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眼鏡色の君 1



ある日の夕飯時。
カカシはイルカに言われた、ごく軽く。
「あ、カカシさん。」
「はい、なんでしょう?」
ご飯を口に入れてカカシは、モグモグとさせている。
イルカと一緒に、ご飯を食べれる喜びを噛み締めていた。
なにしろイルカとは、やっと気持ちが通じ合って現在の関係に至っている。
ここまで来るのに長かった・・・。
カカシは、しみじみ思う。
誤解とか勘違いとか擦れ違いとか紆余曲折が多々、あったのである。



自分の好きだという気持ちをイルカに伝えるのは、ものすごく難しかった。
ひとえにイルカの生真面目さや純粋な部分がカカシの気持ちを曲解されて上手く伝わらなかったのである。
だが、しかし。
今は余すことなくカカシの好意はイルカに間違いなく伝わっている。
解っているはずであった。
あ〜、今はとっても幸せ〜。
カカシが、そんなことを考えて幸せに浸っていると、それをぶち壊すようなイルカの一言が舞い降りてきた。
「突然ですが俺、明日から里外の任務に行きます。ニ、三ヶ月ほど。」
「・・・・・・は?」
「もしかしたら、もっと長引くかもしれません。」
ぱくっとイルカは、おかずを口に入れて咀嚼する。
なんでもないことのように、さらりと言う。
「当分、カカシさんとは会えませんね。」



「ええ〜、そんな〜。」
カカシの口から哀しげな声が漏れた。
「嘘でしょう〜。」
「嘘じゃありません。」
イルカは真面目な顔で答える。
「火影さまから直々に仰せつかりました。」
「でもですねえ。」
眉を潜めてカカシは渋い顔をした。
ようやくイルカと付き合うことになって、まだ二ヶ月も経っていない。
カカシに言わせれば、今が蜜月、一番楽しい時なのに。
なのに、そんな二人が離れ離れになるなんて、という気持ちでいっぱいだ。
それに。



今まで付き合っている期間よりも長い任務に行くなんて・・・。
イルカに限って、そんなことはないと思うが万が一、イルカの心が自分から離れたらどうしよう、という不安もある。
任務先で寂しさから、他の人間に心を許したりして。
考えるとマイナス思考は止まらない。
いかんいかん、とカカシは頭を、ぶんぶんと横に降った。
そんなことを考えては、イルカを信用しないと。
とは言っても、とカカシは、ちらとイルカを横目で見た。
不安な要素は他にもあるのだ。



なにしろ気持ちが通じ合って一緒に食事を摂るまでにはなったのだが問題は、その先だった。
自然な形でお互いの家を行き来したり、一緒にいる時間は長くなったものの、それらしきことに進展するまで程遠いのである。
イルカとは手を繋いだり肩を触れ合わせたりして、それとなく過剰なスキンシップを求めているのをアピールしているのだが、てんでイルカは気がついていない。
イルカはカカシに触れられたり触れたりすると、とても嬉しそうにはするのだが、それだけだ。
キスも挨拶ように、ちょっと唇が触れると、すぐに離れていってしまう。
もっとイルカ先生に触りたい。
カカシには底知れぬ欲求があるのだが、それを表には出せないでいた。
イルカを大事に思う気持ちが優先して言い出せなかったのである。



恋愛ごとに関してはイルカ先生なりのペースがあると思うし。
ゆっくりのんびりと恋する気持ちを育てるのも楽しいし。
そう思っていたのだが・・・。
カカシとイルカの気持ちは通じ合ったものの、より強い繋がりがないままにイルカは任務に行ってしまう。
途轍もなく心配だった。
でも、こんなことイルカに言えるはずもなく。
次の日の朝。
イルカはカカシを残して任務へと出発してしまった。



出発前に、さすがに寂しくなったのかイルカはカカシに寄り添って少しばかり甘えてきた。
「会えないと寂しいですね。」
「そうですね。」
イルカのことを抱きしめて、自分を忘れないように、と念を込める。
またイルカの温もりを覚えていようとカカシは抱きしめる腕に力を入れた。
「俺のこと忘れないでね。」
カカシが言うとイルカは「カカシさんこそ、俺のこと忘れないでくださいね。」と微笑んだ。
「気を付けて行ってきてね。怪我なんてしないように。」
「はい。じゃあ・・・。」
名残惜し気にイルカはカカシから離れ、そのまま旅立ってしまったのだ、任務へと。




それから、イルカに会えなくなって一ヶ月。
カカシも任務で里外に出ていた。
任務が終わり、帰り道の途中、夕暮れ時で宿でも取ろうかと、とある街へと立ち寄る。
「疲れたなあ。」
どこか良さそうな宿はないかとカカシが、きょろきょろしていると不意に、よく知っている人の気配が近づいてきた。
いつも心に想っている人の気配だ。
でも、その人は誰かと一緒にいるようで。
カカシは咄嗟に物陰に隠れて、よく知っている気配の人を見る。
黒縁のメガネをかけて顔を横切る傷を化粧か何かで隠して、艶めく黒髪を項辺りで結び、黒を基調とした服を身に纏っていた。
シンプルで清楚な感じだ。
カカシの知っている、その人は普段とは趣きが大分違う。
そして、その隣には知らない誰かがいた。
その知らない誰かに、カカシのよく知る人は肩を抱かれていた。
驚愕で目を見張る。
「・・・・・・イルカ先生。」
カカシのよく知る人とはイルカであった。




眼鏡色の君 2




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