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あなたへの言葉11



一方、イルカはと言えば、ドキドキする胸を押さえながら考えていた。
どうしようどうしよう、カカシ先生は、どちらかと言えば友達なのに邪な気持ちを抱いてしまうなんて、と悩んでいた。
ああ、どうしたらいいんだと、この世の終りのような顔つきになっている。
受付けの仕事をしていても、そんな顔なので、人が途切れた時に隣の席の同僚が心配して、こっそりと聞いてきた。
「おい、イルカ。どうしたんだよ、顔が怖いぞ。」
「そうか・・・。」
「ああ、すごーくな。何か悩みでもあるのか?俺でよければ言ってみろよ。」
「・・・うーん。」
珍しくイルカが深く眉根を寄せて考え込むさまを見て同僚は、したり顔で頷いた。
「ははーん、その顔は恋の悩みだな?」
「・・・違うよ。絶対、違うから。」
「まあまあ、俺の勘だと前途多難で難関多き恋路に迷っている子猫ちゃん、ってところだな。」
「あのなあ、勘ぐりすぎだよ。なんだ、その子猫ちゃんって。」
同僚のいい加減な予想にイルカは少々呆れてしまう。
「そういう時はだな。」
適当な同僚は適当なアドバイスをした。
「当たって砕けろ、だよ。」
「当たって砕けて、どうすんだよ?」
「どうせ悩んでいるんなら、告白して振られて、さっぱりした方がいいだろう?」
「・・・そうかな。」
告白して振られて、さっぱりするかどうかは分からないが、このまま、どっちつかずの気持ちを抱えたままでは、どちらにしろカカシに会うのは無理だ。
「・・・告白した方がいいのかな。」
ぽつり、とイルカが呟くと同僚は、とんとんと肩を叩いて、うんうんと分かったように頷く。
「告白して振られれば、また、前にも進めるさ。」
勝手なことを言っているが、イルカは真に受けた。
「それもそうだな。言うだけ言ってみるよ。」
「頑張れよ、振られてもいいんだからな。」
いつの間にか告白することになり、しかも振られることが前提になっていた。
「俺、告白してみる!・・・多分、振られるけど。」
一応、決心したものの、告白する前から弱気のイルカであった。




さて、何て言えばいいのだろうか?
イルカは再び、悩んでいた。
オーソドックスに「好きです。」と言おうかと思ったのだが、以前、カカシに告白する場面で聞いた言葉が頭に浮かび上がってきた。
カカシ先生は確か、好きという言葉は受け取れません、と言っていたよな・・・。
そこでイルカは沈んでしまう。
じゃあ、カカシ先生に好きだと言っても自分の気持ちは伝わらないのか。
好きと云う言葉で、好きだと言えなかったら何と言えば、好きだということが分かってもらえるのだろう。
まさに難関に、ぶち当たってしまった。
もちろん、あの時告白されたカカシにすれば、その告白した女性からの好きだという気持ちが受け取れないという意味の発言だったのだが、イルカは少々おかしな方向に取り違えてしまっていた。



カカシ先生への言葉は、どうしたらいいのだろう?



思えば、カカシと再会した時にカカシは自分のことを覚えていてくれて、嬉しそうに話しかけてきてくれたのに自分は無下にしてしまった。
イルカは今更ながらに後悔する。
あの時の俺も、やっぱり子供だったのかもなあ。
アカデミーの教師になるための勉強や修行で精一杯で仕事一筋で、恋愛なんてしたことなかったし。
キスをした回数も二回だけなのに、たくさんあるとか見得張っちゃったもんなあ。
イルカは、自分で自分に溜め息が出てしまった。
もう少し、人生経験があったら良かったのに。
心底、そう思った。
だからこそ、今度は自分の方からカカシに告白したいのに、口から出るのは深く重く苦しい息ばかりである。
なんだか迷路に嵌って抜け出せない気分だった。



「イルカ先生。」
一人になりたくて、アカデミーの屋上から夕日を眺めていたイルカに声をかける者があった。
「・・・・・・カカシ先生。」
「どうしたの、元気がないですね。」 カカシはイルカの隣に来て、横に並び一緒に夕日を見る。
手にしていた缶コーヒーの二本の内の一本をイルカに手渡してきた。
「イルカ先生に元気がないと、俺、心配だなあ。」
この前の別れた際の出来事など、なかったかのようにカカシは振舞ってくれる。
イルカは缶コーヒーを受け取りながら、カカシの心遣いを有り難く思った。
そして、その心遣いに甘えて聞いてみることにした。
カカシに好きと伝える方法を、だ。
好きな相手本人に、そんなことを聞くなんて本末転倒のような気がしなくもないが、今のイルカには形振り構っているほど気持ちに余裕はなかった。



「つまらないことかもしれないんですが、実は、俺。」
考えを慎重に言葉にしながら、イルカは缶コーヒーを開ける。
カカシも缶コーヒーを口にした。
「好きな人がいて・・・。」
ごほっとカカシの方から咳き込む音がして、見るとカカシがコーヒーを噴出していた。
「大丈夫ですか?カカシ先生。」
イルカが慌てて差し出したハンカチを借りて、カカシは噴出したコーヒーを拭う。
「あ、どうも。すみません、イルカ先生。」
続けてください、とカカシに促されてイルカは話を続けた。

「好きだと伝えたいんですけど。」
「はい。それで?」
「好きだと言えなくて悩んでいるんです。何て言えばいいのかなって。」
「そうですか・・・。」
カカシは、ふむふむと一瞬考え込む素振りを見せたが、次の瞬間、逆にイルカ質問してきた。
「その、イルカ先生が好きな相手は誰なんですか?」
相手によっては何て言えばいいのか、状況に応じて変わりますからね、と妙に力説している。
説得力もあった。
「えーと。」
まさか、目の前のカカシだとは言えず、イルカは夕日で染まった頬を更に赤く染めて答える。
「俺の身近な人なんです・・・けど・・・。」
イルカの自分に対する態度と発した言葉に、何かを察してカカシは優しい顔になった。





あなたへの言葉 10
あなたへの言葉 12






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