AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


あなたへの言葉1



若いカカシは十代の頃、任務に明け暮れていた。
今日も任務が終わっての帰り道だ。
だが、割と急いでいたので木の葉の里へ近道から帰ることにした。
近道といってもトラップ満載の、かなり危険な道程で、よほどのことがない上忍でも滅多に通らない不便な近道である。
しかしカカシにとっては便利なので重宝して、時々通っていた。
「この道、早いんだよね〜。」
時折、飛んでくるトラップを楽々避けて通るカカシは、ふと足を止めた。
遠くの地面に何かが見えたのである。
目を凝らして見ると人の形をしていた。
「もしかして、人間?」
こんなところを通るなんて奇特な人だ、とカカシは自分のことは、さておいて、そんなことを考えた。
しかし、じっと見ていても、その人の形は倒れたまま動かない。
「もしかして、死んでいるのかな?」
物騒なことを呟きながら、近づくとどうやら木の葉の忍らしかった。
額宛には木の葉のマークがある。
見たところ、カカシと同じ十代くらいの少年のようだった。
顔には横一文字の傷が薄っすらとある。
体つきはカカシよりは小さく、年下に思えた。



その忍は目を閉じて、小さい体で、はあはあと浅く息を漏らしていた。
死んでいるわけではないが、辛そうな状態である。
「あー、これは痛いな。」
忍の右足には、戦闘でできたと思しき傷があった。
かなり深い。
敵との戦闘で傷付いて、この近道に逃げ込んでは来たが動けなくなってしまったのかもしれない。
「大丈夫?」
とりあえず、カカシは声を掛けてみた。
「おーい、聞こえる?」
肩に触って軽くゆすると、その少年の忍は薄く目を開けた。
黒い瞳がカカシを捉える。
「・・・・・・誰?」
「誰って言われても、木の葉の忍?」
「なんで、語尾が疑問符なんだ。」
変なところに突っ込まれた。
見た目より元気なのかもしれない。
「ま、いーか。」
カカシは気にせずに手持ちの水を怪我をしている忍の口元にあてがった。
「水だよ、少しだけでも飲んで。」



少年の忍は素直に水を口に含んだ。
こくり、と飲んだのだが飲み干せなかった水が、つ、と口元から一滴流れ落ちた。
気を失ってしまったらしい。
同じ里の忍に会って、安心して、力が尽きてしまったのかもしれない。
「あーあ。」
カカシは口元の水を拭ってやると怪我した足に応急措置を施して、少年の忍の体を軽々と背負った。
「ま、里まで保つでしょ。」
少年の忍の体は弱っているようだが、鍛えられた忍の体は柔ではないはずだ。
なるべく揺らさないように、それでも早い足取りでカカシは里へと急いだ。

里へ到着したカカシは病院へ直行して、怪我した少年の忍を預けた。
「んじゃ、俺は次の任務があるから、適当によろしく言っておいてよ。」
カカシは、それだけ言い残した。
自分が名乗ることも相手の名前を知ることも、特に気にはしなかった。
縁があれば、また会えると思ったからだ。




その一年後、カカシは、その少年の忍と再会した。
同じ場所で倒れていたのだ。
どうやら縁があったらしい。
「何やってんの?」
カカシは呆れた声を出した。
「今度はどうしたの?」
少年の忍は去年会った時よりも少し体つきが逞しくなっていた。
背も伸びたようだ。
「な、なにって・・・。」
少年の忍は息を、ぜいぜいと息を切らせながら苦しそうにしている。
ごほごほと、咳き込むと少量の血を吐いた。
「毒だね。」
即座にカカシは判断して、その忍を検分する。
少年の忍の顔は血の気を失って手足は微かに震え、唇も戦慄いていた。
目は光りはあるものの、焦点があっていない。
なにより独特の匂いがした。
カカシは吐いた血に触れぬように匂いを嗅ぐ。
覚えがある匂いだ。
毒は毒でも特殊な毒薬で、解毒剤をもっている忍も少ないであろう毒薬だった。
しかしカカシは上忍であったし、その解毒剤を今、現在所持していた。
早く解毒剤を飲まなければ副作用が起こるほどの毒薬だ。
処置が遅ければ死にも至る。
カカシは、早速飲ませようと、持っていた解毒剤と懐から取り出した。
だが解毒剤は液体で、目の前の瀕死の忍が飲めるかは怪しい。



「ま、いーか。」
カカシは解毒剤を口移しで飲ませることにした。
このままでは確実に目の前の少年の忍は死んでしまう。
「俺、解毒剤持っているから飲ませるよ。」
一応、そう言って、倒れている忍の頭を抱え、自分の口に液体を含もうとしたところで何かが聞こえた。
「ま、待って。」
咳き込みながらも、少年の忍は確認してきた。
「まさか・・・口移し・・・?」
「うん、そう。」
カカシは軽く答えた。
非常時には同性同士でも仕方ないかもしれない。
といっても、今まで同性に口移しで解毒剤を飲ませたことなどなかったが、なぜだか、この少年の忍にはしてやろうという気になったのだ。
「・・・やだ。」
「・・・え?」
一瞬、何を言っているのかと驚いたカカシが眉を潜めた。
「解毒剤飲まないと死んじゃうよ。」
「・・・だって。」
少年の忍の顔は歪んだ。
「・・・だって、俺、ファーストキス、まだだし。」
弱弱しい声で主張してきた。
「ファーストキス・・・・・・。」
今時の若者はどうなんだ?と自分も若者の部類に入るカカシは、ちょっと呆気に取られた。
「あのねえ。」
死にそうな少年に説教してしまう。
「今、死にそうなんだよ、解毒剤とファーストキスと、どっちが大事なの?」
「ファー・・・。」
ファーストキスと言い切られる前にカカシは独断で解毒剤を飲ませた。



その名も知れない少年の忍のファーストキスとやらはカカシに奪われたのだった。




あなたへの言葉 2





text top
top