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超直感 後編



アカデミーの玄関から出て来たイルカ先生は少し疲れているようだった。
イルカ先生は生真面目すぎるところがあると子供たちが会話の中で言っていたので、きっと一生懸命に仕事をしているのだろう。
俺の姿を見るとイルカ先生は立ち止まった。
ぎょっとしている。
何を、そんなに驚くことがあるのかな。
俺を見たイルカ先生は言った。
「カ、カカシ先生!」
カカシ先生・・・。
そう呼ばれるとすごく新鮮だった。
響きも心地よい。
だけどイルカ先生は、すぐに言い直してしまった。
「は、はたけ上忍!」
残念、カカシ先生がよかったのに。
まあ、カカシ先生って呼んでくださいってお願いすればいいか。
イルカ先生にカカシ先生って呼ばれたら嬉しいなあ。
思わず顔が綻んだ。
そんな俺を見て、はっとしたようにイルカ先生が目を瞬かせて、それから微笑んだ。
優しい顔だった。



その優しい笑顔に引き寄せられるように俺は近づいて俺もイルカ先生の名前を呼んでみた。
「イルカ先生を」って。
イルカ先生は再び、驚いたように俺を見る。
俺がイルカ先生の名前を知っていたのが意外だったみたい。
なんでだろ?
あ、そういえばイルカ先生って言ったの初めてだった。
どさくさに紛れてお願いもしてみた。
俺のことをカカシ先生って呼んでほしいって。
あ、もちろん、イルカ先生のこともイルカ先生って呼んでいいかと訊いてみた。
どちらも了承を得られた。
よかった、と思った俺を同じ気持ちだったのかイルカ先生も、にこにことしている。
いい雰囲気が漂っていることに便乗して俺は自然にイルカ先生の手を取った。
ぎゅっと握ってみる。
大きくて何でも包み込んでしまうような手だった。
手を握ってもイルカ先生は嫌がらない。
イルカ先生は俺に気を許してくれたのだろう。
その証拠に手を引いて歩き出してもついてくる。
楽しくなった俺だったが小お互いの家への別れ道で手を離すのが、とても辛かった。
イルカ先生に自宅まで送りましょうかという提案は何故か却下されるし。
ずっと握っていたい手だったのに、イルカ先生の手は。
あーあ、一緒に住めたらいいのになあ。
溜め息を吐きながら俺は一人寂しく自宅へと帰ったのであった。



その次の日。
内々の任務を言い渡されて数日、里を留守にした。
イルカ先生に会えないのは辛い。
里に帰ったら真っ先にイルカ先生に会いたいなあ。
二回しかイルカ先生を触っていない俺だったが、すっかりイルカ先生の虜なっていたようだった。
考えてみれば愛の告白なんてされたの初めてだしなあ。
愛の告白っていうか、直感で俺のことが好きだと思っただけなんだけど。
でも俺の直感は外れたことがない。
イルカ先生は俺のことが好きだよな、うん。
俺もイルカ先生が好きだと思うし、この気持ちを伝えてみたい。
なあんてことを俺は任務中に考えては活力にしていたのだった。



任務を終えて里に帰ると同僚のアスマに飯を誘われた。
顔見知りの何人かで適当に食べるらしい。
飯を食べるだけならと俺も参加することにした。
そこへイルカ先生が現れた。
やった!と俺は内心、大喜びだった。
任務を頑張った甲斐があったと。
神様ありがとうと本心から思った。
ちょうど俺の隣が空いていたのでイルカ先生は迷うことなく俺の隣に来てくれた。
「こんばんは」と挨拶を交わす。
この前、会ってからものすごく時間が過ぎたような気がしたので俺は「久しぶりですね」と言ってしまった。
実際は数日なんだけどイルカ先生に関しては時間が長く感じる。
不思議だなあ。
イルカ先生は飯をよく食べた。
気持ちいいくらいに食べて嬉しそうにしている。
美味い物を食べると顔に出るようねえ。
俺もイルカ先生に美味いものをたらふく食べさせてみたい、そしたらどんな顔をするだろうか。
可愛いなあと思ってイルカ先生を見ているとイルカ先生が、ちらと俺を見てきた。
微笑み返すと照れたのか視線を逸らしてしまう。
その度に頭で揺れる尻尾が愛らしい。
とっくに飯を食べ終えていた俺の手はイルカ先生の尻尾へを伸びていき、尻尾の先を指にくるくると巻きつけて遊んでしまった。
楽しい!
「可愛いよねえ、この尻尾」
うっとりとしていると同僚のアスマから止めるように言われてしまった。
他に人もいたので大人しく従ってみる。



