一番いい方法 1
夕方、報告書を出したカカシは受付け所にイルカの姿がなかったのでアカデミーに寄ってみることにした。
行ってみると、アカデミーの二階にある職員室の一部に明かりが点いているのが見えた。
イルカがまだ残っているのかもしれない、とカカシの気持ちは浮き足立つ。
会えるかもしれない。
カカシはアカデミーの職員室に急いだ。
職員室へ行ってみるとイルカが一人で、ぽつんと自分の席に座っていた。
明かりはイルカが座っている席に上にだけ点いていたのだ。
イルカは何かの書類を手にしながら、どこかぼんやりとしている。
心此処に在らずといった風で、カカシが来たことにも気づいていない。
カカシは少し躊躇ってから声を掛けた。
「イルカ先生。」
書類を持っていたイルカの手が、びくりと震えて書類が机の上に落ちた。
「カカシ先生。」
イルカはカカシを見て一旦は笑みを浮かべたものの、それは直ぐに掻き消えた。
「どうして、ここに?」
力なく聞いてくる。
「イルカ先生に会いたかったから。」
カカシは素直に言ってイルカに近寄った。
「イルカ先生が受付けにいなかったから。アカデミーにいるかもしれないと思って寄ってみたんです。そしたら明かりが見えて。」
イルカの横の机にあった椅子を引き寄せて、カカシは勝手に腰掛けた。
「だから、ここまで来てみたんです。」
「そうですか。」
イルカは言葉少なに浮かない顔をしている。
カカシの顔を見てくれなかった。
イルカの浮かない理由について思い当たることがあったのだが、カカシは気づかない振りをして努めて明るい口調で言った。
「イルカ先生。夕飯、まだなら、これから行きませんか?」
イルカは黙って首を横に振る。
二人の間に沈黙が落ちた。
先に沈黙を破ったのはカカシだった。
カカシは、ごくりと唾を飲み込み慎重に言葉を選んだ。
「この前のこと、考えてくれましたか?」
穏やかな雰囲気を保ちながら、落ち着いて聞いてみた。
机の上にあったイルカの手が、ぎゅっと握り締められる。
その手の上へ静かに自分の手を重ねて、包み込みようにしながらカカシは問いかけた。
「あなたに好きだと言った、その答えが聞きたいんです。」
少し前にカカシはイルカに自分の気持ちを打ち明けていた。
その上で、自分とのことを考えてほしいと言っていたのだ。
「俺は・・・。」
イルカは言いかけた言葉を飲み込んだ。
カカシは辛抱強く次の言葉を待つ。
無理強いは本意ではない。
イルカは唇を強く噛みしめた後カカシの手が重なっていない、もう片方の手で自分の机の上にあった一通の手紙をカカシに差し出した。
淡い色の封筒の手紙はカカシも気になっていた。
イルカに似つかわしくない、どちらかというと女性が使うような色合いだったからである。
どうして、こんなものがと不思議に思っていたのだ。
嫌な予感がしたがカカシは聞いてみた。
「この手紙は?」
もしかしてイルカからか、と薄い期待を抱いてみる。
「これは・・・。」
イルカのか細い声がした。
「同僚の女性から預かりました。カカシ先生に渡してほしい、と。」
一番いい方法 2
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