黄金律1
流血表現注意
「カカシさん、あなたの体と魂、貰い受けますよ。」
イルカが何もない空間から、細く長く黒い剣を出現させた。
印も結ばずチャクラも使わず、不可思議な力に寄って行ったものだ。
その剣をカカシに翳す。
「人間であるカカシさんには分からないかもしれませんが、あなたは類稀なる体の持ち主。一万年に一度、現れるかどうかという稀有なる魂の存在。」
黒い瞳がカカシを鋭く射る。
「あなたは『黄金律』なのですよ。」
「おうごんりつ・・・・・・。」
繰り返したカカシの言葉にイルカは頷いた。
「そう。黄金律の血や肉は永遠の命を約束し、至高の輝きを放つ黄金律の魂を得た者の望みは総て叶うと言い伝えられています。悪魔も天使も、最も欲するものなのです。」
「イルカさん、天使なの?」
「まさか・・・。そんな上等なもんじゃありません。」
カカシの質問にイルカは薄く笑った。
「俺はね、悪魔です。下級の。魔界にいる十三億何万何千という悪魔の中で最下位を争うほどの力のない悪魔なんです。」
要するに下っ端なんですよ、とイルカは遠い目をして呟く。
ひらり、と今一度、イルカは剣を構え直した。
「黄金律は我が主、魔王が特に欲っしているものです。私は、それを手に入れたい。」
「手に入れて、どうするの?」
「我が主に捧げるのです。」
カカシさん、とイルカは決意に満ちた表情でカカシを見る。
その目には何の感情もない。
「あなたの命は、ここで終わりです。」
カカシは少しの間、イルカのことを不思議そうに見ていたが、やがて優しく微笑んだ。
「いいですよ。イルカさんが、そう望むのなら。」
ふっとカカシは息を吐いた。
「こんな人気のない場所に呼び出すから。俺は、てっきり愛の告白かと思っていたんですがね。」
こんな場所とは里の外れの森の中だった。
「それとも、最近、イルカさんが思い悩んでいるようだったから相談事かもと思ったけど。」
俺を見て、悩ましげに溜め息ついていたから、とカカシは少し茶化すように言う。
「イルカ先生からイルカさんと呼べるような仲に発展して、イルカさんも俺をカカシさんって呼んでくれるようになったのに。」
ちょっと残念、と肩を竦めた。
「でも、なんだか話が複雑で俺の力の及ばない領域のようだから・・・。」
カカシは落ち着いており穏やかな顔をしていた。
「あなたの役に立つのなら俺の命くらいあげましょう。」
どこか楽しげな様子で言葉を綴る。
「あなたのことが好きだから、イルカさんが悪魔でも構わない。」
イルカの持つ剣が揺れる。
黒い瞳も揺れた。
「俺の最後があなたの手で終わると言うのなら本望です。」
カカシは、そっと目を閉じた。
「さようなら、イルカさん。今までありがとう。」
暫く後。
ざくり、と肉が切り裂かれる音がした。
黄金律2
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