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雨宿り5



そのままイルカとカカシは呆然と、しばらく見詰め合っていたのだが。
イルカの方が先に正気づいた。
体の震えで風邪を引いて悪化した体調であるという現実を思い出したのである。
腕で己の体を抱きしめながらイルカは何と言っていいか分からなかった。
頭は割れ鐘を叩いているが如く、がんがんと痛みがひどく、何かをまともに考えられる状態ではなかった。
そんなイルカの容態を素早く見取ったカカシはイルカの隣に、すとんと腰を降ろした。
ちなみにカカシは天気を読んでいたのか、防寒具兼雨具になるマント着用している。
備えあれば憂い無し、といった感じだ。



イルカの隣に腰を下ろしたカカシは何も言わずに、すすっとイルカの隣まで寄ってきた。
カカシは何をするつもりなのか?
話すこともできず目でカカシを行動を追うイルカにカカシは自分が着用しているマントの裾を広げるとイルカの体に、ぱさりとかけてきた。
一つのマントに二人で包まるような形になる。
二人の体は肩がくっ付いて、ぴったりと寄り添った。
マントのお陰で雨風、寒さが少し凌げることと隣にカカシに体温を感じイルカは、ほっと安心してしまった。
カカシは何も言わないけれどイルカの風邪が明らかに悪化したのが解っているらしい、のだが。
これから、どうしようかと思案しているのかカカシは、この場を動こうとはしない。
カカシの出現で安心しきってしまったイルカは知らず目を閉じてしまい、カカシの肩に頭を乗せてしまっていた。
楽な姿勢になったのだが、はっとして頭を上げる。
カカシ先生、上忍で階級が上の人なのに馴れ馴れしかったか・・・。
だがイルカが上げた頭をカカシは自分の肩に押し付けるように戻してしまった。
「いいから、このままでいなさい。」
イルカの肩に腕を回して自分の方へと引き寄せてもくれた。



「・・・カカシ先生、任務は。」
どうにか声が出たのでイルカは訊いてみた。
カカシは溜め息をついてから答える。
「気になることがあったので急いで任務を終わらせて帰ってきました。」
気になること?
ぼんやりした頭でイルカは考えた。
いよいよ熱も出てきたらしく体も熱い。
「でも急いで帰って来て良かった。」
そのカカシの声が安堵したような声だったのでイルカは思わずカカシを見てしまった。
顔を少しだけ上げるとカカシの横顔が見えた。
熱で、ぼんやりとして輪郭がぶれているのだが凛々しく見える。
そして優しいような感じがした。



「まさかイルカ先生が、こんなところにいるなんて思わなくて。」
でも見つけられて良かった、とカカシの声が聞こえる。
聞こえるが、どこか遠いところから聞こえているみたいに思えた。
「胸騒ぎというか、第六感的なものか解りませんがいつもは通らない、この道を通ってみようと何故か思っったんですよね。」
愛の力かなあ、とカカシは言っているのだが意味は理解できなかった。
カカシ先生が妙にうきうきしているのは気のせいか・・・。
カカシは饒舌だった。
「やっぱり運命で結ばれているのかなあ、俺たち。」
俺たち・・・。
「赤い糸っていうんですかねえ。」
赤い糸って・・・。
カカシの言っていることがイルカは、さっぱり解らない。
熱が出て体が辛くなってきたイルカは本音を吐いた。
掠れた声で訴えた。
「家に行きたい。」
「え、家。」
カカシは、ひどく驚いている。
家に帰りたいと言うのが、そんなの驚くようなことだろうか。
「あったかい家に・・・。」
あったかい家であったかい布団に包まりたい、一刻も早く。



震える体を無意識にカカシに寄せてしまう。
少しでも暖を取ろうとする本能的な行動だった。
なので何のつもりか知らないがカカシが広げた腕の中にも、すっぽり身を寄せてしまった。
寒さと熱で震える体をどうにかしたい、その一心で。
だからカカシの腕が背に回ってきた時も、ただ温かいとだけ思った。
思ったのにカカシは違ったようだ。
「イルカ先生って大胆だなあ。」
何だか喜んでいるように聞こえた。
「じゃあ、家に行きましょうか?」
カカシの問いかけにカカシの腕の中でイルカは、こくこくと頷く。
早くあったかい場所へ行きたい休みたい。
それだけだった。
そしてイルカは意識を失ってしまった。
正確には高い熱が出てしまい、ぐったりしてしまったのだけど。




イルカの重い瞼が、ゆっくりと持ち上げられた。
まだ体は熱っぽくだるいが、だいぶ楽になっているように感じる。
暖かい空気が心地よい。
「あ、起きたの。」
声のする方に目をやるとカカシがいた。
カカシは忍服のベストを脱いで寛いだ格好だ。
いつもしている覆面も取り払われている。
よく見れば、どこか知らない誰かの部屋で誰かのベッドにイルカは寝かされていた。
「なっ・・・。」
なんで、どうして?と言おうとしてイルカは起き上がろうとしたのだが声は出なかった。
「ああ、まだ寝ていて。喉の腫れはひいてないし。」
カカシは起き上がろうとしたイルカをベッドへと押し戻した。
「ここは俺の家だから安心して。」と言う。
カカシ先生の家!
イルカの体に、きっちり布団をかけながらカカシは恥ずかしそうに言った。
「イルカ先生ってば、いきなり俺の家に行きたいとか言うからさ。」
ちょっとびっくりしちゃっいました、と。





雨宿り4
雨宿り6





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