我が家3
ラブレターなる手紙を書いたものの、さてどうやって渡すか、とカカシは悩む。
折角、書いたのだから、誕生日までに何とかしてイルカに手渡したい。
休暇でも取ってイルカの任務先を、こっそり探り出して、こっそり会いに行って渡すとか、そこまで考えてカカシは眉を顰めた。
そんなことして、もし万が一イルカに、ばれたら怒られるに決まっている。
ラブレターを渡す時の甘い雰囲気とかも全部、おじゃんになってしまう。
懐のラブレターを見ながら、どうにかならないもんか、とカカシは思案した。
そして、天はカカシに味方した、もしくは運が転がってきたような事態起きた。
イルカが任務に立って三日目の朝にその幸運は訪れたのである。
火影室に呼ばれたカカシは五代目火影から、あることを頼まれた。
「これを届けて欲しいんだが。」
ぽいっと巻物を放り投げられ、カカシはキャッチする。
「何ですか、これ?」
「ああ。今さ、地図を作成しにいっている小隊があるんだけどさ。」
「地図!」
もしかして、とカカシは期待した。
「忘れ物したって式が来て、重要なものだから直ぐに届けてくれって言うのさ。カカシの足なら明日には着くだろうと思ってね。」
「その小隊とは、あの・・・。」
イルカがいるのか、どうか聞いてよいものやらカカシは少し躊躇った。
二人の間のことは秘密ではなかったが、公にもしていなかったからだ。
だが、その前に五代目が言った。
「その小隊にはイルカがいるから、早く戻って来て私の仕事の手伝いをしてくれって伝言しておいてくれないかい?」
カカシが巻物を届ける小隊にイルカがいることが、はっきりとした。
その事実を知ってカカシは俄然、やる気になっている。
「行きます!速攻、この巻物届けに行きますから!」
「そうしとくれ。頼んだよ。場所とかの詳細は、この紙に書いてあるから。」
カカシに場所やらを書いた紙を渡し、それだけ言うと五代目はいやいや、仕事に取り掛かった。
「まったく、シズネもコテツもイズモも任務でいないなんて、ついてないよ。」
ぶつくさと言っている五代目の前から既にカカシの姿はなかった。
「やったね〜。」
イルカへのラブレターと届けものの巻物を、しっかりと持ちながらカカシは浮かれて走っていた。
「これで、正々堂々、イルカ先生に会える!」
例えていうなら、地に足が着いてないような、ふわふわした気分である。
まるで宙を飛ぶようで走るスピードが、いつもの倍は出ていた。
イルカの誕生日というのもあるが、何より恋人と離れているのだ。
カカシは寂しかった。
本当はイルカと一日たりとも離れてなんていたくない。
しばらくぶりに大好きなイルカに会える、そのことでも浮かれていたのである。
途中、空模様が急変し大雨が降ってきた。
どうにも前に進めず、止むを得ずカカシは休憩することにした。
「あーあ。」
大きな木の下で雨が弱まるのを待つ。
頭も体も雨に打たれて濡れて雫が垂れていた。
それらを手持ちのタオルで拭きながらカカシは懐のイルカへの手紙が濡れないように、雨宿りしていた木にタイミングよくあった洞へと非難させる。
精魂込めて書いた大事な手紙だ。
「よしよし、これで濡れない、大丈夫。」
自分の濡れた体を丁寧に拭いてカカシは少し休むか、と木の幹に寄りかかるようにして座り目を閉じた。
イルカ先生、俺を見たら、びっくりするだろうな。
想像して、ふふ、とカカシの口元が緩む。
俺を見て最初に何て言うだろう?
目を潤ませて「カカシさん!」と抱きついてくるかなあ、それとも俺の方が抱きついちゃうかな。
そんなことを妄想して幸せに浸りながら、カカシは、つい眠りこんでしまった。
夢にはイルカが出てきた。
カカシとイルカは手を繋ぎながら、和やかに談笑しながら二人して歩いている。
「カカシさん、大好き。」
イルカに言われてカカシは夢の中で舞い上がっていた。
「俺もです!」
即答する。
「じゃ、今日は二人で・・・。」
イルカが仄かに頬を染めて恥ずかしそうしていた。
「二人で?」
夢の中のカカシは、わくわくしている。
「二人で五代目のお手伝いをしましょう!」
夢の中のイルカは明るく、きっぱり宣言した。
五代目の手伝い?
「なんで!」とカカシは叫び、自分の声で飛び起きた。
「ふーっ、五代目に邪魔されるとは。」
夢だけどイルカ先生に会えたのに。
「もー、いいところだったのになあ。」
カカシは伸びをしながら立ち上がった。
「早くイルカ先生の所に行こう。」
本物のイルカ先生に会いたい。
「五代目に邪魔されたのは、きっと早く行けってことだと思うしね。」
雨も、すっかり上がっていた。
「よし、行くか。イルカ先生に会いに。」
任務は巻物を届けることである。
カカシは雨宿りしていた木の下から再び、イルカに会いに、もとい巻物を届けるべく出発した。
大事なものを一つ残して。
すっかり、忘れていたのだった。
我が家 2
我が家 4
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