AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


子供と大人 18






イルカ先生に俺の気持ちを伝えて、俺へのイルカ先生の気持ちも知って、そして気持ちが通じ合った。
俺は今、幸せの絶頂であるといっても過言ではない。
満ち足りているというのはこういうことなのか。



お互いの気持ちを知った俺たちは何事もなかったように振舞って火影室に戻って五代目の堪っていた仕事を手伝った。
イルカ先生は、突然、部屋を飛び出したことについて「お騒がせしました。」と詫びていた。
仕事を黙々と手伝う俺たちを見て、五代目は俺に目で聞いてくる。
上手くいったのかい?
大丈夫です、と俺も目で答える。
その後、五代目は特に何も言うことはなかった。
多分、俺たちの様子を見て心配ないと判断したのであろう。
だって俺の顔は、にこにことしていて上機嫌であることが一目で分かる。
イルカ先生は表情にこそ出してはいなかったけど、雰囲気が明るくなって落ち着いていたし。
五代目は、そんな俺たちを見て少し苦笑していた。




それから、そういう関係になってからイルカ先生とラーメンを食べに一楽に行くと、親父さんから意外な一言が。
「あれ?カカシ先生、元の姿に戻ったんだね。」
「え?」
「いや、この前、子供の姿でラーメン食べに来てただろう?」
「あ、はい。」
あの子供が俺だって、どうして分かったんだろう?
隣のイルカ先生を見ると「俺は何も言ってませんよ。」と首を振られる。
二人で不思議がっていると親父さんが笑って言った。
「何で分かったかって顔だね。それは子供でも大人でも、イルカ先生を見るカカシ先生の瞳の色は同じくらい優しかったからだよ。」
一楽の親父さん、テウチさん、恐るべし。
もしかして、全部バレていたのか。
テウチさんは皆まで言わなかったが、俺がイルカ先生に好意を抱いていたことを見抜いていたのかもしれない。
「先生たちは忍者だからね、何か理由があって子供になっているんだと思ったから聞かなかったけどね。」
そうだったのか。
なんだか可笑しくなって、イルカ先生と顔を見合わせて笑いあった。




ラーメンを食べ終えて一楽を出て、家までの道程を歩く。
俺は、そっとイルカ先生の手を握った。
誰もいないから、いいだろう。
イルカ先生からも握り返してくれる。
「ねえ、イルカ先生。」
「はい?」
イルカ先生の顔が俺の方を見る。
「あの、五代目のところの行く日の朝、何で抱き締めてくれたの?」
あの日、イルカ先生は何も言わずに俺を抱き締めていた。
あの時、抱き締め返さなかったのが俺の中で心残りになっている。
「それは。」
言いにくそうに目を逸らしたイルカ先生は言う。
「もう、カカシさんと一緒にいる機会はないと思ったから、最後に抱き締めたかったんです。」
淡々と自分の気持ちを語る。
「最後だから、自分の手にカカシさんの温もりや感触を覚えておきたかった・・・んです。」
「そっか。」
俺は握った手に力を込めた。
「これからは、いつでも俺を抱き締めてほしいです。俺もイルカ先生と抱き締めたい。」
「そうですね。」
安心したようにイルカ先生は微笑んだ。



手を繋ぎながら色々と二人で話した。
「子供の俺、可愛かったですか?」
「ええ、そりゃあ、もう。」
「いいなあ。」
余りにもイルカ先生が嬉しそうな顔をするので、ちぇーと俺は少し拗ねた。
「俺も子供のイルカ先生、見てみたいなあ。」
子供のイルカ先生がいたら、これでもかって可愛がって可愛がって、きっと傍から離さないだろうな。
そんなことを言うとイルカ先生が言う。
「今が一番いいですよ、大人が。カカシさんは子供と大人、どちらがいいですか?」
俺は即答した。
「大人です。」
子供にしかできないこともあるけど、大人にしかできないこともたくさんある。
好きな人を守るには大人の方がいいと思う。
病気や怪我をしたとき、好きな人が苦しんでいるのに何もできないのは辛い。


だから大人でよかった。

これからイルカ先生と二人で、いつまでも一緒に生きていこう。
好きな人といるだけで、無限の力が体にも心にも漲ってくる。

大好き、イルカ先生。

とてもとても幸せだった。




余談だが、七班の子供たちは子供の俺に会ったことを、すっかり忘れていた。
忘れていたのとは、ちょっと別か。
もう、既に過去のことになっていたんだよね。
子供の時間の過ぎ方は、大人の速さとは全然違う。
子供の俺のことは忘れてはいなかったけど、聞くまでもないってことらしい。
先生は、ちょっとだけ寂しいぞ。
でも、どう言い訳しようか困っていたから、ありがたかったけどね。




子供の俺は、もういないけど。
大人の俺がイルカ先生と一緒にいる。
それでいいんだ。
さようなら、子供になっていた俺。
そして、ありがとう。




終り






子供と大人 17








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