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青春時代 6



「なんてこともあったよね〜。」
目の前で熱燗を手酌で飲む男はカカシだ。
二人で秋の夜長に熱燗を飲みながら。
初めて会った頃の昔話をしている。
どこで飲んでいるかと言うと二人の家。
正確に言うと二人で住んでいる家だ。
俺とカカシの楽しい我が家。



「あの頃のイルカ可愛かったなあ。」
うっとりと、カカシは思い出している。
「あー、あの青春の日々、俺の黄金の一頁だよ。」
調子に乗って、滔々とカカシは喋っている。
俺は黙って酒を喉に流し込んだ。
ゆっくりと落ち着いて。
「そんなことなんてあったけ?」
覚えてないよ、と知らばっくれた。
そんな恥ずかしいこと話せるかっての。



「えー、覚えてないの?」
「覚えてません、カカシ先生。」
態といつもの話し方、呼び方をした。
「カカシ先生、酔っ払ってきてるんじゃないですか?」
「もー。」
カカシは口を尖らせた。
「つれないな〜。」
正面に座っていたカカシが、俺の横に移動してきて体を寄せてくる。
ついでに唇も寄せてきた。


ちゅっと頬にキスされる。
「そんなところも大好きだけどね。」 イルカ、と続けて優しい声で名を呼ばれて。
俺は心が乱れてしまう。
ついでに心臓の鼓動も乱れてしまう。


「ばっかじゃないの。」
そう言ってみた。
カカシは、ただ笑っているだけ。
幸せそうに。




カカシが掛けたお呪いは、とっくに解けていた。
里に帰ってきて一番に俺に会いに来て。
額にキスしてくれたのだ。
贈ったマフラーは、もうボロボロになっていたけど。
俺の代りにカカシを元気付けてくれていたんだろうし。
大切にしてくれていたみたいだったし。
今は押入れの隅で眠っている。
それから。


まあ、そのね。
二人の間に、いろいろあって。



因みにお呪いと云うのは俺に告白してきた、本当に数少ない人に対して。
「俺の好きな人は畑カカシです。」って言わされるっていうもので。
ついでに「畑カカシは、あの写輪眼だ!」と云うことまで言わされた。
そして百発百中、相手は引く。
カカシの名は、それほど有名になっていたから。
そんなことが続くと俺とカカシの在らぬことが、あれこれと噂になって。
俺はカカシが帰ってくるまで恋愛に、とても遠い場所にいた。



それを思い出してカカシに文句を言うと。
「いいじゃーん、友達としてだけど俺のこと好きだったんでしょ?」
「そりゃ、まあね。」
「じゃ、間違ってないし。」
カカシはにやにやと笑って「作戦成功。」とか言っている。




でも、今は。
「今はさ。」
カカシに伝えたくて、言いたい言葉があるんだけど。
ある言葉を言おうとするんだけど。
カカシの顔が目に入ると出てこない。
目なんて見ると、もう駄目だ。
カカシは、そんな俺の顔色を読んだみたいで。

俺の肩に手を回して自分の胸に引き寄せながら。


「今は恋人として好きなんだよね。」


俺の心を代弁してくれた。
解ってるじゃん。



だから。
大好きなんだけどね。
大好きすぎて困ってしまう。



そうして。
二人で過ごす秋の夜は更けていった。



終り




青春時代 5



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