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The Three1



「イルカ、これ届けてくれないか。」
受付け所の人が途絶えた時に、イルカは一緒に受付けをしていた同僚から書類を渡された。
「これさ、上忍師の方たちに渡してきてほしいんだ。今なら上忍の控え室にいると思うからさ。」
アスマ、紅、カカシと上忍師、三人の名を上げる。
書類は下忍の指導要綱などが盛り込まれたものだった。
な、頼むよ、と同僚はイルカに手を合わせる。
「イルカ、上忍の方たちを顔見知りだろ?」
「あ、うん、まあ。」



その三人の顔見知りの上忍の内の一人はイルカと、とても親しい間柄だ。
「分かった。じゃあ、行ってくる。」
親しい間柄の一人に会いたいような会いたくないような、むず痒い気持ちにイルカは襲われる。
家の外では、極力、意識しないようにはしていたが会ってしまうと意識せずにはいられない。
胸が、どきどきして苦しくなるのだ。
どうしてだろう、と考えるのだが答えは、いつも一つだった。
その人が好きだから。
それしかない。
カカシさん、とイルカは心の中で好きな人の名を呟き、緊張しないように深呼吸してから、書類を受け取り上忍控え室へと向かった。



上忍控え室が近づくにつれて、やはり、イルカは少し、どきどきしてしまう。
好きになって一緒に住むようになって、随分経つのに、まだ恥ずかしさや照れくささが先に立ち、未だにキスも一回しかしていない。
正しく言えば、恋人同士の行為としてはキスを一回しただけなのである。
その他は、偶に手を繋いだり、一緒に食事をしたり夜は同じベッドで寝たりして、カカシが近くにいるだけでイルカは、それだけで充分に幸せだからだ。



控え室でカカシに会ったら、どうしよう。
あのカッコいい顔で何か言われたら、どうしよう。
どうしようも何も、頼まれた書類を渡して、また受付け所に戻ればいいだけの話である。
緊張の余り、何故か気配を消してしまったイルカだったが、それが、なんと裏目に出た。


上忍の控え室の入り口の直ぐ傍まで来た時、イルカの足は止まった。
部屋の中からカカシの声が聞こえてきたからである。
誰かと話しているようだ。



「はああ〜、どうしたらいいかなあ。」
カカシは溜め息を吐いているようだった。
「なんだ、どうした?幸せ絶頂中のやつが。」
誰かがカカシのことを揶揄っている。
「まあねえ。」とカカシの気怠るそうな声がする。
「そりゃ、俺は幸せ絶頂真っ盛りで、運勢も運命も絶賛大好調ですよ〜。ちなみに恋愛運が一番いい。」
「なのに、何で溜め息吐いてんだ?」
「だって、もっと幸せになりたいの〜。」
幸せ!
イルカの心臓は、その一言で、どきりとなる。
・・・・・・カカシさん、幸せじゃないのか?



更に悪いと思いながらもイルカは、どきどきしながら話を立ち聞いてしまった。
「うーん。俺さあ、恋人が大事で大事で大事過ぎて手が出せないんだよね・・・。」
部屋の中から、先ほど揶揄っていたと思われる人間の大笑いする声が聞こえた。
「なあんだ、カカシらしくもねえなあ。」
で、どこまでいったんだ?と下世話なことを質問している。
カカシは答えた。



「恋人とはね、キス二回だけ。」



キス二回・・・。
イルカは、今までのカカシとのキスの回数を指を折って数えてみた。
一・・・。
もう一回、数えてみた。
一・・・・・・。
もう一回だけ、数えてみた。
一・・・・・・・・・。
やはり、自分がカカシとキスしたのは一回だけだ。



カカシさんとキスを二回したのって誰だ?
つまり、その人がカカシさんの恋人で・・・。
じゃあ、俺は何?
カカシさんにとって、何だろう?
いや、何だったのだろう?
人生最大の難関にぶち当たり、イルカは呆然と立ち尽くしていた。




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The Three2









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