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我が家4




カカシが選んだルートは、途中土砂崩れが起きて通行できなくなっていた。
「こりゃ、さっきの大雨のせいだな。」
お陰で余計な回り道をして、目的地に着いたのは予定日を一日過ぎていた。



「はー、やっと着いたよ。」
小隊のテントを見つけ隊長に会うために行くと、そこには見知った顔があった。
「あ、カカシさん。どうも。」
出てきたのは特別上忍の並足ライドウである。
「すみません、里からの忘れ物を届けていただいてしまって。」
カカシが届けるという知らせは先に来ていたようだった。
「ああ・・・。はい、これ。」
五代目から届けるように言われた巻物をライドウに渡す。
「あ、これです、これ。」
ライドウは嬉しそうに巻物に目を通して、うんうんと頷いている。
「ありがとうございました、カカシさん。」
小隊の隊長であるライドウに届け物を渡すと、そこでカカシの任務は終了だった。



「お茶でも飲んで休まれませんか。」
ライドウがカカシを気遣ってテントに誘う。
「あー、そうだねえ。」
カカシの返事は生返事だ。
「ねえねえ、あのさあ。」
きょろきょろと辺りを見て、誰かを探すような仕草をしたカカシは聞いた。
「イルカ先生・・・はどこかな?」
「イルカですか。」
ライドウが、さらりとイルカを呼び捨てにした。
カカシの米神が微かに、ぴくりと動く。
「ああ、うん、イルカ先生ね。」
「イルカは今、ちょっと出ていますが、じきに戻ると思いますが。」
「そう。」
そわそわとカカシは落ち着かない。
「何か伝言でもあったら伝えておきますよ。」
「いや、いいよ。」
カカシは頑なに首を振った。
「五代目からの直々の承った言伝てだから、イルカ先生に直接、俺から言うよ。」
言伝ては、早く帰ってきて仕事を手伝ってくれ、という左程重要なものではない。
むしろ軽口の類のようなものだ。
「そうですか、分かりました。」
ライドウは訝しげな顔をした。



「ねえねえ、それよりさあ。」
カカシは気になっていたことを聞いてみた。
「この任務は、いつごろ終わるの?」
できたら、イルカの誕生日前に終わってもらいたい。
そして里に帰ってきてほしい。
「そうですねえ。」
ライドウが思案しながら答えた。
「予定より早く終わると思います。何しろ・・・。」
何かを思い出したようにライドウの機嫌が良くなる。
「イルカなんですが火影様に連れて行くように言われてだけあって、すごく役に立ってくれているんです。」
「へええ。」
「この近辺の地理に本当に詳しいですし、一緒に来てもらって本当に俺、助かっちゃいましたよ。」
「ふーん。」
「おまけに小隊の皆に細かい気遣いもしてくれて、何事も率先して動いてくれますし。イルカがいてくれるだけで小隊の雰囲気が良くなって、これまた大助かりです。」
「ああ、そう。」
ライドウがイルカのことを褒めるたびに相槌を打つ、カカシの声は低く暗くなっていった。
「いやあ、イルカって、いいやつですよね。」
ライドウがにこにこと言うと「ライドウ〜。」と突然、話を遮るようにカカシから険のある声が出る。
「どうしたんですか?」
豹変したカカシにライドウは少し驚いたが、理由が分からない。
カカシの険のある声は続く。
「それ以上・・・。」
「それ以上?」
「イルカ先生のことを言うな〜・・・。」
「・・・え?」
イルカのことを高く評価されて褒められるのはカカシとしても嬉しい。
嬉しいが、自分以外の誰かにイルカのことを語られると、説明のつかない妙な苛立ちを覚えるのだ。
人は、それを嫉妬と呼ぶ。



「分かったな?」
カカシがライドウに理不尽な要求をしている、ちょうど、そこへイルカが帰ってきた。
イルカの気配を感じてカカシの注意が、ライドウから、即効、イルカへと向く。
イルカはカカシの姿を見つけると、慇懃に一礼してカカシに何も言わずに、真っ直ぐにライドウの方へ行ってしまった。
「隊長、ただいま戻りました。」
「ああ、お帰り。」
「先ほど、言われた場所のことなのですが。」
イルカは作成中と思われる地図を広げてライドウを熱心に話している。



カカシが想像していたような再会の場面とは全く違っていた。
イルカは嬉しそうに自分に駆け寄ってくるというカカシの夢は打ち砕かれた。
ががーんとショックを受けているカカシを尻目にイルカはライドウに告げる。
「今一度、この場所の調査が必要だと思いますので、今から行ってきます。」
「少し休んだら、どうだ?」
「すぐに終わります。」
イルカは短く答えて、ふっと、その場から消えた。



カカシとイルカは、一言も言葉を交わしていない。
「あ。」
ライドウが気がついたようにカカシを見た。
「イルカに伝言があるんでしたよね。」
「ああ・・・。あるよ。」
「やっぱり俺が伝えておきましょうか。」
「だめ!」
カカシは、きっぱり言うとライドウからイルカの向かった場所を聞き出し、急いで後を追いかけた。
どうしても渡したいものもあったからだ。
しかしカカシは、それを置き忘れていることに未だ気がついていなかった。




我が家 3
我が家 5








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