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Time is money 13





自分のことが好きか?とカカシに聞かれてイルカは、すぐに返答できなかった。
カカシのことは嫌いではない。
それは自信をもって言える。
では嫌いではなければ好きなのか。
好きだと言えば好きだとは思うが、それはカカシの言う意味合いの好きではないような気がする。
カカシが、自分のこと好きだというのは友達同士の好きとは、全く別のものだと思うし。
それなのに、自分が今、ここでカカシのことを好きだと言ったら、それはどういうことになるんだろうか。




「あの、カカシ先生。」
イルカはおずおずと聞いてみた。
「俺といると気持ちが安らげますか?一緒にいて楽しいんでしょうか?」
「え?」
カカシは首を傾げる。
何を言っているんだという感じで、イルカの頬を、ちょんちょんと突いた。
「当たり前でしょう。だって好きな人といるんだよ。」
カカシは、ゆっくりと力を込めてイルカを再び抱き締める。
「こうしてイルカ先生に触れて抱き締めれば、俺の心にも体にも力が、どんどん湧いてきます。」
安心したようにカカシは、ゆっくりと息も吐く。
「こうしていれば幸せ。ずっと、こうしていたい。」



少しだけ体を離したカカシは自分の顔を見せるように、にこやかにイルカに笑いかけた。
「イルカ先生は?俺といるのは嫌ですか?」
「嫌だなんて。」
瞬きを何度かして、イルカは自分の気持ちを整理しながら少しずつ話し出した。
「カカシ先生といると楽しくて、いつまでも一緒にいたいとか思ってしまうこともあったけど。でも、それじゃ、いけないと思って。」
「どうして、いけないと思ったの?」
カカシが優しい口調で問い掛ける。
「カカシ先生、大変な任務をしているから里にいる時くらいは俺じゃなくて、大切な人と一緒に時間を過ごしてほしいと思ったんです。」
「うん、それで?」
「そうすれば、カカシ先生が幸せになると思って。」
イルカはカカシの目を真っ直ぐに見た。



「俺、カカシ先生に幸せになってほしいんです。」



カカシの目が細まり口元に笑いが浮かんだ。
そして言った。



「じゃあ、二人で幸せになろうよ。」



カカシは、はっきりと言った。
「イルカ先生、これから、俺とずっと一緒にいてください。」
手を差し出す。
「里にいる時もいない時も、例え離れていても、気持ちは一緒にいてください。」
差し出されたカカシの手をイルカは、じっと見てカカシの顔に視線を向ける。
「・・・本当に俺でいいんですか?」
力強くカカシは頷いた。
「イルカ先生でなければ駄目です。」




それでも逡巡するイルカを見てカカシは畳み掛けるように止めを刺した。
「昨日、イルカ先生は書類を運んでいる時、俺が他の女性といるのを見て寂しくならなかった?少しだけでも妬いたりしなかった?」
カカシはイルカのことなら何でもお見通しらしい。
「寂しくなって拗ねちゃって、俺がイルカ先生に触れようとした時に避けちゃったんでしょ?それって、俺のことが好きってことでしょう。ほらほら、認めちゃいなさい。」
カカシの差し出した手にイルカの手が静かに、そうっと重なった。
「捕まえた。」
嬉しそうにカカシはイルカの手を握る。
「もう、この手は離さないよ。絶対にね。」
そのままイルカを引き寄せて腕に中に囲った。
「大好き、イルカ先生。」




その言葉を聞いてイルカは、ゆっくりとカカシの背に腕を回す。
カカシの体を抱き締めると、なんだか心も体も落ち着いた。
そしてカカシに抱き締められている。
ずっと、こうしていたいと言ったカカシの気持ちが分かった。
イルカはカカシにだけ聞こえるように小さく呟く。
「好きです、カカシ先生。」
イルカの言葉が聞こえた時のカカシの顔には穏やかな微笑があった。
そして、その後に、にやりとしたのが、イルカに見えなかったのは幸いした。




しばらく二人は抱き合っていた。
カカシは自分の想いが、やっとのことで実を結びイルカと両思いになれた余韻に浸っていたかったのだが、イルカの方はそうではなかった。
「あっ、そういえば、カカシ先生。俺は今日は休みでしたけど、カカシ先生の任務は?」
「いや、ないから朝までイルカ先生の家の前にいたんですけどね。」
「そういや、今、何時ですか?」
「夕方かな?」
「お腹空いてきましたね。・・・あーっ。」
部屋の中を見渡したイルカが大声を上げた。



「部屋の中が片付いている!」
「あ、イルカ先生が寝ている間、暇だったから片付けておきましたよ。」
カカシがしれっとして答える。
「えっ、片付けたって。」
自分の部屋のひどい有様を思い出してイルカは、すっと血の気が引いた。
確か、脱いだ服も散らばっていたはずだ。
恥ずかしくなって、今度は真っ赤になる。
「まあまあまあ、いいじゃないですか。俺、片付けが得意だって言ったでしょう。」
「でも。」
「俺達、お互いに、もう何も隠すような間柄じゃありませんしねえ。」
そうなのかな?とイルカが深く考える前にカカシが言った。
「じゃ、外に夕飯でも食べに行きませんか?」
イルカの家の冷蔵庫には何もない。
カカシは立ち上って、イルカに手を差し伸べた。
「一緒に行きましょう。」
「はい。」
イルカもカカシの手を取って、二人の手はしっかりと繋がった。





後日。
放課後のアカデミー、職員室で例の同僚の女性ににイルカは、そっと報告した。
カカシとの関係を。
すると同僚の女性は、さして驚いた様子を見せず「なあんだ。」と云う風に肩を竦めた。
「畑上忍だったのね。」
「え?何が。」
「イルカが聞いてきたことを言っていた人って。」
「うん、そうだけど。」
イルカの不思議そうな顔を見て同僚の女性は言った。
「あのね、イルカは知らなかったと思うけど。イルカと畑上忍がいるところを邪魔するとね、畑上忍、イルカに気づかれないように邪魔した人をすごい目で睨むのよ。それは、もう、おっそろしい目で。」
「・・・そうなの?」
「ええ。もう、イルカが畑上忍とそういう関係になったのなら話してもいいかなと思って、ばらしちゃうけどね。」
「へえ〜。」
カカシの思わぬ一面を知って、イルカは少々複雑になってしまう。
もしかして意外にカカシは嫉妬深いのか。
そんなイルカの表情を見て同僚の女性は軽やかに笑った。
「いいじゃないの。好きなんだから。」




アカデミーの職員室から夕日で茜色になった校庭を見るとカカシが、いつものように迎えに来ていた。
任務のない日はイルカの帰る時間を見計らって必ず迎えに来てくれる。
カカシは見えないはずのイルカに手を振ってきた。
イルカも職員室の窓から身を乗り出して手を振り返す。
カカシの姿を見るとイルカの顔に自然と笑顔が浮かんだ。




大好きな人、大切な人。
一緒いると安心して、ずっと一緒に時間を過ごしていく人。
いつまでも。




終り





Time is money 12




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