一番いい方法 3
「ねえ、イルカ先生。」
カカシは未だイルカの手に重ねていた己の手に力を込めた。
言葉にも力を込めた。
自分の気持ちを伝えたい、伝わるといい。
そしてイルカ自身に、自分の気持ちに気づかせたい。
さっき言ったような、悲しいことを言わせたくないから。
俺の未来にイルカ先生がいないなんて、あり得ない。
「俺はイルカ先生が好きだよ、この気持ちは変わらない。」
「カカシ先生。」
イルカは顔を上げた当惑したようにカカシを見る。
「俺の幸せはイルカ先生と共にあることだけだと思うんです。それ以外は考えられません。」
だから。
「だから、俺が一番幸せになる方法じゃなくて、俺たちが一番幸せになる方法と探そうよ。」
「俺たちが?」
イルカが目を見開き、カカシが言った言葉を繰り返した。
「うん、俺たちだよ。」
カカシはイルカに微笑んでみせる。
「イルカ先生、俺のこと好きでしょう?」
だから、ずっと俺が幸せになる方法と考えていてくれたんでしょう?
自分の気持ちを押し殺してまで、俺の幸せを考えてくれたんでしょう。
俺は、その気持ちに報いたい。
「好きだったら何でもできる。好きな人のためだったら何でもできます。」
そう告げた。
カカシは机の上にあった封筒を手に取り、自分の懐にしまった。
「この人には俺から断っておきます。」
「でも。」
「イルカ先生が好きだからって言ってね。」
カカシは不適に笑って、きっぱり言う。
イルカの眉尻が下がった。
「カカシ先生。」
カカシは両手でイルカの手を取り、祈るように包み込んだ。
答えは既に、もう分かっていたが敢えて聞いてみた。
「ね、答えを聞かせて、この前の。」
「この前の・・・。」
イルカの頬に朱がさす。
「イルカ先生が好きです。添い遂げてください。」
急激にイルカの顔は赤くなった。
「この前は、添い遂げるなんて言わなかったじゃないですか?」
「忘れてたんです。」
カカシはしらっとして、とぼけた
「ずるい。」
恨みがましくイルカは言うが、その顔は安心したように笑っていた。
それから小さい声で返事をする。
「はい。」
「良かった。」
カカシは心底嬉しそうに笑ってイルカの手を握った。
イルカからも握り返してくれる。
この手を、もう離すつもりはない。
好きであることが大切で大事で重要で。
どうにもならないんじゃなくて、どうにでもできるんだ。
好きだからってだけで。
この人となら生きていけるんだ。
強く心の中で思ったカカシだった。
余談だが、カカシが例の手紙を返しに行くと、手紙の主から意外なことを言われた。
「あなた達、やっと、くっ付いたのね。」
「え?」
手紙の主はカカシの目の前で火遁を使い手紙を焼き捨てる。
残った灰を吹き飛ばすと軽快に言った。
「あなた達って周りから見ていて相思相愛なのが丸分かりなのに、いつまで経っても仲が進展しないんだもの。」
「・・・え?」
「くっ付いてしまえば諦めて吹っ切れることもできるのに、いつまでいつまでもいつまでも!」
「はあ。」
カカシは、あっけにとられて相手を凝視してしまう。
手紙の主は拳を握って力説した。
「だから切っ掛けになればと思って、態と手紙を渡したのよ。」
でないと私も次の恋に進めないしね、とパチリとウインクをしてきた。
「ということだから、二人ともお幸せにね。」
手紙の主は爽やかにカカシの前から姿を消した。
暫く経ってからカカシは誰ともなく呟いた。
「何だ、そうだったのか。」
ふっと笑みが浮かぶ。
脳裏にイルカの顔が横切った。
「もちろん幸せになりますとも。」
これ以上ないくらいにね。
カカシは、くるりと踵を返すとイルカの待つ家に急いで歩を進めた。
終り
一番いい方法 2
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