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恋愛場面 後



カカシが待っている。
イルカと一緒に帰るために。
戦々恐々としながらイルカは仕事を終わらせた。
カカシに何を言われるのだろうか。
今までのことはなかったことにしてほしいとか言われるのか。
忘れてほしいとか。
こんなにカカシのことが好きなのに。
気がついたのは、ついさっきで失恋してしまったのだと思うが。
やっぱりカカシのことが好きな自分がいる。
イルカは仕事の引継ぎを終わらせて自分の荷物を持ちカカシが待っている場所へと行く。
待たせたことを詫びるとカカシは立ち上がってイルカの隣へと来た。
「帰りましょう」
カカシの声は優しかった。



夜の道をカカシと二人きりで歩く。
カカシとイルカの間の空気は重く感じた。
受付所を出てから無言で歩いていた。
重苦しい空気を断ち切るためにカカシに話しかけようにも何も浮ばない。
二人きりでいることが苦しい。
イルカは立ち止まった。
目を閉じて大きく息を吸って吐く。
カカシの名を呼んでみた。
「カカシさん!」
「イルカ先生!」
イルカと同じタイミングでカカシもイルカの名を呼んできた。
「あ・・・」
「え・・・」
二人の目が一瞬、合って逸らされた。
「何か?」
「いえ、カカシさんからどうぞ」
「いえいえ、イルカ先生から」
変なところで譲り合う。
「あのですね・・・」
「ええと・・・」
カカシもイルカも上がってしまって変な雰囲気になっている。
暫くの間、沈黙が漂った。
ちら、と逸らせていた目をイルカがカカシに向けるとカカシもイルカを見ていた。
カカシが、にことイルカに微笑みかけてきた。
反射的に微笑み返してしまう。
微笑みかけられると微笑み返すのが習慣になっていた所為もある。
やっぱり・・・。
カカシの顔を見てイルカは強く思う。
強く思いすぎて、それが口から出ていた。
「やっぱりカカシさんのことが好きです」
それを聞いて目を大きく見開いたカカシは驚いたようで。
「俺だって、やっぱりイルカ先生のことが好きですよ」
そう言い返してきた。



・・・やっぱり俺のことが好きって。
やっぱりってどういうことだ?
イルカが戸惑っているとカカシも同じようで「え、やっぱり好きってどういうこと?」と首を傾げていた。
だが首を傾げていたカカシは次の瞬間、へらっと笑った、嬉しそうに。
「イルカ先生に初めて好きって言われちゃった〜」
「あ」
そういえばカカシさんに好きだって言われてなかったことだけに拘っていたけど。
俺もカカシさんに好きだって言ってなかったな・・・。
まあ、言う前に失恋してしまったんだけど。
「イルカ先生、もしかして俺のことが嫌いになったんじゃないかと思ってしまったんですけど」
ふわっとした温かさがイルカを包んだ。
カカシの腕だった。
「杞憂でしたね」
ぱちぱち、とイルカは瞬きした。
この状況は何だろう・・・。
「それより」とカカシはイルカの顔を覗き込む。
「ちゃんと言っていませんでしたね」
そっと秘密を打ち明けるかのようにカカシはイルカに囁いた。
「俺、イルカ先生が好きなんです。大好きです」
好きですイルカ先生、とカカシは繰り返している。
「大好きイルカ先生。本当に本当に大好きです」
世界で一番好きとか、ほざいていた。
「ちょっと・・・」
「ちょっとじゃなくて、たくさん好きです」
「あの、解らないんですが・・・」
「解らない?ああ、だから俺はイルカ先生が好きなんです、好きだからお付き合いを申し込んだんです。あ、順番が逆でしたが」
最初は好きだと言ってからお付き合いするものなんですね〜、とカカシは暢気に言っている。
「じゃなくて!」
イルカは少し大きい声を出した。
軽くカカシの胸を押して離れるとカカシは傷ついたような顔をした。
「イルカ先生、やっぱり俺のこと嫌い・・・」
「嫌いじゃありません」
そこは、きっちりと否定しておく。
カカシのことは好きだ、だが。
「昼間の女性は何なんですか!」
瞼の裏に顔が重なり合ったであろうカカシと女性が思い浮かぶ。
「女の人と歩いていたのを見ました。それから、その女の人と・・・」
真っ先に思い浮かんだのはラブシーンと言う言葉であったが、そこは口を噤む。
カカシが他の誰かと、なんて言いたくなかった。



「昼間?」
イルカに言われてカカシは眉を潜めた。
「昼間って何かありましたっけ?」
「だからカカシさん、女性と歩いていて嬉しそうに話していて、それで・・・」
そこまで言うとカカシは閃いたように「あれか!」と頷いた。
「あれはイルカ先生のこと話していたんですよ〜、イルカ先生のこと話すときって、どうーしても顔が緩んで駄目なんですよね〜」
「女性と親しげに身を寄せ合っていたように見えましたが」
「それは背中についた糸くずを取ってやろうと思ったら毛虫で、早く取れって怒られて。それだけですよ。あいつは顔見知りなだけで名前も知りません」
訝しげにカカシを見やると、きょとんとしている。
カカシの言ったことは真実のようであった。
「そうだったんですか・・・」
自分の中の誤解が解けて、ほっとしたイルカは怒っていた肩を落とした。
事実は小説より奇なりではなかった。

「でも嬉しいなあ〜」
気が着くとイルカはカカシの腕の中に舞い戻っていた。
今度は逃げられないように、ぎゅっと抱きしめられている。
「イルカ先生も俺のことが好きで、でもって他のやつといただけで妬いてくれるなんて」
でれでれだ。
「ち、違います!俺はカカシさんがあの女の人が好きなのかと思って」
「そんなわけないでしょ」
「だけどカカシさんが他の人が好きだと思ったら・・・。俺、カカシさんが好きだって自覚して同時に失恋したんだと思って」
「あー、それで受付で元気がなかったんですね」
カカシは察しがよい。
最もそれはイルカに関してだけだったが。
カカシは強く強くイルカを抱きしめた。
「俺って愛されてるなあ」
その声は幸せそうである。



唐突にカカシはイルカから体を離した。
イルカの手を握って引っ張って歩き出す。
「カカシさん?」
カカシの腕の中で安心していたイルカは不思議そうにしている。 手を引かれて素直にカカシに着いて行く。
「どうしたんですか」
「どうしたんですかって、あれですよ」
イルカの腕を掴んだカカシは、せかせかと歩く。
「早く家に帰らないと」
「ああ、晩御飯まだでしたよね」
「それもありますけど、そうじゃなくて」
声に焦りがある。
「せっかく、いい雰囲気なのに人目があると先へ進めないじゃないですか!」
カカシの言葉の意味を悟ったイルカが、ほのかに赤くなる。
「先って、あの・・・」
「キスとかあれとかあれとかあれとかですよ」
もはやイルカに返す言葉はない。
カカシのただただ手を引かれるのみだ。
振り返ったカカシが、にやっと笑った。
「ラブシーンをしないとね」



終わり



恋愛場面 中

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