AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


15歳 5



「マジ?」
自分だって、そんなことされていない。
しようとしても拒否するだろう。
だが、仔鹿は面倒くさそうに返事をした。
「そんなの普通だろ。自爆用の起爆札と外から遠隔操作で爆破できる起爆札を埋め込まれているのは」
「・・・嘘だろ」
「嘘じゃないよ」
「そんなのって」
どうしてだろう、三回しか会ったことない仔鹿の体に起爆札が埋め込まれていると聞いて、いいようのない感情がこみ上げてきた。
初めてのことだ。
「そんなのって酷くない?」
仔鹿は応えない。
「ねえ、ちょっと!」
仔鹿に詰め寄ろうとしたが隊長に阻まれた。
カカシと仔鹿の間に立ちはだかり、行く手を阻む。
「どいてくんない!邪魔だよ!」
隊長はカカシの剣幕にも動じることはない。
「まあ、落ち着けって」
「落ち着けるわけないじゃん!」
「これは仔鹿も了解済みだ」
「拒否すればいいでしょ!それに了解と了承は違うでしょ!」
「拒否権はない」
「・・・それってどういうこと」
はあ、と隊長は面の下で深い溜め息を吐いた。
「起爆札を体に埋め込むのは諜報に携わる者の義務だ。漏洩がないように、万が一のために」



「はあ?義務〜?死ぬのが義務〜?」
「そうだ」
「そんな義務なんてねえ・・・」
「ない方がいいな。作ったやつを八つ裂きにしても物足りないくらいだ」
「え?」
隊長の言葉にカカシは、はっとしたように隊長を見た。
「あの、もしかして怒っている?」
「怒ってちゃ悪いか?」
「いえ、ちっとも」
目の前の隊長は、のんびりとした言葉遣いとは裏腹に怖いものを感じる。
底知れぬ殺気が漂っていた。
「あのなあ」
隊長が面の上からカカシの額を人差し指で弾いた。
デコピンだ。
「痛いんですけど・・・」
デコピンされて、よろめいてしまうくらいなので相当に強い力だ。
「怒っているのは、お前だけじゃないっての」
「へ?」
「俺だって色々と思うことはあるんだ」
「ふーん」
何やら隊長自身も考えがあるらしい。
カカシと隊長が、そんなことをしていると後ろから疲れた声が聞こえた。
「もう帰っていい?」
仔鹿だった。



「ああ、悪い悪い」
隊長は、くるりと振り返り仔鹿に詫びた。
「こいつがガキみたいに聞きわけがないもんだから」
「アンタが話をややこしくしたんでしょ」
「うるさいから、もう黙ってろ」
カカシを黙らせて隊長は本題に入る。
「もういいんだ、あのことを気にしているのかもしれないが、あれはしょうがないことだったんだ」
仔鹿は押し黙った。
「仔鹿が気にすることはない。もう里に帰って、ゆっくりしろ。この件が終われば中忍試験受験の許可が出ているんだろ?」
「えー、仔鹿って、まだ下忍なの?」
傍で聞いていたカカシは衝撃的な事実に、つい会話に割り込んでしまった。
「あんなに強いし、諜報なんて重要任務しているから上忍クラスだと思ってた〜」
「・・・・・・下忍で悪かったな」
どうやら仔鹿の琴線に触れたらしい。
「・・・・・・俺だって中忍試験を受けられるなら受けたいと思っている」
仔鹿は俯いていて握った拳が、ふるふると震えている。
「まあまあ、落ち着いて」
今日、二度目の落ち着けが隊長から入った。
これは仔鹿に向かってだ。
カカシのときと違い、宥めるように優しく言っている。
「ほら、実力があれば階級なんて関係ないだろ。な?な?な?」
次はカカシに向かって諌めるように言ってきた。
「階級に属さずとも重要な任務を担っている忍は多くいる。見た目だけで判断するなよ」
「あー、うん。ごめん」
カカシは素直に謝った。
まさか、こんなことを仔鹿が気にしているなんて思っていなかったから。
悪いことをしたと反省したのだ。



「いや、こっちこそごめん」
仔鹿が謝ってきたのに驚いた。
顔は見せてくれないものの、カカシに頭を下げてきたのだ。
「えー、ちょっと可愛くない?」
「は?かわいい・・・」
よほど、びっくりしたのだろう。
仔鹿が顔を上げてカカシを見た。
ぽかん、とした顔で目を見開いてカカシを見つめている。
その顔は寝ているときに見たことがあるものの、目を開けているとは全く別の印象だ。
深く黒い瞳は顔を横切る傷に、よく似合う。
長い髪は両脇に流しているので、形のよい額がよく見える。
頬は貼ってあるガーゼが邪魔しているが、きっと柔らかいに違いない。
笑ったら、もっと可愛いんだろうなと漠然と思った。
「ほら、やっぱり可愛いじゃないの」
「なっ・・・。んな訳あるかよ・・・」
ぷいっと横を向いてしまった。
「いやあ、可愛い可愛い可愛い〜」
暗部の装備である鉤爪を外して仔鹿の頭を撫でようとしたのだが、隊長の後ろに逃げ込まれてしまった。
「こっち、おいでよ」
「やだ」
「可愛がってあげるから」
「断る」
「頭撫でたい」
「いい」
「抱っこもしたいな」
「こっちに来るな」
「えー、実力行使?」
本当に実力行使しようとして隊長に、ぐぐっと頭を鷲づかみされて抑えられる。
隊長に実力行使されてしまった。
「話が進まないから」
カカシを押さえつけたまま、隊長は仔鹿に話をする。
「俺としては里の命令に従ってもらいたい」
「そうは言っても」
仔鹿は途端に真剣な顔つきになった。
「無理だと思う。Wスパイの件にしても、もう後戻りできないし。ここで中断するよりも任務を完遂した方がリスクは低い」
「そうか・・・」
がっくりと隊長の肩が落ちる。
「できれば、仔鹿を里に連れて帰りたかったんだが」
「その気持ちだけで充分です」
「すまん・・・」
「この件が終わったら、すぐに中忍試験を受けようと思いますから。もう十五歳になったけど・・・」
「十五歳か、早いなあ」
隊長と仔鹿に和やかな雰囲気が流れる。
それをカカシは再び、ぶち壊した。
「えー、仔鹿って十五歳!俺より一つだけ年下ってこと?つか、俺と会ったときは十四歳?」
十五歳の時に仔鹿と初対面したカカシは一つ年を取り、いつの間にか十六歳になっていた。




15歳 4
15歳 6



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