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憧れの人10



次の日。
イルカの昨日の様子を気に掛けながらもカカシは任務に行った。
任務といっても里内でのカカシの受け持つ子供たちとの任務だ。
イルカは、今日は一日アカデミーだと言ったので、途中まで一緒に出勤した。
「じゃあ、また、後で。」
繋いでいた手を離しイルカと別れたカカシは、その足で受付け所に向かう。
今日の任務依頼書を貰うためだ。



受付け所は朝なのに、珍しく閑散としていた。
現在、受付け所にいるのは受付け係の中忍二人と任務依頼書を貰いに来たカカシだけだ。
任務依頼書を受け取ったカカシは、ふと目の前の中忍二人がイルカと結構、仲のいい同僚であることに気がついた。
確か、この二人はアカデミーも兼任していて、悔しいが自分よりもイルカと付き合いが長く、友人関係でもあったはずだ。
そのことに、内心、ムカッとしながら、しょうがないことと思いつつカカシは自分を押し殺して、目の前の受付けをしている中忍二人に声を掛けようとした時、相手の中忍の方からカカシに声を掛けてきた。
「あのう、はたけ上忍。失礼は承知の上なのですが・・・。」
「ん、なに?」
受付けの中忍二人は顔を見合わせると恐る恐るカカシに訊いてきた。



「もしかして間違っていたら申し訳ないのですが・・・。」
「お怒りにならずに訊いていただきたいのですけれど・・・。」
遠まわしに前置きをしてくる。
「はたけ上忍はイルカと・・・。」
「イルカと親しくされているようなのですが・・・。」
「それは過度な親密なの域に入る付き合いなのでしょうか?」
言葉を選んでいるのは分かるが何を言いたいのか、回りくどく判断しにくい。
「最近、イルカが、はたけ上忍のことを嬉しそうに、よく口にしているので・・・。」
「もしや、と思って、お聞きしているのですが・・・。」
中忍が上忍に対して言葉遣いを慎重になるのは、しょうがないのだが、如何せん解り辛かった。



ちょっと、いらっとなったカカシは、ずばり言った。
「俺とイルカ先生は、お付き合いしているよ。過度な親密さが『恋人として』の意味なら、その通りだよ。」
カカシが答えると二人は何故か、ほっとしたように肩の力を抜く。
「そうだったんですか。なら、よかった〜。」
「今度は上手くいっているんだな、イルカは。」
意味深なことを言っている。
「それ、どういうこと?」
聞き咎めたカカシが逆に質問を返した。
「えっ、それは・・・。」
「今度は、って何のこと?」
少し、きつめの口調で迫ると二人は、やはり顔を見合わせて困った顔をする。



「イルカも若い頃に色々ありまして・・・。」
「しかし、プライベートなことなので俺たちから話すのは、ちょっと・・・。」
言い淀む。
「あのねえ〜。」 カカシは顔に怖い笑顔を浮かべた。
この二人は、イルカの過去に失恋したことに関する何かを知っていると直感で悟ったのだ。
「俺はイルカ先生の恋人なの。知る権利はあるんだから話したほうが身のためだよ〜。」
知る権利があるとカカシは主張する。
「イルカ先生には君たちに聞いたこと、絶対に言わないから。」
自分には言えといいつつ、イルカには言わないからとカカシの主張は、どこか矛盾していた。





「そんなことがねえ〜。」
二人の話を聞き終えたカカシは深々と溜め息を吐いた。
カカシに話をした二人も深々と溜め息を吐く。
「そうなんですよね〜。」
「そうだったんですよ〜。」
三人して、揃って溜め息が出た。



「十代の頃に、あんなこと言われたら、ただでさえ壊れやすいガラスのハートなのに粉々に砕け散りますよ。」
「だよなあ、公衆の面前で、あそこまで言う必要があったのかと今でも俺は疑問に思っている・・・。」
「見ていた俺たちも肝が冷えましたからねえ。女って、超こえーって。」
「思春期で感受性が強い頃に、人一倍、純粋で信じやすいイルカにしたら、あれは辛かったと思いますよ。」
「立ち直るのにも時間が掛かっていたしな。全然笑わなかったし、可哀想だった・・・。」
「しかも十六歳、十七歳、十八歳、と多感な時期に三年も立て続けに、あんな失恋経験したら大ダメージで、もう恋愛自体に嫌気がさすよな。」
「だからイルカは、その後、仕事に全身全霊を捧げると宣言して仕事一筋に生きていたじゃないか。」
「あ、そうだな。」



そこまで話を聞いたところで受付けに人が、どっと入ってきた。
今までの静けさが嘘のように。
カカシはイルカのことを話してくれた二人に礼を言い、釘を差した。
「その話、俺以外にしたら駄目だからね。」
分かっていると思うけどね〜、ふふふと笑うと二人は、ぎょっとしたように頷いた。
だが、最後に一つだけカカシにお願いしてきたのだ。
「イルカのこと、出来たら悲しませないでください。」
「お願いします、はたけ上忍。」
二人して頭を下げる。
「解っているよ。」
真摯な願いにカカシは真摯に返事をしたのだった。






憧れの人9
憧れの人11





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