AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


十年後 4



野営地に戻ると、この前「大丈夫か。」と問いかけてきた上忍が、俺達を見て明らかにぎょっとしていた。
「カ、カカシ。お前・・・。」
「何もしてないよ。」
カカシは短く答える。
「海野、本当か?」
「あ、はい。」
まあ、許すって言ったからには水に流そう。
綺麗さっぱり忘れるのが男ってもんだな。
だから俺は元気よく答えた。
「大丈夫です!」
「そ、そうか。くれぐれも、無理させるなよ。」
後半の言葉をカカシに投げかけて上忍は俺達の傍を離れて行った。
「どういう意味かな?」
カカシに聞いてみたけど教えてはくれなかった。



カカシの顔を見て、急に殴ったことを思い出す。
「カカシ、殴ってごめん。痛い?」
頬を見ると少し赤くなっていた。
「全然痛くないよ。」
カカシはにこりと笑ったのだろうけど、この時はにやりと笑ったように見えた。
渾身の力で殴ったのに効いてないんだ。
でも、まあ。
カカシの頬を冷やしながら改めて謝った。






あっと云う間に日が過ぎて。
来た時は夏だったけど帰るときは秋めいていて空が高くなっていた。
俺は里に帰ることになった。
戦地に来て一ヶ月余りだったけど。
特に役に立たずに帰る。
あー、もっともっと修行しなきゃ駄目だな。
目標が出来たので里に帰ったら頑張ろう。




明日、里へと出発と決まった前の晩、カカシに会うことに成功した。
水場でだけど。
カカシとは何かと忙しくて会えていなかったんだ。
だから嬉しかった。



水を入れたバケツを地面に置き、俺はカカシに告げた。
「カカシ、俺、明日、一足先に里に帰るよ。」
「え・・・。」
カカシが小さく息をのんだのが分かった。
「帰るの?」
「うん。カカシも気をつけて帰ってきてね。」
また会おうね、そんな意味をこめて言った。
カカシの眉が歪む。
「もう会えないよ。」
「里に帰って来たら会えるよ。」
元気付けるつもりで言ったのにカカシは首を振った。
「会えないよ。」
「会えるよ。」
「会えない!」
カカシが珍しく激昂して叫んだ。
「だって、俺に暗部に入るように要請がきたんだ。」
「暗部って、あの暗部?」
「そうだよ。十年くらいは在籍することになる。」
「断れないの?」
暗部について少ししか知識は持ち合わせてないけど。
暗部に入ったら、いつ会えるか、もう分からない。
生きているか死んだのかも分からず、この先会える保障もない。
それくらい暗部の任務は過酷だ。
断れないに決まっているけど聞いてみた。
「断れない、の?」




だって、気づいていた。
カカシは中忍ではないし、ましてや年下でもなかったんだ。
上忍で年上で、実力もある忍びだ。
だから度々任務で野営地にはいなかった。
何で俺と一緒にいたのか分からないけど、楽しかったから黙っていた。
一緒にいたくて。
慣れない戦地でカカシには慰められたから。
傍にいてくれただけで。




十年後 3
十年後 5



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