない性質なんでな」
最後に、そんなことを言っていた。



「なんなんでしょうね、あいつ」
イルカの手を引っ張りながらカカシも歩き出す。
「俺とお父さんの間に無理やり入り込んできて、馴れ馴れしいったらないですね」
油断も隙もありません、と機嫌を損ねているのが丸分かりだ。
「せっかく、お父さんと二人で休日を楽しく過ごしていたのに、俺とお父さんの仲を邪魔するなんて」
気分が悪いです、と何故か怒っている。
「もう、お父さんが俺に餡蜜でも、あ〜んって食べさせてくれなきゃ機嫌が直りません」
何だか無茶振りをしてきていた。
「餡蜜をあ〜んって」
何だ、それは・・・と問いただす暇もなく、気がついたときには甘味処でカカシと対面で座り、テーブルには白いクリームたっぷりの餡蜜が鎮座していた。
餡蜜は二人で一つ、柄の長いスプーンが二つ。
「はい、お父さん」 カカシがクリームを掬い取ってイルカの口に持ってきた。
「あ、ええと、その」
自分で食べますから、という前にクリームが口の中に入ってくる。
爽やかな甘みのクリームは冷たく、口の中で芳醇な香りを漂わせながら蕩けていく。
「美味しい!」
ぱっとイルカの顔は輝いた。
クッキーやビスケットが好きだったりするので、甘いものには割りと目がない。
「あまーい!」
カカシが目を細めて、喜ぶイルカを嬉しそうに見つめる。
「お父さんに喜んでもらえて、よかったです」
「ど、どうも」
見つめられて、イルカは赤くなる。
考えてみれば、傍から見たら成人男性二人が餡蜜一つを前にして、一方から食べさせてもらったりしているのだ。
さぞかし変な雰囲気だろう。
見ただけでは、カカシとイルカの現在の関係が解るはずもないだろうし。 「さ、お父さん、もう一口どうぞ」
「あ、はい」
しかし、甘いものの誘惑には勝てない。
餡蜜の大半をイルカは平らげてしまった。
しかもカカシに食べさせてもらう形で。
さすがに悪いと思ったイルカはカカシに「あ〜ん」はしてあげたが、それでも二回か三回くらいだ。
食べさせてくれなきゃ、と言った割にはカカシは余り餡蜜を食べなかった。
もしかしたら、すごく甘いものは苦手なのかもしれない。
「すみません、俺が食べちゃって」
あんまりにも美味しかったから。
「いいんですよ、気にしないでください」
カカシは微笑んでいた。
「また来ましょうね、お父さん」
まるでデートのようだった。




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