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雨上り2



途中、夕飯を食べて帰ることにした。
生憎と家に何もなかったから。
「今度、うちにご飯食べに来てくださいね。俺、作りますから。」
下手ですけど、と付け加えるとカカシは嬉しそうに微笑んだ。
「イルカ先生が作ってくれるなら、俺は何だっていいです。」なんて言う。
それに、うきうきとした口調で「イルカ先生の家に招待してくれるなんて嬉しいなあ。」と子どもみたいに喜んでいる。
こんなところは無邪気で見ていて和むなあ。
イルカはカカシを微笑ましく思う。
和む心は安心にも信頼にも繋がっていく。
二人でいる時は限りなく居心地がいいのだ。
なのに。


夕飯を食べる店を決めて入ると見知った顔に出会った。
「あら、イルカ先生じゃない。」
「よう。」
出会ったのはカカシと同じ、イルカの元教え子の担当をしている上忍のアスマを紅であった。
二人は酒を飲んでいる。
そして一緒に飲まないか、と誘ってきた。
途端にカカシは不機嫌になる。 イルカはカカシさえ良ければ、アスマも紅も親しくさせてもらっている仲だから別に構わなかったのだが。
「どうしますか?」
カカシにお伺いを立てると案の定、カカシは首を横に振った。
イルカに、というよりアスマと紅に。
それからイルカの手を引き、その二人と離れた席を選んで座った。
「あ、あの。」
カカシの行動にイルカは慌ててしまったのだが当の二人、アスマと紅は、この事態を予想したようだ。
「いいのいいの、気にしないでイルカ先生。言ってみただけだから。」
「ああ、ちょっとからかっただけだ。」
二人は面白そうに笑っていた。



偶然、店で会った同僚と会ったカカシは憮然としていた。
顔を顰めて怒っている風に見える。
「・・・カカシさん。」
そんなカカシにイルカが躊躇いながら声を掛けると返事は、すぐに帰ってきた。
「はい、イルカ先生。」
途端、にこにことした顔になる。
「なに、食べますか?お酒は飲みます?」
「あ、はい。お酒は少し飲みたいです。」
アスマと紅から見えない席で、イルカと二人きりがカカシはいいらしい。
イルカが答えるとカカシは、てきぱきと注文してくれた。
手際よく。
カカシは、いつもイルカが思うとおりにしてくれる。
いつもイルカのことを考えていてくれているのか、と思うほど。



食事をして酒がすすむとカカシが楽しそうに話しかけてきた。
「ねえ、イルカ先生。」
どこか甘えた感じだ。
「俺たち、今は友達ですよね。」
「え?ええ、そうですね。」
「いつ、俺たち、恋人になれるんでしょうねえ。」
首を傾げて世間話でもするかのように普通に訊いてきた。
「は・・・、え、こいび・・・。」
恋人、と言いそうになってイルカは途中、飲んでいた酒で咽てしまう。
「ああ、大丈夫ですか。」
カカシは甲斐甲斐しく世話をする。
イルカが溢した酒を拭いてやったりしていた。
「カカ、シさんが突然、変なこと言うから・・・。」



「えー、変なことですか。」
カカシは、きょとんとした目でイルカを見つめた。
「あの日から俺は、ずっと考えていますよ、いつイルカ先生が恋び・・・。」
「わーっ。ストップ!」
イルカは慌ててカカシの口を塞いだ。
「ちょっと、ここでは・・・。その話題は待ってください。」
人の多いところで、こんな話題は出来ない。
ましてや、恋人云々は非常にデリケートな話で人に聞かれていいような類ではない、イルカにとっては。
カカシが言う、あの日とはカカシがイルカに恋人になってほしい、と言った日に違いない。
突然のことでイルカは、すぐには了承出来ずに最初は友達からお付き合いということになっていた。
でも、今は。



「そのことは、あ、とでちゃんと言いますから、ここでは言わないでください。」
「ほんと?」
「はい、本当です。」
「嬉しいなあ。」
カカシの頬が緩む。
「じゃ、約束ね。」とカカシが小指を差し出してきたので指きりしてしまうイルカであった。
カカシさんて知った人の前だと無愛想なのに俺の前では、なんていうか、こう・・・。
可愛いなあ、とやっぱり思ってしまうイルカだった。



食事を終えて店を出ると降っていた雨は上がっていた。
「雨が上がっていますね。」
「はい、星空が見えます。」
空は雲が晴れて満点の星空になっていた。
その星空の下をカカシと歩きながらイルカはポケットから何かを出して、カカシに差し出した。
「これ、よかったら・・・。」
「なに?」
受け取って手の平に乗せると鍵であった。
ぴかぴかと銀色に光る新品の鍵。
「ええと、ですね。」
イルカが言い難そうに、でも、はっきりと言った。
「俺の家に鍵です。もしカカシさんさえ、よかったら貰ってください。」
「・・・なんで、これを俺に。」
答えは解っているのにカカシは、わざと訊いてくる。
イルカの口から何かを聞きたいらしい。



「なんでって。」
一瞬、口篭ったイルカであったが早口で捲くし立てた。
「それはカカシさんに風邪ひいて心配かけて雨宿りして助けてもらったお礼をまだしなかったし前に合鍵ほしいと仰っていたので あげたら喜んでくれるかなと思って、それにカカシさんならいつでも俺の家に来てもいいし俺も・・・。」
そこでイルカは赤くなる。
「俺も・・・、なに?」
カカシは、にっこりというより、にやりとする。
こんな時は無駄にカッコいい。
さすが上忍だった。
「俺もカカシさんのこと、あの、その。」
それは小さい声で聞こえた。
「好き、だから。」
言ったと同時にイルカはカカシに抱き込まれていた。
「嬉しい、イルカ先生!」
大喜びしている。
「諦めないでよかったー!」
カカシに抱き込まれて腕の中でイルカは戸惑いながらも思っていた。 だってカカシさん、とっても優しくて俺のこと、すごい想ってくれているの解るし。
そういえばカカシさんも俺に優しくされて好きになったとか言っていたっけ・・・。



優しくされて好きになるって、なんか、あれだけど。
まあ、いいか、とイルカは思い直す。
だって好きだから。
カカシさんが好きな人の前では無愛想に振舞っていたのは不器用だからで、でも本心を伝えられた後は、すごく優しくて。
そして何より一緒にいたいと思う人なんだ。
カカシに抱きしめられたイルカはカカシを抱きしめた。
ぎゅっと。
余韻に浸っていたのだが、それをぶち壊すような声がする。
「イルカ先生、早速、この合鍵を使ってイルカ先生の家に行きたいです!」
張り切った声がカカシから聞こえた。
「二人きりのなれる場所でしましょう!」
展開が早くてイルカはついていけない。
「・・・何を?」
どきどきしながら尋ねるとカカシは元気良く答えた。
「キスを!」
その時キスならいいか、とイルカは思った。
やっと恋人になったんだから、と。



終わり




雨上り1




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