AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


食堂で 6




ある日、カカシが食堂へ行くと珍しくイルカの姿が先にあった。
そして、カカシが見たこともないような笑顔を浮かべ、カカシの同僚と向かい合わせの席で食事をしていたのだ。
身振り手振りを加えて会話するイルカは伸び伸びとしている。
楽しそうにしちゃって。
カカシは内心、むかっとしながらも愛想よくイルカに声をかけた。
「イルカ先生、今日は先に来ていたんですね。」
「え?・・・ええ。」
イルカは目をぱちぱちさせながら、驚いたようにカカシを見上げる。
「隣の席、いいですか?」
了承を貰う前にカカシはイルカの横の席に腰を下ろす。
イルカは困惑気味な顔だ。
カカシは、ふっとあることに気がついた。
向かい合わせで座るより、横に座って隣同士の方がイルカに近いしイルカのことがよく見える。
この小さな発見によってカカシは途端に楽しくなった。





イルカの方はといえば。
あ、今日は珍しくカカシ先生がいない。
昼時に、食堂を訪れたイルカは密かに喜んだ。
カカシと食べるのは最近慣れた。
慣れたけど、心に色々と引っかかるものがあって。
一緒にいると緊張するのか、妙にどきどきしちゃうんだよな。
カカシ先生、ああ見えて素顔は無駄にカッコいいし。
何より、一緒に食べると美味しいし。
・・・なんでだろ?



イルカはぐるぐる巡る考えを振り切って、食べたいものをトレーに乗せて適当な席に座ろうとしたのだが、そんなイルカに声をかける者がいた。
「よ、イルカ。」
声をかけてきたのは古くからの知り合いの上忍、アスマであった。
アスマのことはイルカは小さい頃から知っていて兄のように慕っている。
イルカは座る席を決めた。
「アスマさん、こんにちは。ここ、いいですか?」
アスマの正面に座る。
久しぶりに会ったので会話も弾んだ。
そして、食事も久しぶりにゆっくりしてるような気がする。
おまけにイルカは漸くホットケーキの呪縛から解き放たれて、別のものを食べていた。
何故かサンドウィッチであったが、それを美味しく食べていた。
そこへカカシは現れたのだ。





イルカがホットケーキ以外のものを食べている。
カカシは横目だけで、注意深くイルカを眺めた。
確か、あれはパンにハムや野菜やらを挟んで食べるんだよな。
別に好んで食べるものではないがイルカが食べていると、とても食べたくなるのは何故だろう?
あれも、イルカ先生に食べさせてもらいたいなあ。
見ているとイルカがサンドウィッチを食べた後、その指をぺろりと舌で舐めていた。
マヨネーズかソースが付いたのだろう。
そう見ると同時にカカシの口から言葉が出ていた。



「イルカ先生、サンドウィッチ食べさせて。」



やっぱり・・・・。
イルカは少しだけカカシを睨む。
いつもいつも、俺の昼飯を食べてくれちゃって。
でも食べさせるまでカカシ先生、引かないだろうな。
諦めたイルカはサンドウィッチを一つ手に取ると、カカシの口元まで持っていく。
カカシは、いつものように、あーんと口を開けて待っていた。


・・・そんな姿でもカッコいいなんて反則じゃないか、俺はカッコいいなんて思わないからな、とイルカは聊か乱暴にカカシの口の中にサンドウィッチと押し込んだ。
そして勢い余って、カカシの唇にイルカの指先が触れる。
指先が唇に触れた時、カカシは咄嗟にイルカの手首を掴んでいた。
「あの、カカシ先生?」
突然の行動にイルカが不思議そうな顔をする。
カカシは口に入ったものを咀嚼して飲み込むと、にこりと笑った。
続けてイルカの手首を引き寄せて先程、唇に触れた指先に、ちゅっと音を立ててキスを落とした。
イルカは予期せぬの成り行きに固まっている。



「俺さ、今ので分かっちゃった。イルカ先生に触れられたことで。」
カカシが満足そうな笑顔で言う。
「何がだ?」
固まっているイルカに代わり静観していたアスマが、どことなく嫌そうに質問してきた。
でもカカシは構わず答える。



「あのね、イルカ先生のことが好きなんだって。」






それから、お互いの感情を自覚するまでには紆余曲折とあったらしいが。
現在、イルカが嵌っているのは唯一つ、カカシの手料理だけだということだ。
それは生涯変わることはなかったという。




終り




食堂で 5



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