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W(ダブル) 1



「あーあ。」
俺は溜め息をつきながら走っていた。
任務が終了して里に帰る途中だ。
なぜ、溜め息が出ているのかというと、意中の人に告白したのだが。
ふられてしまったのだ。
つまり断られた。
それも五回も。
最初に告白した時は、ただ目を伏せられて「お付き合いできません。」と首を振られた。
それでも諦め切れなくて、もう一回告白した。
もう一回が五回になって。
告白するごとに、告白相手は苦しそうな顔になって辛そうに言う。
「お付き合いできません。」
ごめんなさい、と何度も頭を下げられた。
そして、五回目の告白の後に言われた。
「頷かれないから、意地になって告白しているのではないのですか。」
その言葉に胸が痛くなった。
違う、そうじゃない、と言いたかったのに。
悲しそうな目が俺に向けられる。
「カカシ先生は俺のことが好きなわけじゃないんです。」
そう言って、告白相手のイルカ先生は静かに立ち去った。






「何で上手くいかないんだろ。」
誰ともなしに呟くと、言った言葉に自分で落ち込んでしまった。
「好きなのになあ。」
初めて会ってから、少しずつ好きになった。
あの声や、あの仕草や、あの笑顔。
目を閉じても、思い出せるのに。
なんで伝わらないんだろう。
この気持ちが。
言葉にしないから伝わらないのだと思って、言葉にしてみたら尚更伝わらない。
難しいな、自分の気持ちを相手に伝えるのって。






考え事をしながら走っていたら、滑って転びそうになった。
昨日、雨が降ったらしく山の地盤が緩んで崩れやすくなっている。
気を付けないと。
ついでに地盤の調査でもしていくか。
危ない情報は里に伝達しておくべきだしね。
慎重に調べていくと、誰かが崖から滑って落ちた後があった。
まだ、新しい。
この滑り方の後から見て、大きい動物もしくは人間だ。
落ちたところは、かなり高さがあって下が見えない。
自分でも滑らないように下りていくと。
果たして、そこには人間がいた。
よく見覚えのある人。
「イルカ先生!」
俺は叫んで、大急ぎで近寄った。



「イルカ先生。」
腕に抱えて呼びかけたが反応はない。
服は泥だらけで顔も泥だらけだ。
それに頭部が深く切れて、ひどく血が出ていた。
顔から顎まで滴り、忍服にまで染み込んでいる。
頭を打った時に額宛が吹っ飛んだのか、いつも結わえている髪紐も外れて黒髪が散らばっていた。
彼の傍に小動物の足跡があったので、それを助けるために滑ってしまったのかもしれない。
早く里に連れ帰って治療しないと。
他にも怪我はないかと体を調べていると、う、と呻き声がした。
イルカ先生の瞼がぴくぴくと動いて、薄く目が開く。
俺は驚かせないように、低い声で囁いた。
「イルカ先生大丈夫ですか?頭の他に、どこか痛いところはありますか?」
イルカ先生は一度目を閉じて、ゆっくりともう一度目を開けた。
掠れた声がした。
「だ、れ?」
「俺ですよ。畑カカシです。」
今更、何を聞くのだろう。
俺の姿が見えないのだろうか。
イルカ先生の瞳が左右にゆっくりと動く。
何事かを思い出そうとするように。
「はたけカ、カシ?」
「そうですよ。」
もう一度、最初の質問に戻った。
「誰?」
「誰って・・・。」
そこで、俺はようやくイルカ先生の様子がおかしいことに気がついた。
唇が微かに震えて瞳が不安に揺れている。
血を流したせいもあるが顔色が著しく悪い。
もしかして・・・・・・。
俺は確かめるために聞いてみた。
「あなたのフルネームは?」
イルカ先生の答えは想像通り、否だった。
そう、解らなかったのだ。






簡単に言えば、記憶喪失というものだ。






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