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我が家6




カカシはイルカに悟られないように、それとなく帰りのルートを誘導しながらラブレターを回収することにした。
どうか、ちゃんとありますように。
真剣にカカシは願った。
誰にも読まれていませんように。
心の底から思った。



帰りは土砂崩れの道を回避したので順調に里への道を進んでいる。
イルカを連れて、明日には里に着きそうだった。
そうだ、明日は待ち望んだ、あの日だ。
カカシは色めきたつ。
イルカ先生の誕生日、里で迎えることができそうだ。
ラブレターが、まだ見つかっていないのにカカシの心は浮かれてしまう。
来る時は、どこで休んだっけ、えーと。
一度目の休憩をイルカと取り、少しの間、カカシは思い出そうと木に寄りかかり目を閉じた。
この辺だったんだけどなあ、似たような木がたくさんあって、よく分からん。
ちょうど、その時イルカが「あっ!」と小さく叫んだ。



「イルカ先生、どうしたの?」
「ええ、あの、木の洞に手紙があって。」
手紙!
はっとなってカカシがイルカを見ると、あのラブレターを手にしていた。
カカシが目を閉じて寄りかかっていた気が、探していた木だったのだ。
イルカは困惑した顔で手紙を見ていた。
「宛名は俺なんですが、どうして、こんなところに?」
しまった、とカカシは今更ながらに気がついた。
見付かったのは良かったが、手紙の裏に、肝心の自分の名前を書いていない。
ひっくり返して、手紙の裏表を何回か見た後、イルカは断言した。



「この手紙を書いた人。」
にこっと笑った。
「カカシさんですね。」
「えっ、俺・・・ですけど。」
確かに自分が書いたが、当てられるとは思っていなかった。
「だって、この字はカカシさんの字でしょう。」
イルカは手紙の字を指でなぞる。
「カカシさんの字なら俺、解りますよ。」
「そ、そう?」
言い当てられて、カカシは照れくさそう言い訳をする。



「あの、それね。誕生日に贈ろうと思って書いたんですよ。だってイルカ先生、欲しいものないって言うから。でも、俺、自分の誕生日イルカ先生に祝ってもらって、すごく嬉しかったから、イルカ先生にも喜んでもらいたくて、その嬉しい気持ちを贈りたくて。」
しどろもどろなカカシの言い分を聞いてイルカは手紙を胸に抱きしめた。
「嬉しいです。」
カカシの顔を見上げて、しきりに瞬く。
「俺、もう本当に欲しいものなんてないんです。」
告白するかのようなイルカの声が森に響く。
「二年前の俺の誕生日にカカシさん意識不明だったでしょう。」
「そういえば・・・。」
「その時、俺、心配で心配で食事も喉を通りませんでした。」
イルカの告白にカカシは胸が痛くなる。
「だから、俺。・・・・馬鹿馬鹿しいとも思うかもしれませんが、神様に何回もお願いしたんです。」
何をお願いしたのだろう、イルカは。



「カカシさんを俺の元に戻してくれたら、これから先の誕生日、一切何も要らない。ただカカシさんが二人の家、我が家に帰ってくる、普通の日常を送れたら俺はそれだけでいいって。」



「そうだったんだ。」
「そしてカカシさんの意識は目覚めて、俺のところに帰ってきてくれた。それだけで満足です。」
イルカは晴れ晴れとして顔をしていた。
「本当は言うつもりはなかったんですけど。ごめんなさい、カカシさんが余りにも嬉しいことをしてくれて、それで。」
悪いことをした、という風にイルカは視線を逸らす。
「イルカ先生。」
カカシはイルカの名を呼び、自分の胸にイルカを、ひしと、かき抱いた。
「ありがとう。・・・ありがとう。ごめんなさいなんて言わないで。」
「でも。」
「俺の方こそ、すごく嬉しい。イルカ先生の誕生日なのに、俺、一生分の幸せを貰ったみたい。」
「大げさですよ。」
「そんなことない。」
構わずカカシはイルカの体を自分の方に寄せた。
くっ付けるだけくっ付いて、イルカの体に触れていたい。
イルカが愛しい。



「イルカ先生、大好き。好きすぎて、どうしたらいいか分からないくらい好きです。」
「俺だって同じです。カカシさんが好きなんです。」
イルカは完全に照れていてが、それだけは言った。
しかし、それだけ言うとカカシから無理やり体を離す。
「さあ、里に帰りましょう。」
「そうだね、我が家にね。」
「はい。」



それから二人は里に向けて走り出した。
里に着いたのは、イルカの誕生日でカカシとイルカは、無事に我が家に辿り着く。
そしてカカシの望みは叶った。
二人の家でイルカの誕生日を祝えたのだ。


カカシは心からイルカに言った。
「誕生日、おめでとう。」


余談だがイルカの誕生日プレゼントはカカシからの手紙だけでいい、とイルカは言い、カカシは必ず帰ってくることをイルカに約束した。
イルカの待つ家、二人の我が家に。


終わり




我が家 5







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