でも大人しくはしていられなくて今度はイルカ先生の耳に手を伸ばしてしまった。
イルカ先生は、きっちりと髪を纏めているので両耳は髪に隠されることなく晒されている。
形のいい耳だなあと思ったときには、もう触っていた。
耳の形に沿って指でなぞってみる。
行き着いた耳たぶは触り心地がいい。
触っている俺を見てイルカ先生は、しょうがないなあと顔をしていた。
呆れたようではなくて、どっちかっていうと許容してくれたみたいで。
俺に触ってもいいですよ、と目で言っていた。
そっか・・・。
イルカ先生は俺を受け入れてくれたのだと悟ったのだった。



それからの俺はイルカ先生に対して積極的だった。
積極的に積極的だった。
暇さえあればイルカ先生と一緒にいた。
と言っても任務とかがなければの話だけど。
朝は受付所で会って夕方も受付所で会って、帰りは一緒に帰って飯も一緒に食べて。
イルカ先生も俺に慣れてきたようで砕けた感じで話しかけてくれるようになった。
笑い顔もしょっちゅう見せてくれた。
家にも招いてくれて親しくしてくれる。
もちろん、俺も自宅にイルカ先生を招いた。
二人きりなれば人目も憚らず、思う存分イルカ先生に触れることができる。
最高だった。
最初は意外そうに、次に照れたようにイルカ先生は笑う。
手や尻尾、耳だけじゃなくて体全体で抱きついてもイルカ先生は嫌がらない。
照れはあるみたいだったけど抱きついて、抱きしめると嬉しそうな顔になるんだ。
とっても幸せ〜みたいな。
好きな人を抱きしめると俺も幸せだったし。
ある日、びっくりしたのはイルカ先生からも俺のことを抱きしめてくれたことだった。
そろそろと手を伸ばしてきたイルカ先生は大事なものを壊さないような感じで俺に触れて、それから背に腕を回して抱きしめてくれた。
そのときの俺の心臓っていったら。
もう、すごい勢いでばくばくしてどきどきして大変だった。
好きな人に抱きしめれるって本当、嬉しくて幸せなことなんだって心底から思った。
俺に抱きしめられたイルカ先生の顔も納得がいく。
俺も同じ顔をしているに違いないから。



でもさあ。
イルカ先生は、ここまできても割り切れいないみたいでね、時々、悩んでいるんだよね。
俺の知らないところで考えに耽っているだけど、そんなの俺はお見通しで。
まあ、イルカ先生の悩みを取り除こうとして、これが『恋』であることと指が触れたという切っ掛けを話したらイルカ先生は、とってもびっくりしていた。
「恋って何ですか!」って今更、言われてもねえ。
恋としか言いようがないし。
体の敏感な箇所を警戒することもなく俺に触らせてくれるなんて俺に心を許してくれているからでしょ。
犬だって飼い主に懐いてくれれば敏感な部分を触らせてくれる。
イルカ先生の傍に座って指を絡めてもイルカ先生は嫌がらないし。
むしろ絡めたことで頬を染めているイルカ先生は嬉しそうにしか見えない。
・・・恋する男の欲目かもしれないが。
イルカ先生が愛しくて腕の中に閉じ込める。
閉じ込めたら、こっちのものだ。
にこりと笑ってイルカ先生を魅了してみた。
イルカ先生は俺の『にこり』とした顔が好きみたいだから。
じっとイルカ先生に見つめられて。
その顔に惹きつけられるように俺はイルカ先生の唇に唇を重ねる。
キスしたイルカ先生の唇は、とっても甘く感じた。
これが恋の味のなのかもしれない。
最後にイルカ先生に囁いた。
「イルカ先生、大好きです」ってね。



超直感 前編



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