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花の咲く色 17



バーレーてーいーたー。
ってかバレている・・・。
全部が全部、皆が皆に。
カカシさんと俺のことが。
余りのことに硬直して動けない俺を見てカカシさんは「あーあ、しょうがないですねえ」と言いながら、半ば俺を抱えるようにして連れて帰ってくれた。
「ま、イルカ先生のそんなところも大好きなんですよね」
やたら、機嫌がいい。
「だってだって」
カカシさんに抱えられながら俺は一人、呟きまくっていた。 「だって、言わなきゃ解らないんじゃ。だって、一般的には恋愛って言ったら男女だし。だって、男同士が恋人だなんて普通は思うわけないと思うし」
自分に言い訳。
カカシさんと俺が一緒にいたって、それが恋人に結びつくなんて思ってもみなかった。
ちょっと仲のいい上忍と中忍くらいかな〜って。
「カカシさんと俺の仲がバレていたなんて・・・」
「はいはい」
カカシさんは俺の家の鍵を開ける。
「もう、観念しなさい、皆にバレて知られているってことを」
「うう〜」
引き摺られるようにして家の中に入る。
「それにね」
家の中に入ってカカシさんの正面に座らせられる。
カカシさんの顔がよく見えた。
俺たち二人の他は誰もいないので、カカシさんは覆面も額宛も取ってしまっている。
「それにね、イルカ先生」
よく考えて、とカカシさんの思慮深い瞳が俺を見つめる。
「俺とイルカ先生の仲がバレていましたけど、イルカ先生、別に嫌な思いとしてないでしょ?」
からかわれたり、嫌がらせとか?
「はい」
確かに、誰にも何も言われていない。
「だからね」
カカシさんの顔が、ふっと緩んだ。
「それは皆が皆、俺とイルカ先生の仲を解っていて、それで認めてくれているってことなんですよ」
周囲に受け入れられているの?とカカシさんは優しく諭してくれた。
「俺とイルカ先生は恋人同士なんだって理解してもらえているんです」
「そ、そうか・・・。そうなんですね・・・」
「そうなんです」
頷いたカカシさんは微笑む。
「俺とイルカ先生は皆が認める、仲睦まじい恋人同士なんですよ〜」
最後、カカシさんは頬が緩むというよりも、にやけていた。



「だから、何も心配する必要はありません」
「はい」
納得して俺は頷いた。
それなら、それで、まあ、いいか、と。
かなり恥ずかしいけれどね。
「それは、それとして」
カカシさんが俺に訊いてきた。
「何でイルカ先生は俺とイルカ先生のことを知られるのが嫌なの?」
「え」
「イルカ先生に言わないでって言われたから約束を守っていたけれど」
カカシさんが、じとーっとした目になる。
「言わないでなんて口止めされると、俺、色々勘ぐっちゃいますよ」
「そ、れは・・・」
「イルカ先生、俺のこと好きですよね?」
言われて、俺は急いで、こくこくと首を縦に振った。
「好きです、カカシさんが好きです」
「じゃあ、どうして『言わないで』なの?」
「それは、そのう」
「言ってほしいな、イルカ先生。俺、聞きたい」
カカシさんに懇願されて俺は、とうとう喋ってしまった。



