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犬の領分 1



イルカは、たくさんの書類を抱えて火影の部屋をノックした。
「火影様、書類をお持ちしました。」
返事がないので、もう一度ノックする。
部屋はシンと静まり返っていたが、中から何者かの気配が微かにした。
書類を抱えながらだが、イルカは万一に備えて緊張しながらドアを開いた。
そこには。
大きな黒い動物が一匹。
あろうことか、火影の机の上にどっかりと座って、長い尻尾を燻らせている。
動物の青い瞳がイルカを射た。
入ってきたイルカを鋭く見て、ぐるると威嚇の声を出してくる。
「もしかして豹?それともブラックタイガーとか?」
書類を手近な机に置くと、イルカは恐る恐る動物に近づいた。
本来、動物が好きな性質なので、触ってみたくなるのだ。
「よーしよし。いい子だな〜。怖くないぞ〜。」
近寄って、そーっと動物の頭に手を伸ばす。
「いい子いい子。」
動物はイルカを凝視している。
耳がピクピクと動いて、イルカの動向を探っているようだ。
「よし!」
イルカの手が、動物の頭に到達した。
短い毛が生えた頭をゆっくりと撫でた。
毛はサラサラとしていて触り心地が良い。
「可愛いな〜。」
動物の頭を撫でると、自然にイルカの頭に笑みが浮かんだ。
頭を撫でるだけでは飽き足らず、イルカは動物にお伺いを立ててみる。
「あのさ。ぎゅーっとしてみてもいい?」
言葉が分かったのか、動物は少し頭を傾げてから小さく頷いたように見えた。
「やった!」
もはやイルカは本来の目的を忘れて、動物の体を全身で抱きしめた。
「わああ。あったかい、柔らかい。毛がすべすべだ〜。」
大はしゃぎしている。
動物は動かずに、イルカの自由にさせていた。
「可愛いな、うちにもいたらなぁ。」
動物の体に頬を寄せて、毛の感触にうっとりしている。
突然。
今まで、大人しかった動物が唸り声を上げてイルカに飛び掛ってきた。
急なことでイルカに成すすべなく、頭から床に倒される。
辛うじて、受身は取れたが。
倒れたイルカの上に、動物が悠々と乗っかってくる。
くんくんと体の匂いを嗅ぎ、ぺろり、とイルカの顔を舐めた。






その時。
「はー、疲れたねえ。」
火影室の扉ががちゃりと開き、誰かが戻ってきたようだ。
「お疲れ様です。綱手さま。」
どうやら、この部屋の持ち主の五代目火影と付き人のシズネらしい。
「こんな疲れたのに、厄介ごとがまだ、あるんだよねえ。」
「ああ、そうでしたね。」
声の感じでシズネが苦笑しているのが分かる。
「そうだよ。全くねえ。」
五代目がやれやれと言った感じで、ある名を呼んだ。
「カカシ!」
イルカの上に乗っていた動物が「わん。」と鳴いて返事をした。






「犬だったんですか?」
五代目の説明を受けて、イルカは目を丸くする。
「あんまり大きいから豹か何かかと。」
カカシを呼ばれた大きな黒い犬は、イルカの足元に座り込んでいる。
ちょっと不貞腐れているようだ。
時々、五代目を睨んでいる。
そんな犬を五代目は睨み返して黙らせていた。
「それに、名前が畑上忍と一緒なんですね。」
「えっ?」
「ええ?」
イルカの発言に五代目とシズネが声を上げた。
「強い子に育つように、畑上忍の名を頂いて付けられたんですか?」
「ま、まあ、そうかもね・・・。」
五代目は歯切れ悪くなり、シズネは視線を逸らす。
犬も、ついでに目を逸らした。
「そうか〜。」
なのにイルカは、しゃがんで犬と同じ目線になると頭を撫でた。
「良かったな。強い忍びの名を貰って。強くなれよ。」



「あー。ごほん。」
五代目がワザとらしく咳払いをした。
「じゃ、じゃあ、まあ。イルカ、用が済んだのなら・・・。」
わん、と五代目の言葉を遮るように犬が一声鳴いた。
「ん?なんだい、カカシ?」
五代目が犬を見ると、もう一度「わん。」と鳴く。
「ええ〜。でも、ねえ。」
困ったように五代目がイルカをチラと見る。
「わん、わん。」
犬が焦れたように鳴いた。
「ああ?」
「わわん。」
「えっ?本当かい?」
「わん。」
「もう一声!」
「わんわんわん。」
「よし!」
犬と五代目が不思議な会話をしている。
イルカは「五代目って、動物と話せるんですねえ。」と感心していたが、如何せん、会話の内容に予想がついたシズネは。
「さ、さあ。どうでしょうかねぇ。」
罪悪感で胸が一杯になった。
「イルカ!」
「はい、なんでしょうか?」
五代目が妙にきりりとして、イルカを見た。
「このカカシを預かって面倒見てくれないかい?」
「私がですか?」
「ほら、明日から三連休だろう?連休中だけで、いいからさ。」
「はあ。」
「実は、このカカシは忍犬でね。主は今、任務で里を空けていて連休明けににしか帰ってこないのさ。その間、私に預けていったんだが。」
犬を見ると尻尾をブンブン振って、期待するようにイルカを見ている。
「私は連休中、急用が入ってしまってね。頼まれてくれてないかい?」
五代目は熱心だ。
「言葉も分かるし、躾も出来ている。前に、イルカの家は一軒家で庭もあると言っていただろう?」
「はあ、古い家の小さい庭ですが。」
「頼むよ、助けると思ってさ。」
「でも、私は忍犬の世話などは・・・。」
「そんなの、外で一緒に遊んでやるだけでいいよ。」
あとは適当にご飯食べさせてさ、と軽い調子で五代目は言って「頼む。」と手を合わせた。
五代目に手を合わされると、イルカには断る術はない。
「私でお役に立つのでしたら、喜んで。」
イルカが了承すると「やった!」「わわん!」と喜びの声が五代目と犬から出た。






犬のカカシが、イルカと連れ立って火影の執務室を出ると、シズネは溜め息をついた。
「いいんですか?あんなことして。」
「いいじゃないか。」
五代目は椅子の上で、にこにことしている。
「でも。あの犬、畑上忍が敵の術にかかって変化したものではないですか。変化がいつ解けるか分からないのに。」
心配そうなシズネ。
「大丈夫さ。解けたら、その時はその時だよ。」
カカシと取引をして、大金を手に入れた五代目はご満悦だ。
「自分から言い出したんだし。カカシも忍びだし、どうにかするさ〜。」
五代目は、ははは、と笑い飛ばした。



犬の領分 2



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