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雨宿り3



「とにかく!」
カカシは手にしていた小さな袋をイルカに押し付けてきた。
「この中によく効く風邪薬と滋養強壮剤が入っていますから飲んでください。」
必ずですよ、と強めの口調だ。
「三日分入っていますから、これを食後に服用すれば完治しますからね!」
「はい。」
イルカは自分のことを心配してくれるカカシに嬉しくなり、ふわりと微笑んだ。
カカシに嫌われてはいなかったし、カカシは怒ってもいなかった・・・。
自分のことを思いやっていてくれたのだ、だから薬をくれたのだ。
かなり嬉しい。
胸が、ぽっとあったかくなった。



「カカシ先生、俺のこと心配してくれていたんですね。」
イルカは、じーんとしてしまう。
なのにカカシは否定した、力いっぱい。
「し、心配なんてしていません。」
力強く言う。
「イルカ先生の心配なんて、これっぽっちもしていませんから!」
「でも。」
この薬は、とイルカが渡された袋を見ればカカシは首を振る。
「そ、れは偶々、俺が所持していた良薬で使わないからイルカ先生にあげただけで。」
一生懸命言い訳しているように見えないこともない。
「どうせなら必要な人が使ったほうがいいと考えただけで、べ、別に。」
ふいっとカカシは、そっぽを向いた。
「イルカ先生が風邪引いたからって夜も眠れないほど、すごく心配しているって訳じゃないです。」
懸命に言い募るカカシにイルカは再び、微笑む。
アカデミーの低学年の子供たちを思い出す。
なんかカカシ先生可愛いな〜、なんて思ってしまっていた。



「なに、笑っているんですか・・・。」
イルカの微笑んだ顔を見てカカシは途端に不機嫌そうな声を出した。
「あ、すみません。」
「あのねえ。」
カカシは人差し指を突きつけてイルカに言い聞かせるように言う。
「病気になって俺に心配されて喜んでいるんじゃありませんよ。イルカ先生だって、いい大人なんだから健康には気をつけて仕事は無理せずに睡眠とって、ちゃんと食べて。」
言っていることが、だんだん、事細かになってきている。
「俺は、これから任務で里を出ますけど。」
「カカシ先生、これから任務なんですか。」
「え、ああ、ちょっと単独任務で・・・。」
「任務前でお忙しいのに、俺に薬を届けに来てくれたんですね。」
やっぱり心配されるのは嬉しい。
カカシだって、さっき、うっかりだと思うがイルカの心配していると口を滑らせていたし。
だからイルカは本当に心から感謝してカカシに言わずにはいられなかった。



「カカシ先生、ありがとうございます。」
ぺこっと頭を下げる。
それから「任務、お気をつけて。」と付け加えた。
ご無事で、と心を込めて伝えるとカカシは僅かにたじろいだ。
「言われなくても任務は完全に遂行して成功させますし。」
カカシの唯一、出ている右目は盛んに瞬きを繰り返している。
「薬だって、そんなお礼を言われるほどではないですけど。」
だって、とカカシは明後日の方向を見ながらもイルカを、ちらちらと見ながら言葉を続けた。
「イルカ先生が、どうしても俺に薬のお礼をしたいって言うのなら俺だって鬼じゃないから断ったりしませんが。」
ちなみにイルカは薬に関して礼は述べたが、具体的にお礼云々のことは言っていない。
もちろん、ささやかながら何かお礼でもできたらいい、とは思ってはいたけれど、先にカカシにそれを言われてしまった。



お礼は何をしたらいいんだろう?
カカシの言うお礼が分からなくてイルカは直接、カカシに訊いてしまった。
「お礼は何がいいですか?」と。
「そうだねえ。」
急にカカシは腕を組み、真剣に考え出した。
目を閉じて、ものすごく真剣な顔で何やら呟いている。
「二人きりで食事もいいし、いや、折角だから酒飲んで酒の勢いで、あれとかこれとか・・・。いやいや、酒の勢いは駄目でしょ、もっとこう深く絆ができる様な感じにしなくちゃねえ。」
「カカシ先生?」
「最終的には、あんなとかこんなとかそういう状態になりたいけれど、過程って大事だし。幻滅されたらイヤだし、嫌われたら元も子もないし、そんなことになったら俺が死んじゃいそうだし。」
「あのー。」
イルカが恐る恐る話しかけるとカカシは、はっとしたように目を開いた。
「いつの間に・・・。イルカ先生がお礼したいなんて言うから、つい、考え込んでしまったじゃないですか!」
何故かイルカが責められていた。



「お礼に関しては、また後で!」
カカシは、すちゃっと手を翳すと「任務に行って来ます」とイルカの前から去って行ってしまった。
行きがけに「薬は、ちゃんと飲むように」とイルカに念を押すのを忘れずに。
「はい・・・。」
お気をつけて、とカカシを見送るとイルカは首を傾げた。
「いつ、俺が何を言って、どうなったんだ?」
カカシが何を、どう勘違いしているのか、何を考えているのか皆目見当もつかない。
だがカカシが良い人だというのは解った。
イルカのことを、とても心配してくれている。
しかしカカシが言っていたことが少し気に掛かった。
「酒の勢いとかって何だろ?」
カカシさん、お酒が好きなのかな、とイルカは暢気に考えていたのだった。




雨宿り2
雨宿り4




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