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あなたへの言葉8



イルカの仕事が終るのを待っていたカカシと連れ立って帰り、その途中に買い物をしてカカシの家に着いた。
家に着くとカカシはイルカに寛ぐように勧めて、自分は早速、夕飯の準備を始める。
「カカシ先生、料理するんですか?」
カカシの手元を覗き込んで、」不思議そうにするイルカにカカシは微笑む。
「そりゃあ、一人が長いとね。イルカ先生だって、それなりにできるでしょう?」
「まあ、多少は・・・。」
イルカは自分の作る簡単な料理の数々を思い浮かべて口篭った。
カカシを手伝おうと台所に来たイルカであったが、カカシの手際がいいものだから手伝う隙がない。
イルカが手伝うことによって、逆に手を煩わるかもしれない。
カカシが作った料理は見事な出来栄えだった。



「美味しい〜。」
料理を食べて、驚きに目を開くイルカにカカシは笑う。
「なあに?俺の料理に、そんなに期待していなかったの、イルカ先生。」
「いいえ、そう意味じゃなくて。」
イルカはカカシの笑顔に、どきまぎしながら言い訳した。
「えっと、美味しいんだろうな、と思っていたんですけど、ここまで美味しいとは思っていなかったので・・・。」
「やっぱり、期待していなかったんじゃない。」
冗談交じりでカカシは言い、こつんとイルカの額を拳で突く。
「じゃあ、今度はイルカ先生の料理を食べさせてもらいたいです、俺は。」
「俺の、ですか。」
「そう、どのくらい美味しいか食べてみたいなあ。」
「あー・・・。はは、その時まで美味しい料理の作り方でも研究しておきますね。」
イルカは軽口に乗じて、たわいない気持ちで言ったのだが、それに対してカカシは意外なことに真剣な顔をして小指を差し出してきた。
「それじゃ、約束。」
「え・・・。あ、はい。」
釣られてイルカは自分も小指を差し出して、そのまま約束してしまう。

「今度、俺のために料理を作ってね、イルカ先生。」
「分かりました。たいしたものじゃないですけど、是非、食べに来てください。」
自分の手料理をご馳走する、その為には自分の家にカカシを招く、イルカは、そんな約束をカカシにしてしまった。



夕飯を食べ終わると、イルカは作ってもらって食べた礼として食器洗いを買って出た。
カカシは了承して、イルカの洗い終わった食器をイルカの隣で拭いている。
そんなカカシを横目で眺めながらイルカは、気になっていたあることを聞いてみた。
「カカシ先生。」
「ん、なに?」
「結婚・・・とかしないんですか?」
「結婚?また、唐突だね〜。」
カカシは、のんびりとした口調で返す。
「だって、もてるじゃないですか・・・。」
「それは結婚に関係ないんじゃないの?」
「でも、憧れたりはしないんですか。」
結婚して、奥さんと子供がいる家庭に憧れはないのだろうか。
カカシに想いを寄せて、あまつさえ告白してくる女性もいるというのに。
「そうだねえ。」
拭いた食器をカカシは食器棚に片付ける。
「結婚に憧れるというよりは、俺はね。」
カカシはイルカの目を見て、はっきりと言った。
「好きな人と生涯を共するっていうのが、いいなあ。」
「そうなんですか・・・。」
イルカには、どうも、ぴんとこない話である。
カカシには好きな人がいるのだろうか?
なんだか、取り残されたような寂しい気分にイルカはなってしまう。



そんなことを考えているイルカの、洗い終わった最後の皿をカカシは受け取り、さらっと言った。
「こんな風に、ご飯の後片付けを一緒にしていると、まるで俺たち恋人同士みたいですね。・・・・・・さ、終り。」
皿を拭きながらカカシは何気なく言い、その皿を片付ける。
「あれ?イルカ先生、どうかした?」
カカシが余りにも自然な感じで言ったので、イルカは動揺している自分の方がおかしいのかと思ってしまったほどだ。
「どうか、って今、カカシ先生が・・・。」
結局最後まで言えず、その言葉尻をカカシが引き取って締めてしまった。
「食器は片付け終わりましたよ。イルカ先生、お風呂、入っていく?」
丁度沸いたみたいだから、とカカシは誘った。
いつも間に、風呂なんて沸かしていたのか。



あんまり長居すると帰れなくなりそうだった。
「いえ、俺、明日、早いので。」
「そう?残念ですね。」
帰るイルカを玄関まで見送りに来たカカシはイルカに、ある物を手渡した。
「これ、さっきイルカ先生が読みたいって言っていた術の解析書だよ。良かったら借りていってよ、俺んちに偶々あったから。」
「・・・すみません。」
イルカは、ずしりと重い書物を受け取った。
確かに読みたいとは思っていたが、それを言ったのは、今日の、ついさっきカカシとの帰り道で話のついでに一言、言っただけだったのだが。
あったら読みたいな〜とかそんな感じで言ったのに。
そんな些細なことを覚えていてくれたのか。



カカシの気遣いに感謝しながらイルカは有り難く借りることにした。
「ありがとうございます。」
イルカは丁寧に頭を下げる。
「暫くお借りしますね。」
カカシは「どうぞどうぞ。」と、満面の笑みだ。
「あ、それからね、イルカ先生。」
「はい?なんでしょう。」
「俺ね。」
カカシは、ひどく残念そうな顔になった。
「明日から里の外へ任務に出ます。少しだけ会えません。」
「そうですか。」
「すぐに帰ってきますから。帰ってきたら、イルカ先生の手料理食べさせてくださいね。」
「はい。」
イルカは、その時、何故か力強く返事をした。
「必ず、帰ってきてくださいね。待ってますから。」
「うん。」
嬉しそうな顔になり、カカシは手を振る。
「じゃあね、イルカ先生。おやすみなさい。」
「はい、ご馳走さまでした。おやすみなさい、カカシ先生。」
イルカも手を振る。



家路を歩きながらイルカは夜空の星を仰ぎ見た。
独り言が洩れる。
「カカシ先生、良い人だなあ。」
溜め息も洩れた。
「あんな良い人なのに、独り身なんて。」
カカシ先生の言っていた生涯を共にする人が早く見つければいいのに。
イルカは、心からそう思った。
そして、その時、流れた星に願を掛ける。
「カカシ先生に好きな人が現れますように。」と。





あなたへの言葉 7
あなたへの言葉 9






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