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雨上り1



「カカシさん、どうしたんですか?」
カカシに受付所で「後で話がある」と言われて、指定された場所に行ってみるとカカシが既にいてイルカを待ち受けていた。
ここにはカカシとイルカ以外はいない。
二人きりだ。
「お話って何でしょう。」
「ええとね。」
カカシはイルカと大勢に人の前の時と二人きりの時では態度が違う。
それはイルカも理解しているので、特段、何も思わなかった。
カカシさんは、そういう人なんだなあ、と。



「今日なんですけど。」
「はい。」
「あの、一緒に帰れたらいいなあと思って・・・。」
カカシはイルカに、一緒に帰りましょうと誘いたかったらしい。
なのに受付所では無駄に怖さを振りまいていた。
「あ、はい。いいですよ。」
にこ、と笑ってイルカは答える。
「受付が終わるまで、もう少し掛かりますが。」
「待ってます!」
間髪いれずカカシは言った。
「イルカ先生と帰れるなら何時間でも待っていますから。」
「何時間もかかりませんよ。」とイルカは、くすりと笑う。
「受付は、あと一時間くらいで終わりますから。」
「じゃ、受付所で待っていてもいいですか。」
受付所には簡易の椅子が備え付けてある。
「いいですよ。」
それにもイルカは笑って答えた。



受付所でイルカの仕事が終わるのを待つカカシ。
椅子に座って本を読んでいるのだが、妙に近寄りがたい。
何やらカカシの周囲は、ぴりぴりとしていて、ちょっとだけ殺気のようなものを漂わせていた。
それはイルカが受付で誰かを対応する度に強くなったり弱くなったりしている。
受付する誰かとイルカは、よく親しげに会話をしていた。
それはイルカの人懐こい笑顔や警戒心を抱かせない雰囲気にある。
「・・・そうなんですか、それは良かったですね!」
「だろ?ああ、そうそう、イルカ。今度、飲みにでもいかないか。」
「いいですね。機会があれば、ぜひ。」
そんな会話がカカシの耳に聞こえると、ふわっと殺気のようなものが大きくなった。
案外、カカシはやきもち焼きなのかもしれない。



しかし、その殺気のようなものもイルカが、それに気がついてカカシの方へ視線を向けて微笑むと、瞬時に収まった。
そんなことを何回も繰り返している。
ようやくイルカの仕事も終わり帰り支度を始めると、カカシも本を懐にしまって立ち上がった。
「お待たせしました」と言うイルカと連れ立って受付所を出て行く。
その姿を、そっと見送り受付所にいた者たちは銘々に呟いた。
「はたけ上忍、おっかなかったなあ。」
「イルカのこと、すげえ睨んでいたぞ。」
「どこに連れられ行くんだろ・・・。」
「イルカは大丈夫だと言っていたけど。」
「心配だなあ。」
カカシは、やっぱり誤解されていた。



外へ出ると雨が降り出していた。
暗い空から雨粒が落ちてきている。
「あ、雨が降ってますよ。」
「どうりで空気が湿っぽいと思いました。」
建物の出口で、しばし立ち往生してしまう。
「どうしましょうか。」
イルカは濡れて帰りますか、とカカシに訊く。 忍の体は少々、雨に濡れても何のこともない。
「それとも傘でも借りてしましょうか。」
イルカがカカシにお伺いを立てるとカカシは首を振った。 うきうきとしている。
「それには及びませんよ。」
どこから出したのか、カカシの手には傘があった。
折りたたみ傘が。
でも一本だけ。



「これで帰りましょう。」
ぽん、とカカシが傘を広げた。
折りたたみ傘は普通の傘に比べて、幾分か小さめである。
小さめの傘に成人男性二人が入るのは無理があるのでは・・・。
イルカは危惧したのだがカカシは、ちっともそんなこと思ってないようだ。
「さ、イルカ先生。どうぞ。」
促されて折りたたみ傘に入ってみたものの、思ったとおり小さい。
二人の肩が触れ合ってしまうほどに。
そのことに少し恥ずかしくなってしまったイルカは離れようとしたのだが。
「イルカ先生、もっと俺にくっ付いていないと濡れますよ。」
カカシは逆だった。
とっても嬉しそうな顔をしている。
「相合傘ですね。」
「ええ、はい。」
「相合傘って『あい』がたくさんついていて、いいですね〜。」
相合傘のあいを愛に例えているらしい。
相合傘で無邪気に喜ぶカカシさんて・・・。
かわいいなあ、とイルカは微笑ましく思ったのだった。




雨宿り8
雨上り2





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