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天使の気持ち6



イルカ先生が来るまでの間、俺は色々と準備した。
まあ、主に食べ物を。
買ってきたものもあったし、調子に乗って手料理を作ってみたりもした。
お酒も一応、用意したけど、久しぶりにイルカ先生と飲むから飲みすぎてしまうかも。
うーん、それはなあ・・・。
悩んでいると、玄関に人の気配がした。
ドアのチャイムも鳴る。
イルカ先生が来たのだ。
俺の家に。
喜び勇んで俺はイルカ先生を出迎えた。



二人で夕飯を食べるなんて、どのくらいぶりだろう。
話も弾み、和やかな雰囲気が食卓の上を流れていた。
非常に心が落ち着く。
イルカ先生が、にこにこしながら俺の作った料理を食べて「美味しいです」と言ってくれた。
嬉しそうな顔で。
楽しいなあ、こういうの。
好きな人と食卓を囲んで、のんびりと話して、のんびりご飯食べて。
心が潤うよねえ。



でも、そんなことばかりに浸ってもいられない。
今日の俺は一味もふた味も違うというところをイルカ先生に見せなくては。
・・・ということで俺は向かい合って座っていた位置からイルカ先生の隣へと難なく移動していた。
イルカ先生の、より近くへと。
そして口を開く。
「ねえ、イルカ先生。」
話しかけるとイルカ先生は俺に笑いかけてくれた。
明るい笑顔で。
その笑顔を見ていると、自分の言おうとしていたことが喉に突っかかって中々出てこない。
・・・無敵の笑顔だ。
これから俺が言おうとしていることが相殺されてしまうような威力を持っている。



妙な緊張感で俺が口篭っているとイルカ先生の方から、ぐっと俺に身を乗り出してきた。
「カカシ先生、俺!」
勢い込んで、どうしたの?
え、もしや、あの・・・。
情熱的な瞳で見つめられて俺は、どきどきと胸を高鳴らせる。
これから何が起こるんだろう、と期待に胸が膨らむ。
イルカ先生も緊張しているのか瞳が、きらきらと輝いていた。
それからイルカ先生は大きく息を吸って吐いて。
俺の目を見て、真っ直ぐな声で言った。



「好きです!カカシ先生のことが!」



その声が聞こえた時、俺の心に、どん、と衝撃がきた。
すごく心に響いたのだ。
そういえば、イルカ先生に好きって言ってもらうの忘れていた。
俺のことが好きなんだとは解っているけど、言ってもらうのと言ってもらわないとでは天と地ほども違う。
目の前が、ぱあっとひらけたような感覚だ。
不覚にも目が潤んだ。
嬉しい、本当に嬉しい。
嬉しくて嬉しくて、とっても幸せな気分だ。
人生で一番、幸せな時に間違いない。



俺は溢れる気持ちのまま、イルカ先生に抱きついた。
「嬉しいです!」
それから・・・。
気持ちの通じた今なら大丈夫だと思い、それも言葉に出てしまう。
イルカ先生が不思議そうにしているけれど、大丈夫大丈夫。
平気平気、と俺はイルカ先生の腰に手を回して手首を掴んで、さり気なくベッドへと誘導して行った。
イルカ先生は特に嫌がる素振りも抵抗もせず、なすがまま。
ベッドに押し倒しても、されるがままであった。



押し倒したイルカ先生を上から見下ろすと口元が、にやりとしてしまう。
なんていうか、ついに、この時が来たって。
だって、ずっとずっと、この時を夢見て待っていたんだから、にやりとするくらい許してほしい。
俺は天使じゃないし、人間の一人の男だし、欲求だって人並みに持っている。
そこまで言ってもイルカ先生は、ぴんとこないみたいで、信用しきった安心した目で俺を見ている。
・・・・・・う、そんな目で見られると。
非常にやりにくい。
俺が悪いことしているみたいで罪悪感がわいてくる。



俺は、これから起こることを示唆するつもりでイルカ先生に囁いた。
優しく甘い声で。
「これから、二人で大人の時間を過ごしませんか。」
これで、ばっちりなはずだった。
イルカ先生だって、これで俺がイルカ先生をベッドに押し倒した意味を解ってくれるだろう。
大人の時間の意味を。
だけど。
だけども。
それは甘かった、俺の見込み違いであった・・・。



確かに、大人の時間という言葉にイルカ先生は反応してくれた。
「あーっ!」と叫んだイルカ先生は俺を押しのけ、ベッドから起き上がった。
「あ、イルカ先生!」
呼び止めるがイルカ先生は持ってきた自分の荷物のところへと行ってしまった。
ああ〜、もう少しで夢が叶いそうだったのに〜。
俺の長年の夢、積年の想いが・・・。
悲しい・・・。



なのにイルカ先生は、俺の思いには気づかないらしく、急いで戻ってきて俺に酒を差し出してきた。
高そうな酒だ。
「美味い酒ですよ。」と。
それに「カカシ先生と二人で飲みたくて。」なんて言われると俺に、もう為す術すはない。
「大人の時間だったら、お酒がないと始まりませんよね!」
イルカ先生は張り切っている。
大人の時間なんて言ったのが裏目に出たようだった。
でも、まあ。
俺はイルカ先生に酒を注いでもらいながら思った。



これからだって二人の時間はたくさんある。
急がなくたっていい。
少しずつ愛を育めば。



目の前で、にこにことしてお酒を飲むイルカ先生は本当に嬉しそうだ。
俺といるのが嬉しくて、しょうがないらしい。
それって幸せなことだよね。
今日のこのお酒もイルカ先生が俺のために選んでくれて買ってきてくれたわけだし。
俺って、すごく愛されている。
そして俺もイルカ先生のことも愛しているんだ、と実感した。
幸せって、こんなところにあるんだなあ。





後日。
イルカ先生に言われた。
「俺たち、喧嘩するほど仲が良かったんですね」って。
喧嘩だったのかどうか疑問の余地は残るけど、喧嘩するほど仲がいいというのは本当だと思う。
俺は素直に頷いて「そうですね」と答えた。
そして、そっとイルカ先生の手を握るとイルカ先生は、一瞬、手を強張らせて引っ込めようとしたけれど、ぎゅっと握ると微笑んでくれた。
お互いの気持ちも通じ合って、俺とイルカ先生は恋人同士の仲になっている。
イルカ先生も大人の時間の意味を解ってくれた。



イルカ先生のことは、とても大切に思っている。
きっと、その思いはいつまでも変わることがないだろう。
ずっと幸せでありたい。
俺は、そう心の底から願ったのだった。



終わり




天使の気持ち 5




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