「えっと、それはですね」
「はい、それは?」
カカシさんは俺から目を逸らさず、一心に見つめてきた。
それが気恥ずかしくなって、俺は顔を伏せてしまった。
「は・・・」
「は?」
「恥ずかしいからです・・・」
声が小さくなっていく。
「恥ずかしいって?何がです?もしかして、俺が?」
対してカカシさんの声は、やや大きくなった。
「そうじゃなくて」
かーっと一気に顔が熱くなった。
きっと耳まで赤くなっているんだろうなあ。
「カカシさんが恥ずかしいなんて思ったことは一度もありません。その逆です」
「逆って・・・。イルカ先生が?」
今度の声は、やや不機嫌そうな声。
「なぜ、そんなことを思うんです?」
訳が解らないといった口調だ。
「何ていうか」
上手く説明できないんだけど。
「誰かと付き合う自分ってのが想像できなくて。本当に自分に恋人がいるんだと思うと不思議な感じで」
カカシさんは黙って聞いている。
「ナンセンスというか、恋人としての自分の良いところが解らないし、こんな自分と付き合っているとカカシさんの人間関係に響くんじゃないかとか亀裂が入るんじゃないかと」
言っていて、どんどん体中が熱を帯びてくる。
「だ、から・・・」
ああ、自分が何を言っているんだか、だんだん判らなくなってくる〜。
「と、兎にも角にも恥ずかしいんです」
カカシさんには解らないかもだけど。
「カカシさんは俺に、よくセクシーだって言ってくれるけど、俺には、そんなの欠片もないのを自分でも知っていますし」
色っぽいからは、程遠い人生だ。
「ふーん、イルカ先生はそんなこと考えていたんですか〜」
はっと顔を上げるとカカシさんが腕を組んでいた。
別に怒っている顔ではない。
不機嫌そうでもなかった。
「うーん」
難しい顔して考え中。
「うーん・・・」
何を考えているんだろう?
暫く考えていたカカシさんは、ぱっと顔を輝かせた。
「うん、分かりました」
何かを閃いたようだ。
「イルカ先生が、何でそんなことをかんがえるのか分かりました」
にっこり笑ったカカシさんは俺の腕を掴んで、自分の胸に抱き寄せた。
ぎゅっと抱き締められる。
「俺の愛が足りなかったんですね!」
「は?」
「イルカ先生は俺の愛で満たされていなかった」
「いえ、そんな」
カカシさんの愛は充分過ぎるほど貰っている。
両手にも心にも溢れるくらい、たくさん。
「俺はね、俺の目にはイルカ先生しかセクシーに見えませんし、俺の脳はイルカ先生以外はセクシーだと認識したこともありません。イルカ先生の良いところも星の数より知っています」
だって、好きだから。
好きだから。
カカシさんが俺の耳元で囁いた言葉。
「好きだからイルカ先生が。だから、イルカ先生がセクシーに見えるんです」
それは俺が出した答えを同じだった。
何故、カカシさんがセクシーに見えるのか?
他の人はセクシーに思えないのか。
それは俺がカカシさんを好きだから。
好きな人はセクシー見える、色気も感じる。
そう、総ては好きだから。
愛ゆえなのだ。



そう言うとカカシさんは感極まったように俺を強く抱き締めた。
「イルカ先生!」
少し苦しい。
「大好き、愛しています!」
それは、俺だって・・・。
「俺にはイルカ先生しかいないから、変なこと考えないで。イルカ先生と付き合って壊れるような人間関係なんて俺には必要ありませんから」
「カカシさん」
「イルカ先生が一番大事なんです」
世界中で、俺の人生の中で、一番。
じーん。
カカシさんの言葉は胸に響いた。
心に染み渡って、心が潤っていく。
「恥ずかしいっていうのはイルカ先生の性格だと思うから、しょうがないですけど」
俺の顔を覗き込んでくる。
「それも、いつかは俺の愛の力で何とかします」
何とかって、何を?
「イルカ先生が自分で自分のことをセクシーだと思うように」
・・・それは無理かと。
「俺の前だけで色気を出してくれるように」
・・・・・・それも無理かと。
「俺は色気より食い気派なんで」
一応、そう言っておいた。
「ま、俺も今は色気より食い気ですけどね」
へー、カカシさんも食い気が勝っているのか。
若いから、お互いに食欲あるもんね。
すると何を思ったのか、カカシさんが俺を見て、にや〜っと笑った。
気のせいかな・・・、カカシさんが愛読書を読んで、時折、にや〜っとする笑いと似ているのは。
「イルカ先生、俺の言っている食い気の意味、解ってないでしょ?」
「え、食い気は食い気じゃないんですか」
「それも、いつか必ず教えてあげます」
何だろ?と首を傾げているとカカシさんにキスをされた。
とっても口では言えないようなキス・・・。
こんなキスが地球上に存在していたなんて、まだまだ人生奥深い。
それと以前にカカシさんが任務で不在のときに買った服を渡したら、とっても喜んでくれた。
俺の家の押入れに、ずっと入れっぱなしだったのを、すっかり忘れていたのだ。
俺が選んだ服を着てくれたカカシさんは俺の目には、とっても格好よく、尚且つ、セクシーに映った。
恋人が喜んでくれる姿を見るのは嬉しい。



次の日の朝。
「ん・・・」
上半身裸で伸びをするカカシさん。
やっぱりセクシーで色気がある。
俺は布団の中から顔半分、目だけ出して、そんなカカシさんを見ていた。
見蕩れていた。
ふわふわとした気分で。
なんて素敵な俺の恋人。
好きだなあ〜って。
「もー、イルカ先生」
俺の視線に気がついたカカシさんが、ふふっと笑って俺の額にキスをしてくれる。
「朝から、そんな目で見られると俺、困るなあ」
どんな目?
「そ。セクシーで色気がある目です」
「そんな目してません」
「イルカ先生が気がついてないだけで俺には解るんです」
自信たっぷり。
「さ、朝ご飯作ろうっと」
こうして、いつもの日常が始まった。
カカシさんと俺。
恋人といつも一緒の生活。
幸せだ、とっても。
大好きな人といることが。
それだけで、俺の心は満たされる。



終わり





花の咲く色 16




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