AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


我が家1




カカシは五月に入ってからというもの、来るべき日に備えて胸を高鳴らせていた。
もうすぐ五月二十六日だ。
二十六日まで、今日を含めて一週間。
その日は海野イルカの誕生日だったのである。



海野イルカは、カカシの大好きで大好きで、どうしようもなく大好きな人であった。
積年の想いが実を結び、長い道のりを経て、一生を共にする相手として一緒にいる仲になった。
つまり、簡単に言うと恋仲である。
相手は同性であったが好きになれば、そんなもの、カカシには全く関係なかった。



今年こそは里で、二人の家でイルカの誕生日をお祝いしたい、それがカカシの細やかな願いであった。
なにしろ、イルカ先生の去年の誕生日は俺が怪我で入院していて誕生日当日は意識不明になっていて、一昨年の誕生日は任務に忙殺されていて、あろうことか忘れていたんだよな。
思い出したのは、六月に入ってからだっけ。
勿論、後から思い出して、忘れていたことを謝ったし、プレゼントも贈った。
イルカ先生は「気にしなくていいのに。」と言って、プレゼントを見て嬉しそうに笑っていたけど。
カカシは思い出して、ため息をつく。

なのに、イルカ先生は一言も責めるようなこと言わないし、おまけにだ。
どんより、とカカシの気持ちは沈む。
イルカ先生は自分の誕生日は、おざなりにされているのに俺の誕生日は、ちゃんと忘れないで祝ってくれたんだよな、去年も一昨年も、とカカシは申し訳ない気持ちになってきた。
だいたい恋人なのに、誕生日を祝ってないって問題じゃないか?
カカシは、そう思い決心した。
今年のイルカ先生の誕生日は、忘れずに絶対に祝ってみせる!
闘志を、めらめらと燃やしていた。




夕方、家に帰るとイルカが既に帰宅していて夕飯の準備をしてくれていた。
「あ、お帰りなさい、カカシさん。」
いそいそと、出迎えてくれる。
「ただいま〜。」
カカシは会えたことの嬉しさから、両手を広げてイルカを抱きしめた。
「ああ〜、幸せ〜。イルカ先生を抱きしめると家に帰ってきた気がするよ。」
「そうですか。」
嬉しそうな顔になってイルカは頬を寄せてくる。
「俺はカカシさんが毎日、無事に家に帰ってきてくれることが一番嬉しいです。」
「うん。」
一頻り、抱きしめ合うとイルカは名残惜しそうにカカシから体を離した。
「ご飯、できていますよ。先に食べますか、それとも体を洗い流します?」
「そうですね。ご飯が先がいいかな。」
カカシが手を洗いに洗面所に行こうとしたとき、イルカが何気なく言った。



「あ、カカシさん。俺、明日から任務で里にいませんから。」
「えっ?任務なの。」
「はい。一週間くらいの予定です。」 一週間ということは、イルカの誕生日までにイルカが里に帰ってくるか危うい。
カカシが先ほど、決心したことは初っ端から、がらがらと崩れ落ちていった。
「あの・・・。」
駄目元で言ってみる。
「その任務、断るのは無理ですか?」
「それは無理かと。」
イルカは不思議そうな顔をした。

「どうしたんですか、カカシさん?火影様から直々に賜った任務なので断ることはできません。本当は内緒なんですけど、任務は、ある場所の地形の地図を作成する任務で、その任務先のある場所ってのが俺が以前行ったことがあり、ある程度知っているので、任務に行く小隊に同行して案内してほしいと言われたのです。」
「そうなんだ・・・。」
断ることも引き止めることも無理そうだった。
「予定は一週間ですが延びるかもしれません。」
そんなこともイルカに言われる。
「ってことは、もしかして帰ってくるのは六月とか有りうるのかな?」
恐る恐る聞くとイルカは「そうかもしれません。」と頷いて「それまで元気でいてくださいね。」と逆に気を遣われてしまった。



なんてこったい、と闘志を燃やしていたカカシは心の中で涙した。




我が家 2








text top
top