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それからは、ずっと幸せ3




カカシ先生は肩で息を切らして立っていた。
珍しいことに普段は顔を覆っている布を外して素顔を曝け出している。
何度か素顔をは見ているけど相変わらず綺麗な顔だ。
俺は、その綺麗な顔に一瞬見蕩れて、次の瞬間ドアを閉めた。
今は会いたくない。
自分の顔を見られたくなかった。



だからドアを閉めたのに、ドアはちゃんと閉まらなかった。
カカシ先生がドアの隙間に自分の足を割り込ませていたからだ。
「イルカ先生。」
カカシ先生の声が聞こえる。
「お願い、話を聞いて。」
「聞きたくありません。」
俺はドアノブを強く引っ張ったが、びくともしない。
「さっきはごめんね。・・・他にも色々ごめんなさい。」
「帰ってください。」
「ごめんなさい、俺がイルカ先生の告白を・・・。」
それ以上聞きたくなかった。
とどめを刺されたくなかった。
「わーっ。」
我ながら子供みたいだと思ったが、俺はドアノブから手を離して耳を押さえてしゃがみ込んだ。
もう傷を抉られたくない。
なのに、カカシ先生の声が鮮明に聞こえてきた。





聞きたくないのに。
そして、カカシ先生に三回告白したことを思い出してしまった。



一回目は二人きりで人けの場所でどきどきしながら告白した。
告白なんて考えてなかったけど、二人きりになってチャンスだと思ってしまったのだ。
俺の決死の告白にカカシ先生は爽やかに笑って言ったのだ。
「またまた〜。冗談が好きですね、イルカ先生も。」
「え。あの、冗談じゃ・・・。」
「そんなことより、早く昼飯食べに行きましょう。」
軽く流された。
昼飯前に告白したのが悪かったのか。
その後、カカシ先生と昼ご飯を一緒に食べたけど、何を食べたか覚えていない。
ただ食べ物を確かに食べていたはずなのに、まるで砂を噛んでいるようだった。



二回目はもう少しちゃんと聞いてもらおうと思ったのに、またまた軽く流された。
思えば夕飯前で飲む約束なんてしていたのが原因だったのかも。
腹が減っていたからかな。
俺が今度こそは、と二度目の決死の覚悟で言ったのに。
「そんなこと言っても騙されませんて。」
全然俺の言ったことを信じていない顔で笑ったカカシ先生。
「で、今日は何処で飲みます?」
そして俺の二度目の告白も玉砕した。



そこで止めておけば良かったのに、俺は三回目にチャレンジしてしまったのだ。
だって二回告白した後もカカシ先生は変わらず俺に接してくれたし。
俺も今度こそは、とか思ってしまったのだ。
思えば、どっから俺の自信は出てきたいたんだろうか。
三度目の正直とか思って、これで最後とか思ったんだろうな。
三回目は人がいたけど二人で話す分には誰にも聞こえないような場所を選んだ。
だけどカカシ先生は今度は笑わずに、少し怒った風で言ったのだ。


「イルカ先生。三回も同じ冗談言うなんて、幾ら俺でも怒りますよ。」


もう駄目だ、と思った。
カカシ先生に俺の想いは伝わらないんだ、と絶望感に打ちのめされた。
そして俺がショックで蒼ざめていたところにネジは居合わせたのだ。





「だって好きな人に好きだって告白してもらったら、誰だって夢かと思うでしょ?」
回想していた俺の耳にとんでもない言葉が飛び込んできた。
何だって!
「俺の隠していた気持ちを知られて意地悪されたかと・・・揶揄われたと思って、悲しくて。でも一緒にいたくて聞こえない振りをして。」
俺の肩に何かがそっと触れた。
「ごめんね、悲しくさせて。俺、もっと素直になれば良かった。」
しゃがんだ俺の右側が暖かくなった。
カカシ先生が俺の右横に腰を下ろしたらしい。
俺の肩にカカシ先生の左腕が回って、肩を抱かれた。
「臆病でごめんね。」
低い声が俺の耳元で囁かれる。
「イルカ先生、好きです。付き合ってください。」
今更なんだけど、と恥ずかしそうに付け加えられた。



俺は耳を塞いでいた手を外して顔を上げた。
横を向くとカカシ先生の顔がある。
目は俺だけを見つめている。
「夢?」
「夢じゃないです。」
カカシ先生は苦笑する。
「三回目の告白の後にイルカ先生がネジに連れ攫われたでしょ?その時ネジが俺の方を見て口だけ動かして『馬鹿だな。』と呟いて。」
ネジを連れ去ったのは俺なんだけど。
「それで、もしかして俺、思い違いをしていたんじゃないかって。」
カカシ先生の右腕も俺の背に回る。
「ああ、これが夢じゃなくて現実だなんて嬉しい。」
そしてカカシ先生の口から先程と同じ言葉が出た。



「好きです、イルカ先生。」
低い声が歌うように続く。
「これは夢でもないし冗談でもないし、揶揄ってもいないし悪巫山戯でもありません。」
真面目に愛の告白です、とカカシ先生は真面目な顔で真面目に言った。






あれから。
カカシ先生と付き合うようになって幸せな毎日が続いている。
付き合うって、勿論、恋人同士としてだけど、実はまだ手も握ってない。
近くにいて顔を見れて笑ってくれるだけで幸せになれる。
ああ、この人を好きになってよかった。





その後、ネジはカカシ先生と一緒の時に一度擦れ違って。
その時、ちょっと笑って通り過ぎて行った。
今度「ありがとう。」を言いに行こう。
カカシ先生と一緒に。





終り






それからは、ずっと幸せ2





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