AIで普通の動画を3D動画に変換する


幸せ星4



「あ、イルカ先生!」
口げんかしていたカカシが唐突に気がついたようにイルカに謝った。
「すみません、俺としたことが。邪魔者が来てしまったので、ついつい・・・」
言いながらカカシは女性をイルカから遠ざけようと、ぐいぐいと押している。
「邪魔者って何よ!私は・・・」
何かを言おうとした女性はカカシに後ろから羽交い絞めされ、口を手で押さえられてしまった。
もがもがと口を動かし女性は暴れていたがカカシは意に介せず「ちょっと失礼します」 と女性を引き摺って、どこかへ行ってしまった。
後に残されたのはイルカ一人。
目の前で起きた出来事は突風ように吹き抜けていった。
あっという間のことで。
イルカは、ぽかんと口を開けてカカシを見送ってしまっていた。
「なんだっただろ、あれ・・・」
何がなにやら、さっぱり訳が分からない。
恋人同士って雰囲気じゃなかったような・・・。
恋に奥手のイルカでも、さすがにそれくらいは感じた。
「あれって新しい恋の形、とか?」
呟いてみたものの、答えは出なかった。



ともかく、待っている同僚のところへ戻ると同僚が心配そうに尋ねてきた。
体調を心配するのとは違う意味で。
「お、イルカ、無事に戻ってきたのか。平気か?」
「うん、無事だけど。平気って何かあったのか」
「何って」
同僚は呆れたように溜め息を吐いた。
「すっごい恐ろしい顔した上忍に連れて行かれたら誰だって何かあったのかと思うだろ」
「ああ、カカシさんのことか」
「そうだよ。中忍が上忍に連れ攫われたら、お仕置きでもされてるって思っちゃうだろーが」
「お仕置きって」
子どもじゃないんだから、とイルカは突っ込みを入れてから訂正した。
「カカシさんは、そんなことしないよ。優しい人だよ」
「ふーん」
「いつも自分より人のことを気遣ってくれるし、気配り上手で話していて楽しいし」
「へーえ」
「何より一緒にいると安心するんだよな、なぜか」
「なるほど〜」
「さっきだって俺がふらついたところを目撃して心配して体調を訊いてくれたんだ」
連れ去るのが体調を訊くためだというのは、どこか納得がいかない。
聡い人物なら二人きりになりたいがため、だと思うだろう。
同僚も何となく、そう思っていた。
それに。
「あのなあ」
イルカの話を聞き終わった同僚は、しみじみとした感じで言った。



「はたけ上忍のこと話している時のイルカって生き生きしているな〜」
「え」
「すごく楽しそう。そんでもって、すごく幸せそうに見える」
「・・・え?」
「まるで」と、にやっと笑って同僚はイルカを見る。
「まるで、はたけ上忍に恋でもしているようだな」
「ま、まさか」
指摘されたことに思わずイルカは動揺してしまう。
面白そうに同僚はイルカを見てから目を細める。
その目には弟を見るような、あたたかさがあった。
「イルカは、はたけ上忍のことが好きなんじゃないか」
鋭く指摘した。
「すすすすすす、きって・・・・・・」
その言葉を聞いたときイルカの心の中には、ざざーんと大波が押し寄せてきていた。
大波が総てを掻っ攫っていってしまった感覚に陥ったのだった。



「そ、んなことないよ」
ぎりぎりイルカは平常心を保ち同僚に反論した。
「俺がカカシさんのことを好き、だなんて。ある訳ないよ」
言ってみたものの、またしても動揺しているため声が上ずっている。
「まあまあ」
イルカを動揺させた、当の同僚はイルカに落ち着くように言う。
「今すぐに結論を出さなくていい問題だろ。後でゆっくり考えろよ」
それに、と少し離れた場所を指差す。
「あっちは、けんかするほど仲がいいみたいだし。」
指差した方向にはカカシと引き摺られていた女性が険悪な顔つきでお互いを睨みあっている。
「けんかするなら離れていりゃあ、いいのに。それでも、くっ付いているってことは 相当、相手のことが好きなんだろーな」
同僚はイルカがカカシに連れて行かれた間に聞いたことを話しくれた。
「なんでも、あの二人、再会した時に手紙がどうとか言っていたらしくて実は秘密裏に文通していたんじゃないのかと 専らの噂だ」
「・・・そうなんだ」
一気にイルカのテンションは落ちる。
カカシに恋人と称する人がいるというのを思い出したのだ。



自分の気持ちが分からず、カカシに恋人がいると現実にもショックを受けている。
イルカは人生、最大の難関にぶち当たったかもしれない。
難解な問題を解くには時間が掛かる。
一先ず、イルカは問題を先送りにすることにした。
つまり、今は考えない。
混乱するから。
仮にも任務中なので私事の考え事に気を取られるのは禁物だ。
「とりあえず、噂話はここまでとして」
同僚の口調は任務用に変えられた。
「荷物運びをしなきゃならんな」
「ああ、うん。、でもさあ」
イルカも気持ちを切り替え、任務で運ぶように言われた山のような荷物を見て眉を潜める。
「これ、二人で運べないよな」
「ま、な」
「どうすんだ」
「手は打ってある」
同僚は肩を竦めた。
「里に応援を頼んだ。もう何人か荷物運びに、ここに来る」
イルカがいない間に荷物の量を見て里に式を飛ばしたらしい。
「そうか、悪かったな」
ありがとう、とイルカは素直に礼を言う。



「いいってことよ」
で、だな、と同僚はイルカに言った。
「イルカ、確か夕方から夜間にかけて受付の仕事が入っていなかったか」
「あ、そういえば」
「俺は応援のやつらをここで待つから一足に先に帰ってろよ」
「いいのか」
「もちろん」
同僚の勧めに従ってイルカは背負えるだけの荷物を背負い両手にも荷物を持つと、ぺこりと同僚に頭を下げた。
「ごめんな、先に帰るよ」
「気をつけていけよ」
「そっちこそ。里で待ってるからな」
それだけ言うとイルカは、たくさんの荷物を持って駆け出した。
里に向かって。



だが、そのイルカの後を追ってくる者がいた。
「待ってください、イルカ先生!」
走っているイルカの横に、すっと並んだのはカカシだった。
「俺も一緒に帰りますから」
「カカシさん・・・」
走るスピードを緩めずにイルカは横にいるカカシに視線を走らせる。
「どうしたんですか、他の方たちと一緒に帰らないんですか」
上忍は、まだ先ほどの場所で休憩しているはずだ。
それに、あのくのいちの女性も。
一緒にいなくていいのか、とイルカは口から出そうになる。
「他のやつには断ってきましたから大丈夫です」
走りながらカカシは笑顔を見せた。
「イルカ先生がふらついていたから一人で帰らすのが心配だったし」
カカシの次の言葉にイルカは息が止まりそうになる。
「俺、イルカ先生と一緒にいたいから」
とっても嬉しい言葉だった。





幸せ星3
幸せ星5





text top
top