十年後 5
「イルカ。」
呼ばれて顔を上げるとカカシが俺を真剣な目で見ていた。
「俺、明日誕生日なんだ。」
「えっ。そうなの?」
「うん。」
誕生日にプレゼントは定番だけど。
突然言われてもなあ。
こんなとこで誕生日って言われても、ちゃんとしたプレゼントなんて無理だ。
だから。
「誕生日おめでとう、カカシ。」
言葉だけ贈ることにした。
「ありがと、イルカ。」
カカシは、にこりとして。
「プレゼントが欲しい。」
と宣った。
俺の両肩を掴んで、ぐっと顔を近寄せてくる。
「ねえ、プレゼント欲しいんだけど。」
真顔で迫ってくる。
「プレゼントは・・・そりゃあげたいけど。」
戦地だから必要最小限の荷物しか持ってないし。
うーん、どうしよう。
困ってポケットの中を探るとペンとメモ帳が。
あー、いろいろメモして覚えようと思って書いていたりしたっけ。
そうだ。
俺はメモにサラサラと、あることを書いた。
「はい、これ。」
メモ帳を破ってカカシに差し出す。
不思議そうな顔のカカシ。
「誕生日プレゼントだよ。」
メモ帳の文面を見たカカシは、ぱっと顔を輝かせた。
「これ、ほんと?」
嬉しそうに聞いてくる。
「うん。」
「本当に、ホントだね?」
「うん。」
「嘘はつかないよね?」
「・・・うん。」
勢い込んで何回も聞いてくるカカシ。
そんなに嬉しいのか。
子供騙しみたいなものなのに。
「本当だから。暗部になっても、どんなことがあっても生きて会おうね。カカシ。」
「うん。」
カカシは、にこりと頷いて。
「きっと会いに行くよ。」
最後に、こう言った。
「ありがとう、イルカ。」
いい笑顔だった。
それから俺達は会うことはなく。
俺は里に戻って、修行や鍛錬に勤しむ毎日。
アカデミーの先生になって子供達に忍びのいろはを教えている。
毎日が忙しく過ぎていき。
時折カカシのことを思い出した。
カカシ、どうしてるかな?
どこで何をしているんだろ。
ちゃんと食べているかなあ?
それと最後には必ず。
カカシが生きていますように、と祈った。
そして時は流れて数年後。
その男は現れた。
一枚の紙切れを持って。
ぴら、と紙を俺に見せた。
覚えが有る。
それは十年前に俺がカカシにあげたもの。
十年後 4
十年後 6
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