AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


拾う神 1



俺は朝から浮かれていた
うきうきうきうき、そわそわそわそわと落ち着かず
にこにこにこにこと笑みを絶やさず上機嫌
今日は一日ずーっと、そんな気分だった
だって今日は給料日だったから!

給料日が来て俺は心底、ほっとしていた
だって家に何もなかったんだ
これで食べるもん買えるし、ビールも買えるし
家賃も光熱費も払えるしで
いいことづくめだ

先月は色々と物入りで生活費がぎりぎりだったからなあ
金がないのは辛い
買いたい物があるのに買えないのは辛い
お金がないと懐ばかりか気持ちまで侘しくなるもんだ・・・
ちょっとだけセンチメンタルな気持ちになっていたが
でも!
もう大丈夫!
俺は経理から受け取った給料袋を服の上から押さえる
給料袋は落とさぬようにベストの内ポケットに入れてあった
ああ、お金がある〜
それって素晴らしい!

仕事が終わって俺は浮かれた気分のまま家路に着いた
もう冬と言わんばかりに北風が、びゅうびゅうと吹いていたが、そんなの関係ない
懐があったかいなら冬も北風も関係ない
気温は低く寒かったけど給料日だけは、そんなのへっちゃらさ
帰りの途中に食料品を売っている店に寄って米買って肉買って、野菜もちょっぴり買って酒も買う
そんでもって家に帰って風呂に入って、ゆっくりと酒を飲むのだ
自分の計画に、わくわくする
あー、毎日が給料日だったらいいのになあ

北風が吹く中、てくてく歩いて行くといつも買物に寄る店が見えてきた
店の灯りが俺を呼んでいる!
あー、あそこに俺の求める物が全部あるんだ〜
あれも買ってこれも買ってと考えると楽しくなる
店の灯りがやけに眩しく見えた
もう少しで店に着く
ああ給料で何を買おう〜
何でも買えるぞ!と思った俺は給料袋を入れたベストの内ポケットを上から触ってみた
大事なお金だ

だが、しかし
・・・・・・ん?
感触が変だった
もう一度、ベストの内ポケットを上から触ってみる
・・・・・・・・・あ、れ
ものすごく悪い予感がした俺は、ばっベストを脱いで内ポケットの中を直に触ってみた
内ポケットの中を、これでもかと探ってみる
隅々まで探って、仕舞いにはポケットの生地まで引っ張り出してみたのだけれど・・・
給料が・・・
なかった・・・

・・・ががーん
頭の中が真っ白になって目の前が真っ暗になる
なんで、ないんだ・・・
俺の給料袋と中味、どこいったんだよ
特に中味がないと生活できないじゃんか・・・
中味って、つまり金だ
金がない
一両も金がない
これってこれってこれって・・・
呆然とする俺を北風が無情にも、ひゅるり〜と吹き抜けていった

給料が、金がないって分かった瞬間から一気に俺の心は冷え込んだ
心も冷え込めば体も冷え込む
さっきまで、あったかいと思っていたのに急に寒くなってきた
凍えてしまいそうだった
凍えて凍って凍死しそうな勢いだった
だって金がなくて、どうやって生活すればいいんだろう
今月の給料、ものすっごく当てにしていたのに
ああ・・・
とりあえず来月になれば、また給料日は来るから今月を乗り切ればどうにかなる
どうにかなるって、どうにかなるのか?
もう年末だぞ?年越しできるのか?
自問自答して自分を追い詰めてしまった
俺、貯金もあんまりないし・・・
悲しい現実だ

呆然と立ち尽くす俺の前に北風が何かを運んできた
ぱさっと目の前に転がってきたのは何かの雑誌
俺の目の前で雑誌のページが風で、ぱらぱらと捲れている
引かれるように落ちていた雑誌に手を伸ばし拾ってみると、それは求職情報誌だった
求職、つまりアルバイトだ
アルバイトか・・・
俺は暗がりで、その雑誌を思わず読んでしまった
お金がなくなった直後だったし、せめて三食、食わしてもらえるところはないかなと思ってしまったのだ
条件がいいならアカデミーに内緒でしてしまおうかと思ったほどだ
つい熱心に見てしまっていた

「ねえ」
道端で求職情報誌を見ていた俺に誰かが声をかけてきた
「はい」
「そんなの見ちゃって転職でもするんですか?」
「違います、金がなくて」
「お金がないの?イルカ先生」
呼ばれた自分の名前に驚いて顔を上げると、そこには・・・
カカシ先生が立っていた




拾う神 2

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