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あなたへの言葉3



少年の忍は丁寧な手つきで、うつ伏せのカカシを裏返して仰向けにしてから自分の膝にカカシの頭を乗せた。
カカシの顔を覆う布を除けると緊張した顔で、そっと顔を寄せてくる。
唇が触れそうな瞬間、少年の忍は開けていた目を、そっと閉じた。
その様子が初々しくて、今にも死にそうなのにカカシの顔には笑みが浮かんでしまう。
こんな時じゃなけりゃな〜と心のどこかで思っていた。



唇が触れた時間は長かったかもしれないし短かったかもしれない。
そう感じたのは少年の忍が唇を合わせたものの、中々、カカシの口に解毒剤を移し入れてくれなかったからだろう。
口移しというのもの対しての戸惑いが、少年の体から伝わってくる。
唇を合わせたまではいいものの、それから、どうすればいいのか分からないらしい。
強張った少年の体は動きそうにない。
しかし、カカシにとっては事態は一刻を争っていた。
ここまできて死ぬようなことになったら洒落にならない。
そう思ったカカシは強行手段に出た。



「・・・・・・ひどい。・・・・・・・・・ディープキスするなんて。」
少年の忍は口元を押さえて項垂れた。
カカシの頭はまだ少年の膝の上に乗っているので、必然的に顔が向き合う。
「ひどいって言われてもねえ。仕方がないでしょうが、緊急事態だったんだから。」
解毒剤を、やっと飲んだカカシは体が、だいぶ楽になってきた。
掠れてはいるが声も出る。
元々、強靭な肉体と奇跡的な回復力を持つ上忍の体だ。
一度、快方に向かえば治癒も早い。




「だって。」
少年の忍の顔は真っ赤だ。
「・・・セ、セカンドキスまで同じ人に奪われるなんて。」
「・・・・・・セカンドキス。」
一回目のキスの相手がカカシなら、二回目のキスの相手もカカシだったということらしい。
馬鹿馬鹿しい、と笑い飛ばそうとしたカカシであったが、少年の忍の様子が余りにも可哀相に思えたので、それを言うのは控えて別のことを言ってみた。
「去年の俺のキスはキスじゃないって、自分で言っていたじゃない。」
「・・・でも、やっぱりキスだったから。」
少年はカカシが解毒剤を口移しで飲ませたことをキスと認めたらしい。
「まあまあ、そんなにキスとかに夢を見なくてもさ。」
身も蓋もないことを言ってしまった。
「そのうち、別の楽しいことも見つかるよ。」
カカシは見上げている少年の顔に、ゆっくりと手を伸ばす。
伸ばされた手は少年の頬を慈しむように撫でた。
まだ、ぎこちないが手足も、どうにか動くようになってきたらしい。
「そうそう、聞きたいことがあったんだっけ。」
話の流れを変えるために、別の話題を振る。



「名前、なんていうの?」
「俺?」
「そう。」
少年の忍は簡潔に短く答えた。
「イルカ。」
「イルカって海にいる?」
べたな質問だったらしい。
イルカは口を尖らせて「だいたいの人は初めに、そう言うよ。」と面白くなさそうに答えた。
「違うけどね。」
「そう。そりゃ、ごめんね。」
体が落ち着いて安心したカカシは、ふあーっと欠伸をした。
急激な眠気が襲ってくる。
解毒剤の副作用らしかった。
「すっげー、眠い。俺を里まで連れていってくれる?」
カカシはイルカにお願いしてみる。
体はカカシの方が少し大きいくらいだがイルカの体の大きさなら運べないことはない。
「どうも歩けそうにないんだよね。」
「いいよ。」
イルカは頷いて、カカシの細身の体を自分の背に負った。
カカシの体は細いが筋肉質なので重い。
「おーもーいー。」
イルカは背負ったカカシの体の重さの反動で少し、よろけてしまった。
「だいじょぶ?」
欠伸交じりでカカシは、ちっとも心配してないような口調で聞く。
「平気・・・。しっかし、重いね。毎日、肉ばっか食ってんの?」
イルカがカカシを背負いながら、どうにか走り出した。
「んなわけ、ないでしょ。鍛えてんの。」
カカシは自然にイルカの背に顔をくっ付ける。
瞼も今にも、くっ付きそうだった。
イルカの体は温くて気持ちよい。
微睡みに落ちながらカカシは、自分がイルカに名前を名乗ってないことに気がついた。
しかし、眠りは容赦なく襲ってくる。
起きてから自分の名を告げればいいか。
それから念のために近道でも人けのない道を通らないように忠告しよう。
そう思ったのを最後にカカシは心地よい眠りに落ちていった。



次にカカシの目が覚めた時は木の葉の里の病院であったがイルカの姿は、どこにもなかった。





あなたへの言葉 2
あなたへの言葉 4






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