トラトーレ 4
晩になり、少々遅れたアスマとカカシが、飲み会に指定された場所に行くと。
「外で飲むの?」
「所謂、ビアガーデンてやつだな。」
皆、外で飲んで騒いでいた。
中には、既にでき上がってる人間もいる。
カカシは、真っ先にイルカを探したが中忍の中にはいなかった。
「アスマ、イルカ先生いないじゃん。」
「いや、いるぞ。」
アスマが指差す方向を見ると。
五代目とイルカがニコニコしながらお酒を飲んでいた。
二人とも顔が仄かに赤い。
「うわ。寄りによってイルカ先生ってば、危険人物の傍に。」
五代目は自他共にお酒が好きで、尚且つ飲ませ上手だ。
例によってイルカも飲まされていた。
「げ、イルカ先生。いつもの許容量より飲んでいるみたい。」
「早く行ってやれよ。」
「うん。」
さっとカカシはアスマの傍を離れた。
そんなカカシを見送り、アスマは番犬ならぬ番虎だなあと思い、酒を飲むためにやれやれと腰を落ち着けた。
「イルカ先生。」
カカシの呼びかけにイルカは振り向いた。
カカシの姿を見とめると惜しげもなく笑顔が全開になる。
「あ、カカシさん。」
にこにこして手を振ってきた。
「遅かったですね。待っていたんですよ。」
「そうですか。遅れてごめんね。」
隣の席にさり気なく座って、イルカの様子を観察する。
結構、飲んではいるが大丈夫みたいだ。
ほっとしていると、五代目の声がした。
「そうだぞー、遅いぞ、カカシ。」
「はあ。」
「イルカと二人で虎の話に花を咲かせて待っていたんだぞ。」
「虎の話って。」
しょうもない、とか思いながらも、それが発端でなんか色々、あーなってこーなったんだなぁ、とカカシは空しく回想した。
でも、あれからあのまま進展なし。
まるで友達のままのようだ。
落ち込みながら、イルカの注いでくれた酒に口を付けた。
ゴクリと、飲み干し。
激しく咳き込んだ。
「何これ。強いじゃないですか。」
「ふっふっふっ。テキーラストレートだからな。」
五代目は自慢する。
「自慢になりません。」
「さっきはウイスキーストレート飲んでいたけど、飲み終わったからな。」
なーイルカ、と五代目はイルカの肩を抱く。
「はい。五代目。」
イルカは、ふふふと笑って、カカシを見たのだが。
よく見ると、その目は妙に焦点が定まらず、体もふらふらと揺れている。
「イルカ先生、すごい酔っ払ってるじゃないですか!」
カカシは慌てて、五代目からイルカを取り返すと体を支えた。
「ちょっと、イルカ先生。大丈夫ですか?」
イルカは、目を閉じて「うーん。」と唸りながら椅子の上に座っているのに隣のカカシの方に倒れてくる。
カカシは背に腕を回して自分の肩にイルカの頭が乗るようにした。
「さっきまで、調子よく飲んでいたんだがなあ。」
イルカは割かし酒が強いんだぞ、と言いながら、五代目はお酒を次々に飲み干していく。
「カカシが来たから安心して酔いが回ったんだろうな。」
「俺?」
「だって、イルカが恋人同士だって言っていたぞ。」
「恋人同士?」
「ああ。違うのかい。」
「い、いえ、そうですけど。」
イルカがそんなことを言うなんて意外だったので、しどろもどろになってしまう。
そして、五代目が続けて言う。
「カカシから告白されて、すごく嬉しかったんだってさ。」
「嬉しかった?」
「何でも虎のカカシに一目惚れしたんだと。」
「虎の・・・。」
じゃあ、人間の俺は、とカカシの心を読んだのか五代目は。 「人間の方は一目会ったその日から恋の花が咲いたらしい。」
「それって、ええと。」
「一目惚れだろ。」
五代目はぐいぐいとお酒を飲みだした。
「若いやつらは恋だナンだと華やかだねえ。」
私も若い時に戻りたいよ、と愚痴っている。
五代目はカカシのグラスにもお酒を注いだ。
「イルカは酒飲んで虎になって、カカシは変化で虎になる。お似合いだぞ。」
はっはっはっと五代目は自分で言って、自分で笑った。
「全然、上手くないですよ。」
ぼそりと言って、カカシは眠ってしまったイルカを見つめた。
安心して身を任せて眠っている。
想いが一方通行だと思っていたけど。
ちゃんと伝わっていたんだ。
まだ、俺には好きって言ってくれないけど。
きっと、そのうち言ってくれるさ。
のんびり待とう。
イルカの気持ちが分かったし。
焦る事はない。
明るい気持ちになったカカシは。
幸せを感じて。
頭上では月が明るい光を放ち。
皆を優しく照らしていた。
終り
トラトーレ 3
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