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憧れの人7



玄関の扉を開けてもらったカカシは、静かに扉を開けた。
玄関先にはイルカの姿はない。
「お邪魔します。」
一応、声を掛けてからイルカの家に上がる。
イルカの気配を辿っていくと、家の一番の奥の寝室としている部屋にいた。
「イルカ先生。」
カカシは、そっとイルカの背後に近寄る。
部屋の入り口に背を向けて座っているイルカは顔が見えない。



イルカの顔を見ようとイルカの横へ行き、顔を覗きこむと、ふいと横を向かれてしまった。
「ねえ、イルカ先生。」
出来るだけイルカを刺激しないようにカカシは柔らかい口調で話し出す。
「昼間のことはごめんなさい。本当にごめんね。」
謝罪を口にしたカカシに、ぴくりとイルカの肩は動いた。
「イルカ先生を忘れるなんて・・・。まさか、そんなことが起こるなんて思わなかったので。」
イルカの横に座ったカカシは、正座したイルカの膝にあったイルカの手に自分の手を重ねる。
手を振り払われないところを見ると嫌がってはないようだ。



「反省してますから。」
その言葉に横を向いていたイルカの顔が正面を向いて、横顔が見えた。
横顔になったイルカは目だけで動かしカカシを、ちらりと見る。
口を小さく動かした。
「・・・忘れられたのはショックでした。」
「うん。」
「カカシさんが、あんなに冷めた目で俺を見ていたのもショックで・・・。」
言ってからイルカは下唇を強く噛む。
「あんな目で見られるなんて、すごく辛くて。」
思い出したのかイルカの顔が辛そうになって目が伏せられた。
「・・・胸が苦しかって止まらなくなって。」



「そっか、ごめんね。」
心境を聞かされてカカシも胸が痛くなったが、同時に不謹慎にも嬉しくもなってしまった。
「でも、そんなに胸が苦しくなるほどショックを受けたってことは、逆に言えば、それだけ俺のことが好きだってことだよね。」
言ってから思わず、にんまりと笑ってしまうと、それをイルカに見つけられて、むにーんと両頬を伸ばされる。
そんなことされても、ちっとも痛くない。
「そこは喜ぶとこじゃないでしょう。」
人がこんなに辛いっているっているのに、と咎められた。
なのにカカシは、にんまりとない締りのない笑顔が止まらない。



「だって、イルカ先生に好きだって言ってもらえたし。」
「言ってません!」
「いーえ、言いました。」
ばっちり聞きました、と主張すればイルカは狼狽えた。
「そ、それは、あのですね。」
「さっき、玄関先で大声で『好きな人に忘れられるのが』って言ってましたもん。」
多分、近所にいる人には聞こえましたね、と確信を持ってカカシが言うとイルカはカカシの両頬から手を離し、自分の頬に手を当て真っ赤になって真っ青になった。
「・・・どうしよう。」
「まあまあ、落ち着いてください。」
どさくさに紛れて、カカシはイルカを腕に抱え込んだ。
動揺するイルカの隙を突いて、イルカを抱きしめ背中を軽く優しいリズムで、あやす様に叩く。



「俺がいるから大丈夫ですよ。」
何の根拠もないことを言ってイルカを安心させようとする。
しかしイルカはカカシの体温を感じて抱きしめられることで本当に安心してしまった。
あんなの苦しくて辛かった気持ちもカカシが抱きしめてくれることで霧散してしまうなんて・・・。
再び舞い戻ってきた満たされた気持ちに居心地のいいものを感じてしまいイルカは、そんな自分に溜め息を吐く。
辛い思いをするなら、もう、会うまいと思っていたのに。
あっさりと翻ってしまった自分に呆れながらも、これが好きだということなのだ、と悟ってしまった。



「イルカ先生、あのね。」
イルカの気持ちが自分に傾き、落ち着いたとイルカを見計らったようにカカシは言った。
「俺が昼間、記憶を失くした時、冷めた目と思われる目でイルカ先生を見ていたのはね。」
カカシの腕の中のイルカの体が強張る。
何を言われるのかと身構えたのだろか。
「俺を見舞いに来たはずの人が、ちっとも俺の傍に来ないで子供たちばかり相手にしているから拗ねていたんです。」
「・・・拗ねてって。」
「だって、可愛い人が病室を覗いているなと思ったから、てっきり俺のお見舞いに来たのかと思ったんです。」
カカシの告白にイルカは、呆気にとられたようだった。
「可愛いって、俺、男ですよ。見て分かりませんでしたか?」
漸くイルカは顔を上げてカカシを見た。



「いくら記憶を失っていても、男女の区別はつきますよね?」
「そりゃあ、それくらい分かりますよ。」
やっと自分を見てくれたイルカにカカシは微笑みかけた。
「男だってのは見て、すぐに分かりましたけど、それと可愛いって思うのは別でしょう。」
「・・・そうでしょうか。」
納得いかないことも、なんとなくカカシに言い包められてしまうイルカだ。
「そうですよー。」
カカシは腕の中のイルカを、ぐっと自分の方に引き寄せた。
「それに記憶を忘れてしまう術に掛かったのはイルカ先生のことを考えていて、里に帰ってイルカ先生に会ったら最初に何しようとか考えていたからで・・・。」
それで迂闊にも術を喰らってしまいました、とカカシは、さらっと言う。
「俺に会ったら、何しようって何を・・・。」
イルカがカカシの言ったことを問おうとした時、カカシの唇がイルカの唇に重なった。



カカシに抱きしめられたまま唇が重なって、イルカは動けなくなる。
唇が離れた時には顔は朱に染まっていた。
そしてカカシがイルカの耳元で囁く。
「こういうことです。」
最初にしようと思っていたことはキスでした、と囁いたのであった。






憧れの人6
憧れの人8





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